こんにちは、植村会計事務所代表の植村拓真です。
日本政策金融公庫から融資を受けると、以下のようなメリットを享受できます。
そして、数百万~数千万円以上のまとまった資金を借り入れることができます。
・無保証人
・低金利
返済期間も長く、借入用途が運転資金の場合は最長7年、設備資金の場合は最長10年となります。
特に、売上が厳しい創業期の頃は、日本政策金融公庫から融資を受けて手元に十分なキャッシュを持っておくと、事業の安全度が高まります。
想定外の事故が起こっても、事業が突然死する可能性も低くなりますからね。
しかし、当然ですが何の準備も無しに、いきなり数百万~数千万円の資金が借りれるわけではありません。
今回は、日本政策金融公庫の融資を申し込む前に自分の個人事業や会社が審査に通りそうか、簡単にチェックしておくべきポイントについて解説していきます。
日本政策金融公庫の融資審査で重要なポイント
日本政策金融公庫の融資審査は、いくつかのポイントを押さえておけば通過率が上がります。
本項目で重要なポイントを解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
そこそこの自己資金があるか?
という突っ込みが聞こえそうですが、融資に申し込む時点で、自分の手元にある程度の資金を確保しておくことはとても重要です。
なぜなら、公庫は融資申込者の事業が万が一コケた場合に、借入金の返済原資があるかどうかを気にしているからです。
また、自己資金が十分確保できているということは、その人が事業のためにコツコツ貯めて準備してきたというアピールになります。
銀行口座の残高は、その人が事業を起こすまでに
・計画性があること
・浪費癖がないこと
といったことの何よりの証拠なのです。
とはいっても、数千万円単位の自己資金を用意しておく必要はありません、そこそこで大丈夫です!
最低でも100万~200万円くらいあれば十分でしょう。
逆に言えば、自己資金が極端に少なくなると審査が通りにくくなる傾向にあります。
審査に通ったとしても、100万~200万円程度の少額の融資しかしてもらえないかもしれません。
ビジネスが不調で、資金繰りも厳しく、本当にお金が欲しいときに借りにくくなってしまいます。
ですので、日本政策金融公庫からは、なるべくお金に余裕があるときに借りておくのがおすすめです。
公共料金や税金をきちんと払っているか?
当たり前の話ですが、電話代や水道代、ガス代などの光熱費や電話料金などの公共料金や、所得税や住民税などの税金もきちんと払っておきましょう。
通常、借入金の返済よりも、個人の生活に必要な固定費の支払いが優先されますよね。
だから、これらの支払いに遅延があると公庫からも
『この人に融資したところで、返済が遅れるだろうし、最悪返済してくれないかもしれないな』
と判断されてしまうのです。
特に『借入金の返済よりも税金の支払を優先する』ということが国税徴収法でも定めれられているので、
税金の支払遅延については審査結果に大きな影響があります。
また、過去の支払いに遅延がある場合も、『ちゃんと返済してくれるのかな?』という信用問題に関わるので、
日頃からきちんと払っておきましょう。
個人の信用情報に問題がないか?
ローンやクレジットカードなどに支払遅延がないことも大事です。
『ローン・クレジットカードの請求をきちんと支払っている=個人や会社に十分な支払能力がある』
ということを示す証拠になります。
特にクレジットカードを潰してしまった場合、その事故情報は個人信用情報機関に5年から10年近く保管されます。
公庫の担当者は融資申込者の信用情報を確認するので、
『ローンやクレジットカードの返済が出来ない人に融資しても返済できないだろう』
と判断されて審査を通すのが厳しくなってしまいます。
もし、過去に返済トラブルがあった場合、金融事故の履歴が無くなってから申し込むと審査が通りやすくなります。
事業計画を上手く説明できるか?
これから始めようとしている(あるいは始めている)事業の、今後の大まかな計画を上手く説明できるかどうかも確認しておきましょう。
例えば、
・既存客の数
・集客の方法
・月間の売上計画
・年間の売上目標
・月間の必要経費の額
などですね。
決して感覚だけではなく、数値や指標などの客観的な根拠を元に計画を説明できれば、かなり公庫の心象が良くなります。
自分の経歴について
融資申込者自身の経歴も大事です。
特定の分野への深い知見や経験がある人、何らかの専門性を有している人は、これから始める事業もうまくいくだろうと公庫から思ってもらいやすいです。
有名企業で働いていたとか、難しい資格を持っているとか。元々勤めていた会社でやってた業務と、これから始める事業との関連性があると良いですね。
公庫の担当者と面談するときは、融資申込者の人間性も見られますので、そこで自分の経歴を上手く説明できるとかなりプラスの印象が与えられます。
きちんと確定申告しているか?
自身の収入を示す書類として、公庫に源泉徴収票または確定申告書を提出する必要があります。
副業している場合、すでに何らかの事業を始めている場合は確定申告書を提出することになるのですが、
確定申告してなかったら必要書類を提出できないことになるので、書類選考の時点でアウトです。
というより『確定申告をしない=脱税=犯罪』なので、そもそも審査が通るかどうか以前の問題なのですが(汗)
申告の方法は白色申告と青色申告のどちらでも良いですが、
青色申告の方がより精密な会計帳簿になるので、公庫からの信用度も高くなります。
また、利益が出ている事業は資金繰りもうまくいっていることが多く、公庫からの評価も高くなるので、
利益が出ている申告書を提出するとポイントが高いですね。
以上、日本政策金融公庫の融資審査を、確実に通すためのチェックポイント6選でした。
日本政策金融公庫の融資審査に落ちた際の対処法
日本政策金融公庫の融資審査は、民間金融機関の融資審査よりも緩いです。
日本政策金融公庫は、政府が創業企業や小規模事業者を応援する目的で出資している金融機関ですからね。
とはいえ、しっかり事前準備を済ませておかないと、審査に落ちてしまいます。
さらに、審査落ちしたあとすぐに再申し込みできないので、資金調達に時間がかかってしまう可能性があります。
ですので、あらかじめ審査落ちした場合を想定して、対処法を知っておきましょう。
日本政策金融公庫の融資審査に落ちたからといって、二度と通らないわけではありません。
審査落ちの原因を追求して改善すれば、日本政策金融公庫の融資審査に通る可能性があります。
本項目では、日本政策金融公庫の融資審査に落ちた際の対処法を解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
どうしても審査に通らない原因がわからない方は、お気軽にご相談ください。
審査落ちした原因を考える
金融機関は融資審査に落ちた原因について、一切教えてくれません。
そのため、審査落ちした方は、ご自身で原因を考える必要があります。
とはいえ、先ほど解説した『日本政策金融公庫の融資審査で重要なポイント』の条件を満たしていないことが原因で、審査落ちした可能性が高いです。
ですので、融資審査に落ちた方は、もう一度内容を確認しましょう。
融資の再申し込みは半年後に行う
日本政策金融公庫の融資審査に落ちたら、半年後に再び申し込みましょう。
業歴が6ヵ月だけでも、審査に通りやすくなります。
必ず審査に通るわけではありませんが、やはり実績がある分通りやすくなります。
6ヵ月の間に『日本政策金融公庫の融資審査で重要なポイント』を見直しておきましょう。
自己資本の比率を上げてみる
自己資本の少なさが原因で審査に落ちたと考えられる場合は、自己資本比率を上げてみましょう。
自己資本比率を上げる方法は、主に以下の2パターンあります。
・個人所有の車などを会社の資産にする
ただし、急に自己資本の比率を上げると、粉飾決算だと判断されかねません。
ですので、なるべく専門家に相談してから行うようにしましょう。
出資者から資金調達をする
金融機関の融資ではなく、出資者から資金調達するのも一つの手です。
出資であれば、ご自身の信用情報に関係なく資金調達できるメリットがあります。
そして、借金ではないため返済義務がありません。
ただし、出資者に事業の魅力を十分にプレゼンできなければ、出資してもらえない可能性があります。
さらに、株式を発行するため、事業に口出しされることは避けられません。
ですので、ご自身の事業に強く、口出しされても問題ない方に出資してもらいましょう。
まとめ
今回は、日本政策金融公庫の融資審査について解説しました。
日本政策金融公庫の融資審査は通りやすいですが、重要なポイントを押さえていないと落ちる可能性があります。
しっかりと事前準備して、資金調達を完了しましょう。
押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
・公共料金や税金をきちんと払っているか
・個人の信用情報に問題がないか
・事業計画を上手く説明できるか
・自分の経歴について
・きちんと確定申告しているか
審査に落ちた理由がわからない、審査に通るかが不安な方は、お気軽にご相談ください。