こんにちは、VTuberに強い税理士の植村拓真です。
弊所の顧問先様には、VTuberの活動を通して順調にファンを増やし、YouTubeの広告収入やメンバーシップ、投げ銭などの収益を拡大させている方も多くいらっしゃいます。
上記のような顧問先様から、節税対策に関するご相談をいただく機会も多いです。特に、以下のようなご質問をよくいただきます。



本記事を読んでいるVTuberの方の中にも、上記のような疑問を抱いている方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、VTuberが必要経費にできるものについて、節税のコツや副業バレ対策とあわせて解説します。
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VTuberが必要経費にできるもの一覧

本項目では、VTuberが必要経費にできるものについて解説します。
VTuberが必要経費にできる支出は、主に以下のとおりです。
- 配信機材やツールの購入費
- 通信費
- イラストや音楽の制作費
- 外注費
- コラボ費用
- 勉強やレッスンにかかる費用
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
配信機材やツールの購入費
配信機材やツールの購入費は、VTuberが必要経費にできるもののひとつです。
- マイク
- カメラ
- 照明機器
- パソコン
- モニター
- 配信ソフト
- 動画編集ソフト
- キャプチャーボード
- オーディオインターフェース
ゲーム実況系VTuberであれば、ゲーム機やゲームソフトも必要経費に含められます。
ただし、プライベートでも使用する機材やツールを経費計上する場合、合理的な割合で家事按分する必要があるため注意しましょう。
また、法定耐用年数が1年以上かつ取得価額が10万円以上の機材は、原則として、減価償却が必要です。減価償却とは、下記のような会計処理です。
減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続
引用:国税庁(No.2100 減価償却のあらまし)
家事按分と減価償却に関しては、後半で詳しく解説しますので、参考にしてみてください。
通信費
VTuberとして活動するうえで、通信環境は欠かせないため、必要経費として認められます。通信費に該当する主な支出は、以下のとおりです。
- スマホ代
- プロバイダ料金
- SIMカードの利用料金
- インターネット回線の利用料金
- モバイルWi-Fiルーターのレンタル代
自宅のインターネット環境を使って配信している場合、使用時間や日数などを基準に、合理的な割合で家事按分したうえで、VTuberの活動に関わる部分だけを経費計上します。
たとえば、以下のようなケースで、インターネット回線の利用料金を家事按分する場合、経費計上できる金額は3万円です。
- 利用料金の月額:1万円
- 利用料金の年額:12万円
- VTuberの活動で使用している時間:1日平均6時間
- VTuberの活動で使用している割合:25%(6時間 ÷ 24時間)
- 経費計上できる金額:3万円(12万円 ✕ 25%)
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イラストや音楽の制作費
VTuberとして人気を集めるためには、魅力的なアバターや楽曲などが欠かせません。
VTuberの活動で使用するイラストや音楽の制作費は、ブランディングに関連する支出に該当するため、必要経費として計上できます。
- Live2D
- ロゴデザイン
- キャラクターデザイン
- 配信画面用オーバーレイ
- オリジナルBGMやジングル、楽曲
経費計上する際は、領収書やレシートなどの証憑書類を、しっかりと保管しておきましょう。
特に、Live2Dの制作では、イラスト制作からモーション作成までを一括で依頼した場合、高額になるケースも多いです。適切に経費計上し、節税につなげましょう。
外注費
VTuberの活動で必要な作業を外部に委託した場合、支払った費用は外注費として経費計上できます。
- 動画撮影
- 動画編集
- サムネイル制作
- ホームページ制作
- 企画構成や台本作成
- YouTubeチャンネルやSNSの運用代行
収益を増やしたりフォロワーを増やしたりするために、コンサルティングを受ける場合に発生する費用も、外注費に該当します。
税理士や弁護士などの依頼費用は、支払手数料として経費計上するケースも多いです。
ただし、掃除や料理などの家事代行を依頼する際に発生する費用は、VTuberの活動と直接関係ないとみなされるため、必要経費として認められません。
コラボ費用
他のVTuberとコラボするような場合、収益に直接関連する支出であれば、必要経費として認められます。
- ボイスドラマに出演してもらったVTuberへの謝礼金
- 主催イベントのゲストへ支払った登壇料
- イベント会場の使用料金
- イベントで使用する音響機材のレンタル費用
- コラボ相手と打ち合わせした際に発生したカフェ代
なお、コラボ費用を経費計上するうえで大切なのは、証憑書類の保管です。
日時や目的、コラボ相手、打ち合わせ相手などを記した資料と一緒に、領収書を保存しておきましょう。
コラボ費用を経費計上する際、必要経費に含めて問題がないか判断に迷う支出がある場合、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:VTuberに強い税理士が失敗しない選び方から費用相場まで徹底解説
勉強やレッスンにかかる費用
VTuberの活動に必要な知識やスキルの習得にかかる費用は、必要経費として認められます。
特に、動画編集や話し方に関するスキルの向上は、VTuberとしての表現力が高まるため、フォロワーの増加にもつながります!
必要経費にできる具体的な支出は、以下のとおりです。
- VTuber講座の参加費
- 話し方教室の受講料
- 動画編集スクールの受講料
- ボイストレーニングのレッスン代
- マーケティングやSNS運用に関する書籍代
- 英会話教室の受講料(海外向け配信のため)
繰り返しになりますが、必要経費として認められる支出は、VTuberの活動上必要なものに限られます。
VTuberの活動と関連性が低いと判断された場合、経費計上が否認され、追徴課税や延滞税、加算税が課されるおそれがあるため注意しましょう。
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VTuberの必要経費に関する基礎知識

本項目では、VTuberの必要経費に関する基礎知識について、以下の4つの観点に分けて解説します。
- そもそも必要経費とは
- 適切な経費計上が節税につながる理由
- 家事按分とは
- 領収書やレシートの保存期間
それでは、順番に見ていきましょう。
そもそも必要経費とは
必要経費とは、VTuberの活動を通して収益を得るにあたって、直接的に必要となる費用を指します。繰り返しになりますが、以下のような支出が必要経費に該当します。
- 配信機材やツールの購入費
- インターネット代やスマホ代などの通信費
- イラストや音楽の制作費
- 動画編集や撮影などの外注費
- コラボにかかる費用
- 勉強やレッスンにかかる費用
VTuberの活動と関連性が低い支出は、必要経費として認められません。また、プライベートでも使用しているものを経費計上する際は、後述する家事按分が必要です。
(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
引用:国税庁(No.2210 必要経費の知識)
必要経費に含めて問題がないか判断に迷う支出がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:VTuberに強い税理士が失敗しない選び方から費用相場まで徹底解説
適切な経費計上が節税につながる理由
適切な経費計上が節税につながる理由は、下表のとおり、収入から必要経費や所得控除を差し引いた課税所得に対して税金がかかるためです。

引用:国税庁(所得税のしくみ)
必要経費を適切に計上しないと、本来差し引けるはずの支出が税金計算に含まれてしまうため、税負担が重くなってしまいます。
下表は、収入金額が500万円で必要経費が100万円のケースで、経費計上しなかった場合とした場合の所得税額の差を、シミュレーションしたものです。
| 比較項目 | 計算式 | 所得税額 |
| ①経費計上しなかった場合 | 500万円 ✕ 20% ー 427,500円 | 572,500円 |
| ②経費計上した場合 | (500万円 ー 100万円)✕ 20% ー 427,500円 | 372,500円 |
| ① ー ② | 200,000円 | |
上表のとおり、経費計上の有無によって約20万円の差が生じます。適切な経費計上によって、税負担の軽減につなげましょう。
家事按分とは
家事按分とは、VTuberの活動とプライベートの両方で使っている費用を、VTuberの活動で使った割合だけ経費として計算する方法です。
自宅を拠点に活動されているVTuberの方は、以下のような費用の全額を経費にできませんので注意しましょう。
- 家賃
- 通信費
- 水道光熱費
- 固定資産税
家事按分する場合、VTuberの活動で使用している時間や面積などを根拠に、合理的な割合で計算する必要があります。
繰り返しになりますが、以下のようなケースで、インターネット回線の利用料金を家事按分する場合、経費計上できる金額は3万円です!
- 利用料金の月額:1万円
- 利用料金の年額:12万円
- VTuberの活動で使用している時間:1日平均6時間
- VTuberの活動で使用している割合:25%(6時間 ÷ 24時間)
- 経費計上できる金額:3万円(12万円 ✕ 25%)
家事按分に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:【個人事業主・法人対応】確定申告を税理士に丸投げする費用相場やメリット・デメリットを解説
領収書やレシートの保存期間
経費計上する場合、領収書やレシートなどの証憑書類は、法律で定められた期間、保存しておく必要があります。
原則、青色申告の場合は7年間の保存が義務付けられています。ただし、前々年分の所得が300万円以下であれば、保存期間は5年です。
一方、白色申告の場合は5年間の保存が必要です。領収書やレシートを保存していなかったり紛失したりした場合、経費計上が否認されるおそれもあるため注意しましょう。
万が一、経費計上が否認された場合、追徴課税の他に延滞税や加算税が課されるケースもあるため、予期せぬ税負担が生じるリスクがあります。
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VTuberの必要経費として認められない支出の具体例

繰り返しになりますが、VTuberの活動と直接関係のない支出は、必要経費として認められません。
たとえば、VTuberの方の中には顔出し配信をされる方もいらっしゃいますが、私服やメイク用品などにかかる費用は、必要経費として認められない確率が高いです。
ただし、日常生活で着られないような配信用のコスプレ衣装やレビューする目的で購入したコスメであれば、必要経費として認められる余地があります。
また、カフェで動画編集の作業や企画の打ち合わせなどを行った場合、場所代としてドリンク代は必要経費にできますが、食事代は家事費とみなされるケースが多いです。
なお、ロケ撮影のために旅行する場合は、かかった費用を旅費交通費として経費計上できますが、家族や友人との旅行が主たる目的の場合は必要経費として認められません。
以上のように、プライベートとの線引きが難しく、VTuberの活動に直接関係のない支出は、必要経費にできませんので注意しましょう。
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10万円以上の高額機材は減価償却が必要なケースがある

原則、法定耐用年数が1年以上かつ取得価額が10万円以上の器具や備品などは、減価償却する必要があるため、購入年度に全額を経費計上できません。
VTuberの活動で使用するパソコンやカメラなどの機材を購入する際、高額な場合は会計処理に注意しましょう。
下記の計算式のとおり、1年あたり経費計上できる額は6万円です。
24万円(購入額)÷ 4年(法定耐用年数)= 6万円(1年あたりの経費計上額)
ただし、法定耐用年数が1年未満もしくは取得価額が10万円未満であれば、購入年度に全額を経費計上できます。
また、取得価額10万円以上20万円未満の減価償却資産については、法定耐用年数に関わらず、3年間での均等償却も選択できます。
青色申告の場合は、少額減価償却資産の特例も活用しましょう。
上記の特例によって、2026年3月31日までに取得した10万円以上30万円未満の減価償却資産は、購入年度に全額を経費計上できます。
なお、年間の限度額は合計300万円までです。
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VTuberの必要経費に関するよくある質問

最後に、VTuberの必要経費に関するよくある質問について紹介します。
内容は随時追記します。
副業ライバーは確定申告で本業の会社にバレるリスクはありますか?
副業ライバーは確定申告で本業の会社にバレるリスクはあります。
本業の会社に副業がバレる主な要因は、住民税の税額の変化です!
下表のとおり、住民税は給与から天引きされるため、副業ライバーの収入により住民税が増えると、本業の会社に気付かれるおそれがあります。

引用:総務省(納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿)
副業バレ対策として、確定申告書の第二表にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で、自分で納付を選択します。

ただし、以下のとおり、一部の自治体では自分で納付を認めないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

引用:足立区(給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について)
関連記事:副業の確定申告は税理士に相談!費用や副業バレ回避の方法も解説
VTuberの確定申告のやり方を教えてください
VTuberの確定申告のおおまかなやり方は、以下のとおりです!
- 請求書や領収書などの証憑書類を整理する
- 1年間の収入と支出を整理する
- 確定申告書を作成する
- 確定申告書を提出する
- 納税もしくは還付金を受け取る
作成した確定申告書は、下記のいずれかの方法で提出します。
- e-Taxで送信する
- 納税地を所轄する税務署の窓口へ持参する
- 納税地を所轄する税務署宛に郵送する
確定申告のやり方については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:確定申告が全くわからない方へ|やり方や相談先について税理士が解説
参考:国税庁(申告と納税)
参考:国税庁(No.2020 確定申告)
参考:国税庁(申告書の提出方法)
ライバーは美容代を必要経費にできますか?
原則、ライバーは美容代を必要経費にできません。
美容院代や化粧品代、エステ代などは、ライバー活動とプライベートの線引きが難しいため、家事費とみなされるケースが多いからです。
ただし、ライバーの売上と直接関係する支出に関しては、必要経費として認められます。
たとえば、イベントに出演する際のヘアメイクや、企画での特殊メイクなどでかかった費用が該当します。
経費計上して問題ないか判断に迷う支出があるライバーの方は、弊所までお気軽にご相談くださいませ!
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VTuberは確定申告書の職業欄に何と記入すれば良いですか?
確定申告書の職業欄にVTuberと記載すると、事業内容が伝わりにくいため、ご自身の活動内容に合わせて具体的に記入するのが大切です。
- 芸能業
- 広告業
- 映像制作
- 動画配信業
- ライブ配信業
- 動画クリエイター
- ゲーム実況配信者
- トークライブ配信者
- インターネット配信業
- コンテンツクリエイター
関連記事:確定申告が全くわからない方へ|やり方や相談先について税理士が解説
確定申告が必要になるVtuberの所得はいくらからですか?
副業でVtuberの活動を行っている場合、所得金額が20万円を超えると確定申告が必要です。
一方、Vtuberの活動を本業で行っているケースでは、所得金額が48万円を超えた場合、確定申告を行わなければなりません。
上記の理由として、基礎控除の控除額48万円を超えるためです。なお、所得金額とは、収入金額から必要経費を差し引いた金額を指します。
- 収入金額:21万円
- 必要経費:1万円
- 計算式:20万円 ー 1万円
- 所得金額:20万円
確定申告が必要かどうか判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:【個人事業主・法人対応】確定申告を税理士に丸投げする費用相場やメリット・デメリットを解説
ライバーや配信者の確定申告で経費になるものを教えてください
ライバーや配信者の確定申告で、必要経費として認められる費用は、収益と直接関連しているものでなければなりません。
- カメラやマイク、照明などの配信機器
- 配信用の衣装やウィッグ
- レビュー企画用の商品
- 実況配信で使用するゲーム機やゲームソフト
また、宣伝目的での他ライバーへの投げ銭や所属事務所に支払うマネジメント料なども、必要経費として認められます。
なお、自宅を拠点に配信活動を行っているケースで、家賃や水道光熱費などの家事関連費を経費計上する場合は、合理的な割合で家事按分が必要です。
関連記事:家賃はどこまで経費にできる?個人事業主・法人にわけて解説
ライバーは個人事業主として開業届の提出が必要ですか?
ライバーとして活動するうえで、個人事業主として開業届の提出は必須ではありません。ただし、開業届を提出すると、以下のようなメリットがあります。
- 青色申告を選択できるようになる
- 就労証明書を自作できるようになる
一方、下記のようなデメリットもあるため注意しましょう。
- 失業給付を受給できなくなる
- 配偶者の扶養から外れる
開業届を提出するべきかどうか判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
ライブ配信で投げ銭を受け取った場合は副業でも確定申告が必要ですか?
ライブ配信で受け取った投げ銭の合計金額から必要経費を差し引いた所得金額が、20万円を超える場合は副業でも確定申告が必要です。
なお、所得金額が20万円以下であれば、副業の確定申告は不要と定められていますが、1円でも所得金額がある場合は住民税の申告が必要になります。
繰り返しになりますが、住民税の税額の変化によって、本業の会社に副業がバレるおそれがある点には注意が必要です。
本業の会社へ副業がバレたくないライバーや配信者の方は、住民税の納税方法を自分で納付(普通徴収)にしましょう。
参考:渋谷区(住民税の申告)
関連記事:副業の確定申告は税理士に相談!費用や副業バレ回避の方法も解説
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まとめ

今回は、VTuberが必要経費にできるものについて、節税のコツや副業バレ対策とあわせて解説しました。
VTuberが必要経費にできる支出は、主に以下のとおりです。
- 配信機材やツールの購入費
- 通信費
- イラストや音楽の制作費
- 外注費
- コラボ費用
- 勉強やレッスンにかかる費用
通信費が家事関連費に該当する場合は、合理的な割合で家事按分を行い、VTuberの活動で必要だった部分のみを経費計上します。
原則、法定耐用年数が1年以上かつ取得価額が10万円以上の機材は、減価償却が必要です。適切な経費計上を行い、税務上のリスクを回避しながら、節税につなげましょう。
なお、本業の会社にバレるリスクを軽減させたい副業VTuberの方は、確定申告書の第二表にある「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で、自分で納付を選択するようにしましょう。

