こんにちは、アフィリエイトに強い税理士の植村拓真です。
弊所はネットビジネス業の顧問実績が豊富で、特にアフィリエイターの方と顧問契約を結ばせていただく機会が多い会計事務所です。
以前アフィリエイト収入を確定申告しないリスクに関する記事でも触れたのですが、アフィリエイトのような実店舗を構えないビジネスでも税務調査に入られるケースはあります。
税務署が電子商取引専門調査チームを設けて、インターネット取引に関する情報の収集と分析を行なっているからです。
「電子商取引専門調査チーム」として、局内に“電子商取引担当”、署に“情報技術専門官”を設置し、インターネット取引に関する情報を専門に収集・分析
引用:国税庁(インターネット取引を行っている者の調査状況)
アフィリエイトで税務調査に入られるのは法人だけだと考える方もいらっしゃいますが、副業や個人事業主でも入られるケースはあります。
自分には関係ないと考えて油断しているとインターネット取引等についてのお尋ねが届くケースもありますので、アフィリエイターの方は備えておきましょう。
今回はアフィリエイトの税務調査で確認される内容と対策について、アフィリエイトに強い税理士が解説します。
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アフィリエイトの税務調査の対象者
そもそも税務調査と聞けば法人だけが対象者であると思っている方がいらっしゃいますが、副業や個人事業主でアフィリエイトを行なっている方も対象になるケースがあります。
詳しくは国税庁の「令和3事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」で公開している情報をご覧ください。
副業や個人事業主のアフィリエイターで特に調査対象に選ばれやすいのが、損益通算を行なっている方です。
損益通算は考え方が複雑で正しく処理できている方が少ないため、税務署から指摘される傾向があります。
たとえば納税したくないからといって経費を増やして赤字を出し続けていると、アフィリエイトが事業と認められなくなります。
そしてアフィリエイトで得た所得が事業所得ではなく雑所得扱いになるため、損益通算は認められません。
また法人で決算書の数字が昨年の事業年度と比べて大きく変わっていたり、ペナルティを受けた経験があったりすると、税務調査に入られやすい傾向があります。
アフィリエイトの税務調査は要点を抑えれば対策できますので、今のうちにしっかり備えておきましょう。
アフィリエイト収入を確定申告しないリスクについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:アフィリエイトで確定申告しないとばれる?住民税やどうなるかも税理士が解説
アフィリエイトの税務調査で確認される内容と対策
それではアフィリエイトの税務調査で確認される内容と対策について解説します。
本項目で解説する内容を確認して、税務調査に入られる確率を下げつつ、入られた際に対応できるよう準備しておきましょう。
- 確定申告や決算申告を行なっているか
- 確定申告時の売上に漏れはないか
- 正しく経費処理できているか
順番に解説していきます。
確定申告や決算申告を行なっているか
確認される内容
アフィリエイトの税務調査では、そもそも確定申告や決算申告を行なっていない点が指摘されます。
繰り返しになりますが、税務署は電子商取引専門調査チームを設置してインターネット取引に関する情報の収集と分析を行なっているため、実店舗を構えてないビジネスなら無申告でもバレないといった考えは危険です。
たとえば税務署はA8やアクセストレードなどといったASPからアフィリエイターに対して支払った報酬に関する情報を入手して、誰が無申告のまま放置しているのかを確認できます。
ASPから入手した情報と多額の報酬を受け取っているアフィリエイターの確定申告や決算申告の情報と照らし合わせれば、申告ミスや無申告を見破れます。
アフィリエイトで年間20万円以下の所得であれば確定申告は不要といった話をよく見かけますが、あくまで副業でアフィリエイト収入しかないケースでの話ですし、住民税の納税は必要です。
せどりやnoteなどでも収入を得ており、アフィリエイト収入と合算した際の所得が年間20万円を超える場合は、確定申告を行わなければなりません。
そして個人事業主で年間所得が2,400万円以下で48万円を超える場合も確定申告が必要です。
アフィリエイト収入が年間20万円を超えないからといって無申告のまま放置していると、税務調査で指摘されてしまいます。
関連記事:ネットビジネスの税金と確定申告まとめ|無申告がバレる理由も解説
関連記事:アフィリエイトの確定申告で副業が会社にばれないようにする方法
対策
確定申告や決算申告を行なっていれば、アフィリエイトの税務調査で無申告を指摘されることはありません。
納税者の納税状況を把握しているわけですから、納税している事実も把握しています。
もし現時点で過去のアフィリエイト収入を申告せずに放置している場合は、税務調査で指摘される前に確定申告または決算申告を行いましょう。
税務署から無申告を指摘された場合、無申告加算税や延滞税、重加算税などの追徴課税が課されてしまいます。
無申告を放置していると、アフィリエイト事業が赤字から黒字に転じた事業年度の確定申告や決算申告を行なったとしても、税務調査に入られて過去分を指摘されて追徴課税が発生して、事業継続が困難になるケースもあります。
先ほど法人で決算書の数字が昨年の事業年度と比べて大きく変わっていると、税務調査に入られやすいと解説したとおりです。
税務調査で過去の無申告を指摘されないためにも、過去分を含めたアフィリエイト収入を申告しておきましょう。
確定申告時の売上に漏れはないか
確認される内容
アフィリエイト収入の確定申告または決算申告を行なっていたとしても、申告内容にミスがあれば税務調査で指摘される恐れがあります。
税金を多く申告している分には何も指摘されませんが、申告額が少ないと指摘されるケースがあります。
たとえばアフィリエイトの確定申告でよくあるのが、ASPから受け取った報酬を振り込まれた日に計上してしまうミスです。
ASPから受け取った報酬は、確定した日に計上しなければなりません。
上記のようなうっかりミスでも、税務調査の際に指摘されてしまいます。
対策
アフィリエイトを含めたあらゆる事業の売上は、実現したタイミングで計上する「実現主義による計上」が義務付けられています。
アフィリエイトでASPにて報酬が確定した場合は、売上を報酬が確定した日に計上しましょう。
税務署は売上の計上漏れに目を光らせていますので、確定申告時の売上に漏れがないかをしっかり確認しておきましょう。
正しく経費処理できているか
確認される内容
アフィリエイトの税務調査では、経費についても指摘されるケースが多いです。
プライベートの出費を事業に関連しているとこじつけて経費処理する行為は、調査官が指摘する材料になります。
たとえば家族旅行の費用を経費処理するために、旅行の様子をブログ記事化したとします。
本費用にはアフィリエイトだけでなくプライベートの部分も含まれているため、全額を経費処理するのは困難です。
しっかり家事按分しないと経費計上を否認されてしまいますので、税務調査に備えてプライベートの出費は取り除くようにしましょう。
対策
アフィリエイトの税務調査で経費処理について指摘されないためには、経費のルールを理解したうえで申告する必要があります。
アフィリエイトでどんな費用がどの程度経費になるのかを確認しましょう。
アフィリエイトで経費扱いできる費用の一部を紹介します。
- 端末購入費
- 物品購入費
- 通信費
- 水道光熱費
- 電話代
- 交通費
- 交際費
- 家賃
中でも通信費、水道光熱費、電話代、家賃は、全額を経費計上していると否認されます。
アフィリエイト事業を行ううえで使った時間や面積などを考慮した按分率で、経費計上できる金額を算出しましょう。
アフィリエイトの経費については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:ブログの経費はどこまで?アフィリエイトに強い税理士が解説
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今回はアフィリエイトの税務調査で確認される内容と対策について解説しました。
アフィリエイターで税務調査に入られる確率を下げたい方は、過去分を含めて確定申告や決算申告を行い、報酬を計上するタイミングやどんな費用がどの程度経費計上できるのかを理解したうえで申告しましょう。
根拠を持って確定申告や決算申告を行なっていれば、税務調査に入られても慌てずに済みます。
無申告を放置したり税務調査で嘘をつくのは、ご自身の立場を悪くするだけです。
最悪の場合、重加算税のペナルティを課されて事業継続が困難になるケースもありますので注意しましょう。
アフィリエイトの確定申告や決算申告、節税対策や税務調査で不安がある方は、アフィリエイトに強い植村会計事務所にご相談ください