こんにちは、ネットビジネス業に強い税理士の植村拓真です。
弊所ではネットワークビジネスを含めたネットビジネス業の方と顧問契約を結ばせていただく機会が多く、以下のようなご相談に対応させていただく機会があります。
ネットワークビジネスは個人事業主で行っていたとしても、確定申告を行って税金を納めなければいけません。
税金についてよくわからない、忙しいからと無申告のまま放置していると、ある日突然に税務署から連絡が入ったりインターネット取引等についてのお尋ねが届いたりします。
最悪の場合、ペナルティとして追徴課税を課されて事業継続が困難な状態に陥りかねません。
そこで今回は安全に事業を続けたい方向けに、ネットワークビジネスを行う個人事業主の税金と確定申告について解説します。
ネットワークビジネスで収入を得た方は、税金について調べて期限までに正しく確定申告を行いましょう。
ネットワークビジネスで個人事業主が納める税金
ネットワークビジネスで収入を得る個人事業主は、原則として毎年2月16日から3月15日までの期間中に確定申告を行う必要があります。
しかし、特定の条件下では確定申告が不要なケースもあります。
ネットワークビジネスで個人事業主が納める所得税の申告が必要かどうかは、所得の種類によって税金の計算方法が異なるため、収入が事業所得か雑所得のどちらに該当するかの判断が必要です。
主に事業所得は、ネットワークビジネスを継続かつ反復して行って得られる所得を指します。
つまり、本業として取り組んでいるネットワークビジネスで得た収入は、事業所得に該当します。
一方、ネットワークビジネスに副業として取り組み、小規模な活動または一時的に報酬を得ている場合、所得の種類は雑所得です。
サラリーマンの方でネットワークビジネスを休日に行っている場合、活動で得た収入は300万円以下なら雑所得に該当する傾向があります。
詳細は国税庁のホームページをご覧ください。
関連記事:「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
事業所得や雑所得の所得額は、年間の収入から必要経費を差し引いて算出します。
そして、金額に応じた所得税を申告・納税するのが確定申告です。
ネットワークビジネスで個人事業主が確定申告を行うケース
続いて、ネットワークビジネスで個人事業主が確定申告を行うケースについて解説します。
繰り返しになりますが、ネットワークビジネスで一定の所得を得ている方は、毎年特定の期間中に確定申告を行わなければなりません。
今回は副業と本業の2パターンに分けて解説しますので、ご自身が行う必要があるかどうかについて確認しましょう。
副業でネットワークビジネスを行っている
会社員で副業としてネットワークビジネスを行っている場合、所得額が20万円を超える方は確定申告が必要です。
そして、本業の給与所得が年間2,000万円を超える場合も、確定申告を行わなければなりません。
副業でネットワークビジネスを含めた年間所得が20万円を超え、給与所得が年間2,000万円超えの方は、確定申告を行いましょう。
本業でネットワークビジネスを行っている
ネットワークビジネスに個人事業主(フリーランス)として取り組んでいる場合は、年間所得が48万円を超えたら確定申告を行いましょう。
本業として取り組んでいるネットワークビジネスで得た収入は、基礎控除の48万円が適用されるからです。
個人事業主の確定申告は、原則として3月15日までに行いましょう。
ネットワークビジネスで個人事業主が節税する方法
繰り返しになりますが、事業所得や雑所得の所得額は、年間の収入から必要経費を差し引いた金額を指します。
必要経費の金額次第では所得税額が減少しますし、確定申告が不要になる方もいるため、ネットワークビジネスの節税対策が知りたい方もいるのではないでしょうか。
本項目ではそんな方向けに、ネットワークビジネスで個人事業主が節税する方法について解説します。
節税対策に躍起になると、手持ちのキャッシュがなくなってキャッシュフロー悪化の原因になります。
しかし、適切に実施すれば余分な税金を抑えられますので、本項目の内容を確認しておきましょう。
事業所得を青色申告する
ネットワークビジネスで個人事業主が節税対策を実施する際、開業届を提出して一定の条件を満たしていれば事業所得を青色申告できます。
ネットワークビジネスで得た事業所得を青色申告すると、10万〜65万円の青色申告特別控除、純損失の繰越しと繰戻し、青色事業専従者給与の経費参入、貸倒引当金といった特典を利用できます。
主に最大65万円分の控除を受けつつ、翌年から3年間赤字を繰越して黒字と相殺できるため、特にネットワークビジネスで売上が安定しない方にとって有利な制度です。
青色申告制度の概要や手続きについては国税庁、青色申告を行うために必要な開業届については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:国税庁(No.2070 青色申告制度)
関連記事:アフィリエイトで開業届を提出するタイミングから書き方まで税理士が解説
事業の出費を確実に経費計上する
繰り返しになりますが、ネットワークビジネスの年間所得は、収入から必要経費を差し引いて算出します。
そして、所得税額は年間所得に応じて変動するため、納税額は必要経費が増えるほど減少します。
ただし、何でもかんでも必要経費として扱えるわけではありません。
経費計上できるのは、ネットワークビジネスの事業に関係があり、収入を得るために必要な出費です。
そこで本項目では、ネットワークビジネスで経費計上できる費用の一例を紹介します。
会員の登録と更新費用
ネットワークビジネスで会員登録と更新する際に発生する費用は、経費計上できます。
事業を行うために必要な会員資格を維持するために必要な費用だからです。
販促物などの書類と用意にかかる諸費用
お客さんを勧誘する際に必要なパンフレットやリーフレットなどを用意するためにかかる費用も、ネットワークビジネスを行うために必要なので経費計上できます。
ネットワークビジネスの必要書類は、主宰企業から購入したり配布されているデータを印刷したりして用意します。
配布されているデータを印刷する際に発生する紙の購入費や印刷費も経費に該当しますので、領収書を保管しておきましょう。
商品の仕入高や送料
ネットワークビジネスで販売する商品の仕入れや発送が必要な場合、仕入高や送料も経費計上できます。
主宰企業が設ける最低受給資格にもよりますが、定期的に安くない費用が発生しますので、領有書を保管して確定申告時に経費参入しましょう。
コンベンションや説明会などの参加費用
ネットワークビジネスの主宰企業は、コンベンションや説明会などを開催するケースがあります。
コンベンションや説明会もネットワークビジネスを行ううえで必要であるため、参加費用が経費として認められます。
コンベンションや説明会などの参加自体に必要な費用はもちろん、交通費や宿泊費も必要経費です。
ネットワークビジネスの主宰企業が負担してくれず自腹で支払う場合は、領収書やレシートなどを保管しておきましょう。
取引相手との飲食代
ネットワークビジネスでお客さんと商談する際、喫茶店やファーストフード店を利用する機会があると思います。
商談を飲食店で行う際にかかる費用は、事業で必要な出費ですので経費計上できます。
ネットや電話の通信費
ネットワークビジネスに限らず、個人事業主としての活動で必要なネットや電話の通信費は経費に該当します。
もちろん、ネットワークビジネスで使用している分が経費になりますので、家事按分してプライベートで使用した分を除外しましょう。
事務用品や消耗品などの購入費
ネットワークビジネスで使用するパソコンやスマホ、机などの購入費は、原則1つ10万円未満まで経費計上できます。
そしてペンや修正液など、文房具・コピー用紙などの購入費も経費参入できます。
繰り返しになりますが、ネットワークビジネスで必要な費用を経費参入する際は、領収書やレシートなどをしっかり保管しておきましょう。
帳簿書類には保存期間がありますので、個人事業主の方は確定申告が完了しても捨てないように注意しましょう!
ネットワークビジネスを個人事業主で行う際の注意点
ネットワークビジネスを個人事業主として行っている方の中には、
上記のように考えている方もいるのではないでしょうか。
結論から述べますと、ネットワークビジネスを副業として行っていると会社にバレるケースはありますし、無申告のまま放置していると追徴課税を課される恐れがあります。
そこで本項目では、各内容の詳細と対策をネットワークビジネスを個人事業主として行う際の注意点として解説します。
会社員(サラリーマン)の副業がばれるケースがある
ネットワークビジネスを副業で行う場合、基本は個人事業主のネットワーカーとして活動します。
そして報酬は主宰企業から業務委託契約費または外注費として支払われますので、直接的に勤務先に副業バレする心配はありません。
ただし、会社員の住民税は特別徴収で会社を通して納税するため、ネットワークビジネスで収入があると住民税額の変化で副業がバレる恐れがあります。
ですので、副業でネットワークビジネスを行っている方は、確定申告時に住民税の納付方法で普通徴収を選択しておきましょう。
普通徴収ではネットワークビジネス分の住民税をご自身で納付するため、会社に副業を行っているとバレません。
関連記事:会社員の会社設立はばれる!勤務先に内緒で法人化する方法と注意点を解説
無申告のまま放置すると追徴課税が課される恐れあり
確定申告を忘れていた、よくわからないので放置していたといった方は、後ほど税務署から無申告を指摘されて追徴課税を課される恐れがあります。
ネットワークビジネスに限らずどの業種でも無申告の放置には、最大14.6%の延滞税、最大20%の無申告加算税、脱税をみなされた場合は最大50%の重加算税が課されるリスクがあります。
無申告は「申告しなくても何も言われなかった!」とおっしゃる方がいるとおり、すぐに税務署から指摘されるとは限りません。
3年後に指摘されるケースがあれば、5年後や7年後に指摘されるケースもあります。
ネットワークビジネスで売上が伸びてから、数年後に数百、数千万円の追徴課税を課されてしまうケースもないとは言い切れませんので、確定申告が必要な方は必ず申告しておきましょう。
関連記事:ネットビジネスの税金と確定申告まとめ|無申告がバレる理由も解説
まとめ
今回は、ネットワークビジネスを行う個人事業主の税金と確定申告について解説しました。
ネットワークビジネスで収入を得ている個人事業主の方は、1月1日〜12月31日までの所得額に応じて確定申告が必要です。
無申告のまま放置していると数年後に指摘されて高額な追徴課税を課される恐れがありますので、確定申告が必要な方は必ず行いましょう。
売上が伸びており節税対策を徹底したい方は、ネットワークビジネスでの法人化を検討してみましょう。
個人事業主と法人では所得にかかる税率が異なりますので、高い節税効果を期待できるケースもあります。
ただし、ネットワークビジネスでの法人化にはデメリットや注意点もありますので、事前に確認したうえで実施すべきかを判断しましょう。
関連記事:ネットワークビジネスで法人化(会社設立)するメリット・デメリットを税理士が解説