こんにちは、法人の顧問実績が豊富な税理士の植村拓真です。
本記事を読んでいるのは、上記のような方ではないでしょうか。
法人の決算申告を正しく行うためには税に関する専門知識、必要書類を揃えて作成する時間が必要です。
そのため、すでに決算申告について調べている方であれば、ある程度リスクやデメリットがあるのを知っていると思われます。
今回はそんな方に向けて、法人の決算申告を税理士なしで行うリスクと依頼時の費用相場についてお話しします。
法人の決算申告を税理士なしで行うメリット
法人の決算申告は、事前に専門知識を有していたり経験があれば税理士なしでも問題なく済ませられます。
税理士なしで行うメリットについてはすでにご存知だと思われますが、念のためにお話ししておきます。
①税理士報酬が発生しない
法人の決算申告を税理士に依頼しない主なメリットは、税理士報酬を支払わなくていい点にあります。
顧問税理士をつけると年間数十万円、法人の決算申告のみを依頼すると20万円前後かかります。
したがって、法人の決算申告を税理士なしで行えば、年間10万円以上のコストを抑えられます。
②税理士探しや打ち合わせ、必要書類の提出で時間がかからない
法人の決算申告を税理士に依頼する場合、税理士探しや打ち合わせ、必要書類の提出などで時間が必要です。
顧問税理士をつけようが、法人の決算申告のみを依頼しようが、どちらのケースでも時間がかかってしまいます。
一方、税理士に依頼しなければ、ご自身のペースで決算申告を行えます。
税理士探しや打ち合わせ、必要書類の提出などに時間をかける必要はありません。
以上が、法人の決算申告を税理士なしで行うメリットです。
法人の決算申告を正確に行えるだけの専門知識や経験がある方であれば、税理士なしでも問題ないでしょう。
法人の決算申告を税理士なしで行うデメリット・リスク
繰り返しになりますが、法人の決算申告は専門知識や経験がある方であれば、税理士なしでも行えます。
ご自身で法人の決算申告を行う時間はかかりますが、税理士とのコミュニケーションでかかる時間や依頼料はかかりません。
しかし、法人の決算申告を税理士なしで行うデメリットやリスクもあります。
そこで本項目では、法人の決算申告を税理士なしで行うデメリットとリスクについてお話しします。
税理士に依頼するか迷っている、依頼する予定がない方は、本項目の内容に目を通したうえで自力で決算申告を行うかどうか判断しましょう。
①専門知識が必要で確定申告よりも難しい
法人の決算申告を税理士なしで正確に行うのは、個人事業主の確定申告よりも難しいです。
税法や規定が複雑、企業会計基準に従って財務諸表を作成する必要があるなど、理由はさまざまです。
専門知識を学んでクラウド会計ソフトの使い方を覚えれば、ある程度は法人の決算申告を自力で行えます。
しかし、正確に法人の決算申告を行うためには経験も必要です。そのうえ、決算書の作成には時間がかかります。
②正しく申告しなければ決算修正やペナルティのリスクあり
法人の決算申告を税理士なしで行う場合、理論上は内容を自由に決められます。
しかし、好き勝手に虚偽を記載したり重大な過誤があったりすると、犯罪に該当する恐れがあります。
不正発覚は法人だけでなく、経営者であるご自身はもちろん、従業員の信用まで失いかねません。
また、売上規模が大きい法人の場合、修正に時間がかかりますし追徴課税のリスクはさらに大きくなります。
法人の決算申告を税理士なしで行うのが不安、難しいと感じている方は、税理士への依頼を検討しましょう。
③決算書の信頼性と客観性を保証できない
専門家である税理士が作成した決算書は、無資格の方が作成したものよりも信頼性と客観性が高いです。
実際に、税務署や金融機関などは、無資格の方が作成した書類よりも税理士が作成したものを信頼する傾向があります。
決算書を税理士登録している人が作っているかいないかでは、やはり信頼性や客観性の違いは大きいです。
逆に税理士に決算書を作成してもらえば、信頼性や客観性を高められます。
資金調達を検討している方は、顧問税理士をつけて決算書を作成してもらうのがおすすめです。
④適切な節税や経営に関するアドバイスを受けられない
法人には納める税金や優遇措置、資金調達など、調べるものがさまざまあります。
しかし、事業を行いながらすべてを自力で調べたうえで、
- 正しく納税する
- 優遇措置を受ける
- 自社に合った資金調達を選択して成功させる
上記を行うのは困難です。
法人の決算申告を税理士なしで済ませるだけでも困難なので、優遇措置を探して受けたり、自社に合った資金調達を選択して成功させるのは、専門家である税理士を頼ったほうが効率がいいです。
税理士は新制度や法律が法人にとって、どのような影響を与えて、どのように有効利用すればいいか、どう対策すればいいかを顧問先にアドバイスしています。
たとえば、インボイス制度の対策や適切な節税対策、関与先が対象の資金調達など、法人が不利益を被らないようにアドバイスしています。
法人の決算申告代行だけが、税理士の役割ではありません。
⑤税務調査にひとりで対応しなければならない
法人は利益が少なかろうが赤字であろうが、税務調査を回避できません。
顧問税理士がいれば決算書を作ってもらえますし、税務調査に立ち会ってももらえるので安心です。
しかし、法人の決算申告を税理士なしで行う場合、すべて自社で対応しなければなりません。
さらに、顧問税理士をつけていない法人の申告は、ミスがある可能性が高いため税務調査に入られやすい傾向があります。
決算申告を税理士なしで行う方法
法人の決算申告を税理士なしで行うのは、先ほどお話ししたリスクが伴います。
しかし、専門知識を身につければご自身だけでも行えます。方法は以下のとおりです。
- 帳簿を整理する
- 記帳する
- 必要書類を作成する
- 決算申告を行う
- 納税する
- 帳簿を一定期間保存する
もちろん、法人の事業、専門知識を身につけたうえでの適切な決算申告、制度や法律に関する最新情報を取得し続けるのをすべて行うのは困難です。
そして、修正申告が必要であればすぐ対応しなければなりませんし、繰り返していると税務署に良くない印象を与えてしまいます。
費用を抑えるなら決算申告のみを税理士に依頼
法人の決算申告を税理士に依頼したいけど、なるべく費用を抑えたい方がいらっしゃると思います。
そんな方は、法人の決算申告のみを税理士に依頼しましょう。
法人の決算申告のみを税理士に依頼するメリットは、税理士報酬が顧問契約よりも安い点にあります。
顧問税理士をつければ、税理士報酬は年間30万円以上かかりますが、スポットで依頼すれば年間20万円前後で抑えられます。
ただし、法人の決算申告のみを税理士に依頼する場合、税務相談や税務調査の対応などのサービスは受けられません。
ご自身で新制度や法律、優遇措置などについて調べたうえで対応しなければなりません。
そして、節税はよく調べたうえで適切なものを実施して、税務調査時に指摘されても問題ないように根拠を用意しておく必要があります。
法人の決算申告のみを税理士に依頼する際にもメリットとデメリットがありますので、よく調べたうえで顧問税理士をつけないのか、スポット依頼するのかを検討しましょう。
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