こんにちは、ネットビジネスに強い植村会計事務所代表の植村拓真です。
弊所では創業当初から、ブログやSNSアフィリエイト、Webコンサルタント業など、さまざまなネットビジネス業の方と顧問契約を結ばせていただいております。
おかげさまで、ネットビジネス業であれば、どんなビジネスモデルでも対応できると断言できるほど、顧問実績を積ませていただいております。
そんな弊所では、ネットビジネス業の方から経費計上に関するご相談をいただく機会が多いです。ネットビジネス業は初期投資が少ない傾向があるため、なるべく税金を抑える方法があれば知りたいと考える方は少なくありません。
本記事をご覧の方も、同じように考えているのではないでしょうか。今回はそんな方に向けて、ネットビジネスの経費計上について顧問実績が豊富な税理士が徹底解説します。
ネットビジネス業で経費計上できるか判断する基準
所得税法で定められている、事業所得を計算する際に経費として認められる費用は、主に以下のような事業所得を得るための業務に関連する費用です。
- 売上原価
- 総収入金額を得るために直接かかった費用
- 販売費
- 一般管理費
ネットビジネス業の課税所得は、収入から経費と控除を差し引いた金額で決まるため、経費を計上するほど課税所得を減らせます。
ネットビジネス業で発生した費用が、経費として認められるか判断する基準は、事業に関連しているかが重要です。事業で必要な費用であれば、間接的であっても経費計上できます。
ただし、何が必要経費に該当するかは事業の実態により異なります。具体的なネットビジネス業の経費については後ほど紹介しますが、たとえば、事業で必要なホームページをワードプレスで作成する際の有料テーマ購入費用は、全額が経費対象です。
また、個人事業主の方は家事按分の考え方も重要です。家事按分では、事業とプライベートを明確に区別して、事業用に使用した部分のみを経費計上します。
上記を踏まえたうえで、ネットビジネス業に関する費用を適切に経費計上して、課税所得を正確に計算しましょう。ネットビジネス業でかかった費用を経費計上する際は、領収書やレシートなどの書類を必ず保管しておいてください。
もし、税務調査で質問された際に、どんな費用で、なぜ経費計上したのかを回答できる状態にしておきましょう。事業を行いながら正確に行えるか不安、より適切な節税対策を徹底したい方は、ネットビジネス業に強い税理士への相談をおすすめします。
関連記事:ネットビジネスの税金と確定申告まとめ|無申告がバレる理由も解説
ネットビジネス業で経費計上できるもの一例
具体的にどんな費用がネットビジネス業で経費計上できるのかについて、全額計上できるものと、家事按分するものとに分けて紹介します。
本項目で紹介する経費はあくまで一例であり、必ず誰でも経費計上できるわけではないことを踏まえたうえで参考にしてみてください。
全額計上できるもの
サーバーやドメインの取得・維持にかかる費用
ネットビジネス業でサイトを一から立ち上げる際に必要なサーバーやドメインの取得、維持費用は、全額を経費計上できます。
ワードプレスの有料テーマ購入費用
事業で必要なホームページを作成する際に、ワードプレスを選択して有料テーマを購入する場合、購入費用は全額を経費計上できます。
プライベートで使用するワードプレスブログの有料テーマの購入費用は、経費計上できません。
PPCの広告費
自社サイトを宣伝するための広告費であれば、全額を経費計上できます。事業に無関係のサイトで広告を出す際にかかる費用は、経費計上が認められません。
情報商材やコンテンツの購入費用
事業で取り組んでいるネットビジネス業に関連する情報商材やコンテンツの購入費用であれば、全額を経費計上できます。
書籍の購入費用
事業に関係のある内容の書籍の購入費用であれば、全額を経費計上できます。プライベートで読む用や事業に関係があると言い難い書籍の購入費用は、そもそも経費計上できません。
セミナーの参加費用やコンサルティングを受ける費用
事業に関連する内容のセミナーに参加したり、コンサルティングを受けたりする際の費用も、全額を経費計上できます。
事業に関する打ち合わせの飲食代
事業に関する打ち合わせをする際に、喫茶店やファミレスなどの飲食店を利用した場合、飲食代の全額を経費計上できます。
事業に関する打ち合わせでかかった飲食代を経費計上する際は、領収書やレシートの裏などに打ち合わせの目的や同席していた人物などに関する情報をメモしておきましょう。
税務調査では、経費について最長で7年遡って質問されるケースがありますので、質問に答えられるように準備しておいてください。
社外会議やミーティングで発生した費用
社外会議を行って発生した飲食代や会議室のレンタル料、取引先の冠婚葬祭で発生した費用は、交際費として計上できます。
事業関連の作業で使用した飲食店の飲料代
ひとりでネットビジネス業の事業に関する作業を行うために飲食店に入り、飲み物を注文した際の代金は、経費計上できます。
繰り返しになりますが、税務調査で指摘されるおそれがありますので、領収書やレシートの裏に飲食店を利用した目的についてメモしておきましょう。
懇親会の参加にかかった費用
懇親会に参加する際にかかった参加費や飲食代は、全額を経費計上できます。
WebライターやWebデザイナーなどの外注費
ココナラやクラウドワークスなどのサイトで、記事執筆や動画作成などを外注する際の費用は、全額を経費計上できます。
事業で使用するパソコンやタブレットなどの購入費用
ネットビジネス業では必須アイテムのパソコンやタブレットなどの購入費用も、10万円未満であれば一括で全額を経費計上できます。
10万円以上の備品に関しては、減価償却で使用可能な期間にわたって分割して経費計上するので注意しましょう。
また、ネットビジネス業で必要なツールの購入費用やサブスク費用も同様です。
物販などでプラットフォームを利用する際にかかる費用
物販業でプラットフォームを利用する際にかかる、以下のような費用も経費計上できます。
- システム利用料
- 販売手数料
- 売上振込手数料
- 在庫保管手数料
- 発送手数料
- 決済サービス利用料
など
荷造運賃
せどりや転売、物販など、顧客に商品を発送する必要がある際にかかる荷造運賃も、全額を経費計上できます。
電車やタクシーの運賃
ブロガーで取材を行ったり、物販業で仕入れ先を訪れたりなどする際に電車やタクシーなどを利用した場合、運賃は事業を行ううえで必要な費用なので、全額を経費計上できます。
関税
ネットビジネス業で海外から商品を輸入する際にかかる関税も、税金について記載のある請求書や輸入許可通知書などがあれば、全額を経費計上できます。
消耗品費
ネットビジネス業で使用するボールペンやコピー用紙などの購入に必要な消耗品費も、全額を経費計上できます。
事業用クレジットカードの年会費
ネットビジネスで事業用クレジットカードを利用する場合、年会費は経費として全額計上できます。
事業用クレジットカードは経費精算をスムーズにする目的で利用されるため、発生する年会費も事業経費として認められます。
家事按分するもの
通信料
ネットビジネス業で必須な通信料やプロバイダ料は、事業で利用している分を経費計上できます。
家賃・水道光熱費
ネットビジネス業のために借りているオフィスや在庫を保管する倉庫などの家賃は、事業で利用している分を床面積などで計算して経費計上します。
そして、オフィスや在庫を保管する倉庫などの水道光熱費も、事業で使用している分に関しては経費計上できるので、領収書や金額が記載されている書類などを保管しておきましょう。
車両費
ブロガーの取材やせどらーの仕入れなどで、事業のために車が必要な場合、車両の減価償却費やガソリン代も事業で使用した分を経費計上できます。請求書や領収書は経費計上の際に必要ですので、必ず保管しておきましょう。
繰り返しになりますが、今回はあくまで一例を紹介しております。
ネットビジネス業の経費計上でよくある質問
最後に、ネットビジネス業の経費計上でよくある質問をご紹介します。
ネットビジネス業をされている方の中で、経費計上に関してさらに詳しく知りたい方は参考にしてみてください。内容は随時追記します。
副業で収入よりも経費が多い場合に確定申告は必要ですか?
原則、副業でネットビジネスのみ行っており年間所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。しかし、所得が事業所得に該当する場合、損益通算で給与所得にかかる所得税を減らせるため、確定申告を行うメリットはあります。
また、所得証明が必要な場合、確定申告の申告書を証明書として利用できます。
副業でかかった費用はいくらまで経費計上できますか?
副業でかかった費用に関する経費計上の上限額は、個人事業主であればありません。しかし、法人は接待交際費の範囲が限られていますので、副業でかかった費用だからといって、無制限に経費計上できるわけではありません。
雑所得の必要経費はいくらまで計上できますか?
雑所得の必要経費に上限はありません。ただし、経費として認められるのは、雑所得を得るために必要な支出のみです。
経費が収入を超えて赤字になるケースもありますが、あくまで雑所得を得るために支払う必要があった費用に限られます。雑所得の必要経費を計上する際は、必要性について明確にしておくのが重要です。
判断に迷う場合は、税理士に相談してみましょう!
副業の雑所得で経費計上できるものは何が該当しますか?
繰り返しになりますが、副業の雑所得で経費に計上できるのは、雑所得を得るために必要な支出だけです。具体的には、家賃や交通費、広告費、打ち合わせ時の飲食代などが該当します。
ただし、家賃や通信費などのプライベート利用も含まれる支出については、事業分を按分して計算します。
上記の詳細について知りたい方は、本記事のネットビジネス業で経費計上できるもの一例の項目をご参照ください。
関連記事:家賃はどこまで経費にできる?個人事業主・法人にわけて解説
副業で使うパソコンは経費で落とせますか?
繰り返しになりますが、副業で使うパソコンは経費で落とせるものの、購入価格によって経費計上の方法が異なるため注意が必要です。
10万円未満のパソコンは、消耗品として購入年に全額を経費計上できます。一方、10万円以上の場合は資産扱いとなり、耐用年数に応じて減価償却を行います。パソコンの償却期間は4年です。
また、10万円以上20万円未満でパソコンを購入した場合、一括償却資産として償却期間を3年にできます。さらに、青色申告者であれば、10万円以上30万円未満で購入したパソコンを少額減価償却資産の特例により、購入年に全額を経費計上できます。
関連記事:ネットビジネスの税金と確定申告まとめ|無申告がバレる理由も解説
個人事業主がインターネット代や通信費を経費にする際、按分割合は平均いくらまでですか?
家事按分を行う際の基本的な方針は、次のとおりです。
令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
引用:国税庁(家事関連費|第1号関係)
個人事業主がインターネット代や通信費を経費にする際、按分割合の求め方は、以下の2種類です。
- 使用日数
- 使用時間
たとえば、月々の通信費が1万円で、1週間のうち4日間使用している個人事業主の場合、下記のようになります。
- 按分割合:4日間÷7日間=0.571…(約57%)
- 経費計上できる金額:1万円✕57%=約5,700円
月々のインターネット代が1万円で、個人事業主で1日平均7時間、プライベートで1日平均3時間使用しているようなケースだと、以下のとおりです。
- 按分割合:7時間÷10時間=0.7(70%)
- 経費計上できる金額:1万円×70%=7,000円
なお、経費にする按分割合が、必要以上かつ合理的ではないと判断されると、税務調査に入られるおそれがあります。税務上のリスクを回避するためにも、適切な按分割合を心がけましょう。
領収書なしでもインターネット代や通信費は経費計上できますか?
経費を計上する場合、基本的には領収書が必要ですが、領収書がなくてもインターネット代や通信費を経費として認めてもらえるケースはあります。
領収書の代わりに、クレジットカードの明細や銀行の取引記録、請求書など、支払った事実を裏付けられる書類を保管しましょう。
上記の書類には、以下の情報が記載されているかどうかが重要です。
- 支払い日
- 支払い金額
- 支払先
- 支払者
- 取引内容
現金で支払った場合は、出金伝票を作成して上記の情報を明記すれば、領収書の代わりとなります。
まとめ
今回は、ネットビジネスの経費計上について顧問実績が豊富な税理士が徹底解説しました。
本記事で紹介した経費はあくまで一例ですので、事業の状況によっては費用を経費扱いできないケースもあります。ネットビジネス業でかかった費用を経費計上できるかは、事業や業務に関連しているかが重要です。
プライベートの出費まで経費計上していると、税務調査で指摘されるおそれがあります。ネットビジネス業でかかった費用を経費計上する際は、プライベートと事業のものを明確に区別しましょう。