こんにちは、植村会計事務所代表の植村拓真です。
弊所では設立以来、ネットビジネスやIT、広告代理店業をはじめとした、さまざまな業種の個人事業主の方と顧問契約を結ばせていただいております。
個人事業主の方と顧問契約を結ばせていただくうえでのお悩みで特に多いのが、いつから(いくら稼いだら)顧問税理士をつけるべきなのか、費用はいくら必要なのか、どんな税理士を探せばいいのかといった内容です。
今回はそんなお悩みをお持ちの方に向けて、個人事業主に顧問税理士はいつから必要かについて費用相場やタイミングとあわせて解説します。
顧問税理士については以前別の記事で解説しましたので、今回は個人事業主に焦点を当てております。
関連記事:顧問税理士とは?顧問契約の必要性・メリットや注意点を解説
所得税の申告は原則2月16日~3月15日まで、消費税の申告は3月31日(令和5年分は4月1日)までです。
税理士事務所では毎年12月~翌年3月末までの期間に個人事業主からの依頼が集中する影響で、依頼を受付停止にする傾向があります。
個人事業主の顧問税理士の必要性
本項目では上記のようにお考えの方向けに、個人事業主の顧問税理士の必要性について解説します。
税理士との契約の種類といらないケースの3パターンについて解説するので、顧問税理士を探すうえで参考にしてみてください。
- 顧問税理士が必要なケース
- スポット契約で十分なケース
- 税理士がいらないケース
顧問税理士が必要なケース
個人事業主は売上が小規模で経理が単純な傾向があるため、顧問税理士は不要であると考える方がいらっしゃいます。
しかし経理や確定申告は税金に関する専門知識が必要で、時間も手間もかかりがちです。
個人事業主は事業を行いながらも、正確に確定申告を行わなければいけません。
正確な確定申告を行うためには税金に関する正しい知識を学ぶ時間が必要ですし、ミスがないかを確認しながら慎重に申告作業を行う時間も必要です。
事業を行いながらでは確定申告にかける時間が足りなくて、申告ミスをしてしまい追徴課税が発生する恐れがあります。
そこで個人事業主が税理士と顧問契約を結べば、確定申告だけでなく日々の帳簿付けや節税対策、税務調査や税制改正の対応など、さまざまな業務を代行してもらえます。
そしていつでも税金に関する内容を専門家に質問できるため、税金に関してわからないことがあっても安心です。
税金に関する作業にかける時間を一気に減らせるため、事業に集中してさらに効率良く売上を伸ばせます。
売上が伸びている、資金に余裕がある、事業に集中したい方は、税理士との顧問契約を検討してみましょう。
スポット契約で十分なケース
個人事業主の税理士との顧問契約は、必ず必要なわけではありません。
状況によってはスポットで、税理士と短期間の契約を結んだほうがいいケースもあります。
たとえば確定申告だけを税理士に依頼する際、スポット契約を結ぶことになります!顧問契約とは異なり短期間の契約になるため、費用が少なくて済みます!
税理士と顧問契約ではなくスポット契約を結ぶケースは、以下のとおりです。
- 売上が少ない
- 取引件数が少ない
- 経理や税務会計に関する知識と経験を有している
個人事業主で売上が少ないうちは税理士費用が大きな負担となるため、顧問契約ではなくスポット契約を結んで出費を抑える方が多いです。
そして年間の取引件数が少ないうちは、普段の経理や税務会計の難易度が低いため自力で行って、同様に税理士とスポット契約を結んで確定申告を完了させる方が多い傾向があります。
年間の取引件数が少なくて白色申告を行うケースでは、青色申告や法人の決算申告ほど専門知識が必要になりません。
そのためネットや書籍で調べた知識を用いて普段の経理や税務会計を行い、確定申告だけを税理士に丸投げされる方もいらっしゃいます。
また経理や税務会計に関する知識と経験を有している方も、確定申告のみを税理士に依頼して確定申告にかかる時間を短縮させている方もいらっしゃいます。
関連記事:確定申告を税理士に丸投げする際のメリットや費用を抑えるコツ
税理士がいらないケース
個人事業主で顧問税理士がいらないケースは、以下のとおりです。
- 経理や税務会計に関する知識と経験を有している
- 時間に余裕がある
- 資金に余裕がない
経理や税務会計に関する知識と経験を有している方の中には、税理士への依頼自体が不要だと考えている方もいらっしゃいます。
個人事業主の経理や税務会計は法人ほど難易度が高くないため、経理や税務会計に関する知識や経験があれば自力でも行えるからです。
そして自力でネットや書籍で正しい情報を学び、正確に確定申告を行えるだけの時間がある方も税理士は不要です。
現在リリースされているクラウド会計ソフトは優秀な製品が多いため、経理や税務会計に関する知識や経験を有している方であれば、効率良く普段の経理や税務会計から確定申告まで行えます。
また個人事業主で売上が少ないうちは税理士費用が大きな負担になりますし、年間の取引件数が少ない傾向にあるため、税理士を必要としない方もいらっしゃいます。
ただし税理士がいない方は自力で正確な確定申告や適切な節税対策を行い、税務調査の連絡が入れば対応しなければなりません。
申告ミスや無申告のまま放置していると追徴課税が発生しますので、正確に税金を申告する自信がない方は税理士との顧問契約を検討してみましょう。
関連記事:無申告がバレる仕組み・確定申告しなかったときの末路を税理士が解説
個人事業主が顧問税理士をつけるタイミング
続いては個人事業主が顧問税理士をつけるタイミングについて解説します。
主なタイミングは以下のとおりです。
- 資金に余裕がある方は開業するとき
- 売上が伸びて安定しているとき
- 消費税の課税事業者を選択するとき
順番に見ていきましょう。
資金に余裕がある方は開業するとき
個人事業主として開業する際、資金に余裕があれば税理士との顧問契約を検討してみましょう。
開業時から顧問税理士をつけておくと、日々の帳簿付けや節税対策、税務調査に資金調達など、あらゆる場面でサポートしてもらえます。
開業直後は開業届を提出したり事業を軌道に乗せたりする必要があるため、なかなか経理や税務会計に時間を回せません。
そこで税理士と顧問契約を結んでおけば、事業に集中しつつも開業届を期限までに提出できますし、適切な経理や税務会計を行えます。
売上が伸びて安定しているとき
個人事業主で売上が伸びて安定してきたときも、税理士との顧問契約を検討するタイミングです。
後ほど解説しますが顧問税理士をつけるためには顧問料や確定申告料など、合計数十万円の費用が必要だからです。
売上が増加して安定する頃には、個人事業主とはいえ年間の取引件数が増加して税金の計算が複雑になります。
事業を行いながら自力で確定申告を行うハードルが上がるため、顧問税理士の必要性が高まります。
消費税の課税事業者を選択するとき
個人事業主で売上が伸びて課税売上高が1,000万円を超えると、2年後に消費税の課税事業者となります。
消費税の申告が必要になるため、顧問税理士をつける方が多いです。
しかし令和5年10月1日からはインボイス制度が始まり、課税売上高が1,000万円未満の個人事業主でも消費税を申告しなければならない方も出てきました。
消費税の申告は複雑で難しいため、今では課税売上高が1,000万円未満の方でも顧問税理士をつける方がいらっしゃいます。
実際に弊所では、インボイス制度が始まる前後にご相談くださる方が急増しました。
個人事業主が顧問税理士をつけるメリット
ここまで軽く触れてきましたが、個人事業主が顧問税理士をつけるメリットについてさらに詳しく解説します。
- 税務会計を専門家に丸投げして事業に集中できる
- 申告ミスによる税務調査や追徴課税のリスクを回避できる
- 適切な節税対策を実施してお金を残せる
- いつでも税金や資金繰りなどについて相談できる
順番に解説していきますので、顧問税理士をつけるうえで参考にしてみてください。
税務会計を専門家に丸投げして事業に集中できる
個人事業主の税務会計は法人ほど複雑ではないとはいえ、売上が伸びてくると事業と同時に行えるほど簡単でもありません。
ただでさえ事業で忙しい中、領収書や請求書の整理、日々の帳簿付け、会計ソフトへの数値の入力、税務調査の対応など、さまざまな事務作業を行わなければならないからです。
個人事業主は売上や取引量が少ないうちは自力でも税務会計を行える方がいらっしゃいますし、税理士とスポット契約を結んで確定申告だけでも丸投げすればなんとかなります。
しかし売上が伸びると事業が多忙になる傾向がありますし、普段の事務作業の増加はもちろん税制改正や税務調査の準備などを行う必要があるため、自力で税務会計を行うのは困難です。
そこで個人事業主が顧問税理士をつけると、必要書類やデータを税理士に提出するだけで煩わしい税務会計から解放されます。
専門家がインボイス制度や税務調査なども代わりに対応してくれるため、事業だけに集中できます。
売上につながらない作業はなるべく行いたくない、事業に集中してさらに売上を伸ばしたい、インボイス制度などの税制改正や税務調査などに対応できる自信がない方にとって、税理士に依頼するメリットは大きいです。
申告ミスによる税務調査や追徴課税のリスクを回避できる
所得税や消費税などの申告ミスを防げる点も、個人事業主が顧問税理士をつける大きなメリットのひとつです。
顧問税理士が税務会計を代行すれば、税金の申告ミスによる税務調査や修正申告のミスにより追徴課税が発生するリスクを回避できます。
税務会計を事業を行いながら自力で行うとミスをする恐れがありますし、税務調査の連絡が入っても準備が不十分で多額の追徴課税を課される恐れもあります。
しかし専門家が代行すればミスはありませんし、万が一ミスをしても補償してもらえますので安心です。
個人事業主で税務調査や追徴課税のリスクを回避しつつ事業に集中したい方は、税理士との顧問契約を検討してみましょう。
税務調査や追徴課税については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:税務調査における修正申告・更正とは?違いについて税理士が解説
適切な節税対策を実施してお金を残せる
個人事業主で顧問税理士をつけておくと、適切な節税対策を実施してより多くのお金を残せます。
税理士は税制や節税対策に関する最新情報を集めつつ、個人事業主の顧問経験を重ねているからです。
顧問税理士は顧問先の業績を把握しているため、時期や状況に合わせた適切な節税対策についてアドバイスできます。
顧問先の業種によっては時期や状況次第で節税効果を大きく高められるケースがあり、専門家であるため的確に対応してくれます。
いつでも税金や資金繰りなどについて相談できる
税理士と顧問契約を結んでおけば、いつでも税金や資金繰りなどに関して相談できます。
税制改正が行われてもすぐに対応できますし、事業を拡大したいときにスムーズに動けるため、安心して事業に集中したい方は顧問税理士をつけておくのがおすすめです。
たとえばインボイス制度の対応ですが、適格性請求書発行事業者の登録を行うべきか、どうやって登録するのか、制度を考慮するといつ法人成りすべきかなど、個人事業主の方からご相談いただく機会があります。
制度について調べたけどよくわからない、調べる時間がない、けど始まるから対応しなければいけないといったお悩みをお持ちの方が多いです。
制度改正が行われた際に顧問税理士がいれば即座に対応について相談できるのですが、いなければ自力で対応するか、新たに税理士を探さなければなりません。
制度改正の対応に時間がかかるため、事業に集中できなくなります。
今後税制改正や資金繰りなどで悩まずに事業に集中したい個人事業主の方は、税理士との顧問契約を検討してみましょう。
また先ほど少し触れましたが、法人成りについてもご自身の状況に合わせたベストタイミングを教えてもらえますし、法人成り前後の手続きや経理・税務会計をサポートしてもらえます。
法人成りを検討している方も、税理士への依頼を検討してみてください。
個人事業主が顧問税理士をつける際の費用相場
個人事業主が顧問税理士をつける際の費用相場を紹介します。
以下の表をご覧ください。
年商 | 顧問料(月額) | 確定申告料(年額) |
1,000万円未満 | 2.5万円 | 10万円 |
1,000万円~3,000万円未満 | 3万円 | 13万円 |
3,000万円~5,000万円未満 | 3.5万円 | 15万円 |
5,000万円~1億円未満 | 4万円 | 17万円 |
1億円~ | 相談 | 相談 |
税理士の顧問料は、主に年商や年間の取引件数、訪問回数によって変動します。
上記はあくまで費用相場ですので、税理士を選ぶ際は年間の顧問料と依頼内容のバランスが取れているかに注目してみましょう。
安すぎるとサービスの質が悪かったり、高すぎるとサービス以上の料金を払ってしまっていたりします。
上記の料金を参考にしつつ、ご自身に合った税理士を探してみてください。
個人事業主の顧問税理士の失敗しない選び方
最後に個人事業主の顧問税理士の失敗しない選び方について解説します。
税理士を探す際は、以下の内容に注目してみてください。
- 個人事業主の依頼を受け付けているか
- 安心して相談できそうか
- 自分の業種の顧問経験が豊富か
- 税理士費用がサービス内容に合っているか
- 後から追加費用が発生しないか
- 他所と比較してどうか
個人事業主の方が税理士を探す際は、まず個人事業主の依頼を受け付けているかを確認しましょう。
事務所によっては、個人事業主からの依頼を受け付けていないケースがあるからです。
そして安心して相談できそうか、特定の業種の顧問経験が豊富か、費用に見合ったサービスを受けられるか、後から費用を請求されないかといった点に注目していくつかの事務所を比較すれば、税理士選びで失敗する確率を下げられます。
税理士の選び方については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:失敗しない税理士の選び方|依頼タイミングと変更のコツも解説
個人事業主の顧問税理士は植村会計事務所にお任せください!
今回は個人事業主に顧問税理士はいつから必要かについて費用相場やタイミングとあわせて解説しました。
個人事業主の方は売上が伸びるにつれて、顧問税理士の必要性が高まります。
所得税や消費税の申告、インボイス制度の対応、適切な節税対策の徹底、法人成りのベストタイミングなど、さまざまな場面でご自身に合ったアドバイスやサポートを受けられますので、売上が伸びてきた方は税理士との顧問契約を検討してみてください。
事務所によっては個人事業主からの依頼を受けてないケースがありますので、事前にホームページで確認しておきましょう。