こんにちは、ネットワークビジネスに強い税理士の植村拓真です。
ネットワークビジネスは副業として取り組みやすいビジネスのひとつであり、弊所でもネットワークビジネス事業者(ディストリビューター)の方から、税務に関するご相談をいただく機会が多いです。
特に、以下のような質問をよくいただきます。



本記事を読んでいるネットワークビジネス事業者の方の中にも、上記のような疑問や不安を抱いている方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、ネットワークビジネスを副業禁止の会社でもバレずに行う方法について解説します。
副業バレのリスクを回避したいネットワークビジネス事業者の方は、本記事を参考にしてみてください。
【全国対応・無料】ご相談・法人化シミュレーション・見積もりはこちら
ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う方法
本項目では、ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う方法に関して、下記の2点に分けて解説します。
- 確定申告で住民税を普通徴収にする
- 社会保険やマイナンバーからバレる確率は低い
それでは、順番に見ていきましょう。
確定申告で住民税を普通徴収にする
確定申告で住民税を普通徴収にするのは、ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行うための対策のひとつです。
ネットワークビジネスの会社から支払われた報酬は、事業所得または雑所得に区分されるため、原則として確定申告が必要になります。
副業の所得がある場合、納付する住民税が増えるため、本業の会社の経理担当者が税額の変化に気づき、副業でネットワークビジネスを行っているのがバレるおそれがあります。
会社員が納める住民税は、下表のような流れで徴収されているためです。
引用:総務省(納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿)
ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行うためには、確定申告書の第二表に記載されている「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄で「自分で納付」を選択しましょう。
「自分で納付」に丸印を付けて確定申告書を提出すれば、副業の所得で生じる住民税に関しては、納税通知書が自宅に届くようになります。
確定申告の際に上記の手続きを行えば、本業の会社に住民税の税額変化を気付かれるリスクを軽減できます。
ただし、下記のとおり、「自分で納付」を選択しても、特別徴収に変更されるケースがあるため注意が必要です。
給与所得以外の所得がマイナスの場合や、申告の内容によっては、「自分で納付」を選択していても、特別徴収となる場合があります。
引用:文京区(副業がある場合の徴収方法について)
特に、副業禁止の会社に勤めているネットワークビジネス事業者の方は、確定申告の前に居住地の自治体へ確認しておきましょう。
関連記事:ネットワークビジネスを行う個人事業主の税金と確定申告について税理士が解説
社会保険やマイナンバーからバレる確率は低い

副業禁止の会社に勤めながらネットワークビジネスを行う際、上記の点について多くの方が心配されます。
しかし、社会保険やマイナンバーから副業がバレる確率は極めて低いです。
業務委託契約に基づいて支払われる報酬は、事業所得または雑所得に区分され、給与所得に該当しないため、社会保険に影響を及ぼしません。
また、下記のとおり、マイナンバー制度によって、副業がバレるリスクは低いです。
マイナンバー制度により、地方税関係手続に変更が生じるものではなく、マイナンバー制度により副業を行っている事実が新たに判明するものではありません。
引用:デジタル庁(よくある質問:マイナンバー制度について|総論)
なお、マイナンバーを知られただけでは、マイナンバーに紐付いている情報を引き出せません。
マイナンバーが他人に見られたり漏れたりしたとしても、マイナンバーだけで手続はできないため、情報を引き出したり、直ちに悪用したりすることはできません。
引用:デジタル庁(よくある質問:マイナンバー制度について|総論)
国の行政機関でさえも特別な事情がない限り、マイナンバーに紐付いた情報を確認できません。
行政機関等が個人の口座の残高を確認するには、法令に基づき必要な調査(社会保障の資力調査や税務調査など)を行う場合に限られています
引用:デジタル庁(よくある質問:マイナンバー制度について|総論)
以上を踏まえて、社会保険やマイナンバーから副業がバレる確率は非常に低いといえます。
参考:国税庁(No.1300 所得の区分のあらまし)
参考:国民年金機構(算定基礎届の記入・提出ガイドブック|令和7年度)
参考:デジタル庁(よくある質問:個人情報の保護について)
【全国対応・無料】ご相談・法人化シミュレーション・見積もりはこちら
ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う際の確定申告における注意点
本項目では、ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う際の確定申告における注意点について解説します。


上記のような不安を抱えているネットワークビジネス事業者の方は、本項目を参考にしてみてください。
ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う際の確定申告における注意点は、次のとおりです。
- 損益通算すると本業の会社にバレるリスクが高まる
- 青色申告を選択する場合は事前の承認が必要
- 必要経費の証憑書類はきちんと保管しておく
- 自宅の家賃を経費計上する際は家事按分する
- 課税売上高が1,000万円を超えると翌々年から消費税の納税が必要
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
損益通算すると本業の会社にバレるリスクが高まる
ネットワークビジネスの所得が事業所得に該当する場合、損益通算の適用によって、本業の給与所得からネットワークビジネスの赤字を控除できるため、税負担の軽減が期待できます。
しかし、副業禁止の会社員の場合、損益通算には重大なリスクが潜んでいます。損益通算を行うと課税所得が減少するため、住民税の税額も少なくなるからです。
繰り返しになりますが、下表のとおり、会社員が納める住民税は特別徴収されるため、住民税の大幅な減少は副業の発覚につながりかねません。
引用:総務省(納税義務者用の特別徴収税額決定通知書の記載内容の秘匿)
節税効果よりも副業がバレるリスクを回避したい場合は、損益通算を適用するための確定申告は控えるのが望ましいです。
なお、下表のとおり、ネットワークビジネスの所得が雑所得に該当する場合は、損益通算の対象外です。
ただし、雑所得は青色申告の対象外のため、青色申告の特典である赤字の繰越控除を適用できません。
上記の理由から、ネットワークビジネスの所得が雑所得に該当する場合も、赤字の確定申告を行うメリットは薄いです。
関連記事:ネットワークビジネスを行う個人事業主の税金と確定申告について税理士が解説
青色申告を選択する場合は事前の承認が必要
ネットワークビジネスで青色申告を選択する場合、納税地を所轄する税務署へ青色申告承認申請書を事前に提出しておく必要があります。
青色申告承認申請書が未提出の場合、自動的に白色申告となるため注意しましょう。青色申告承認申請書の提出期限は、下表のとおりです。
青色申告を選択した場合、複式簿記による記帳と損益計算書や貸借対照表の作成が求められますが、下記のような税制上の優遇措置を受けられます。
1. 最大65万円までの青色申告特別控除が受けられる
2. 家族への給与を全額経費に算入できる
3. 赤字の場合の損失を3年間繰り越すことができる
4. 30万円未満の資産を取得した場合、一度に経費に計上できる
引用:J-Net21(青色申告とはどのようなものですか?メリットは何でしょうか?)
繰り返しになりますが、青色申告を選択できるのは、ネットワークビジネスで得られる所得が、事業所得に該当するケースのみです。
事業所得と雑所得の区分は難しいため、ご自身の所得がどちらに該当するか判断に迷う場合は、弊所までお気軽にご相談くださいませ!
【全国対応・無料】ご相談・法人化シミュレーション・見積もりはこちら
必要経費の証憑書類はきちんと保管しておく
必要経費を適切に計上し、税負担の軽減を図るためには、領収書やレシートなどの証憑書類をきちんと保管しておく必要があります。
証憑書類の保存期間は青色申告の場合、下表のとおりです。
一方、白色申告の場合は、下表のとおりです。
万が一、税務調査に入られた場合、証憑書類は厳しくチェックされる傾向があるため、年度別に整理し保管しておきましょう。効率的な保管方法は、以下のとおりです。
- 月別に分けて封筒へ仕舞っておく
- 13ポケットファイルへ収納する
- コピー用紙へ貼付し製本する
証憑書類を適切に保管していなかった場合、経費計上が否認されるおそれがあるため、ルールに則った管理を徹底しましょう。
関連記事:ネットワークビジネスの節税対策|副業がばれない方法や無申告のリスクも解説
自宅の家賃を経費計上する際は家事按分する
自宅の家賃を経費計上する際は、家事按分が必要です。自宅の家賃は家事関連費に該当するため、全額を経費計上できません。
ネットワークビジネスの活動で実際に使用している面積や時間に応じて、合理的な割合で按分する必要があります。
使用時間を基準とする場合、1日あたりの使用時間が平均3時間であれば、経費計上できるのは、家賃の12.5%までです。
3時間 ÷ 24時間 ✕ 100 = 12.5%
なお、家事按分の根拠が不明瞭な場合、経費計上を否認されるおそれがあります。
上記のようなリスクを回避するためには、以下のような資料を用意しておき、客観性を担保できるようにしましょう。
- 按分割合の根拠を書面で整理しておく
- 自宅の間取り図に事業で使っているスペースを書き込む
- 作業時間を詳細に記録する
家事按分の割合に問題がないか不安な場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:家賃はどこまで経費にできる?個人事業主・法人にわけて解説
課税売上高が1,000万円を超えると翌々年から消費税の納税が必要
下表のとおり、課税売上高が1,000万円を超えた場合、翌々年から消費税の納税が必要になります。
引用:国税庁(消費税のしくみ)
なお、1月1日〜6月30日までの期間に課税売上高が1,000万円を超えた場合は、翌年から消費税の納税義務が発生するため注意が必要です。
消費税の課税方式には一般課税と簡易課税の2種類があり、どちらを選ぶかで納税額が変わるため、慎重に検討しましょう。
一般課税と簡易課税の計算方法については、国税庁のホームページをご参照ください。
簡易課税を選択する場合は、課税期間が開始する前日までに、消費税簡易課税制度選択届出書を、納税地を所轄する税務署へ提出する必要があります。
インボイス制度が施行されている現在、課税売上高が1,000万円を超える見込みがない場合でも、消費税の課税事業者の選択と適格請求書発行事業者の登録を検討しましょう。
インボイスを発行できない消費税の免税事業者のままでいると、提携しているネットワークビジネスの会社は仕入税額控除を適用できないため、最悪の場合、取引を断られるおそれがあるからです。
ネットワークビジネス業にインボイス制度が与える影響については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:ネットワークビジネス(MLM)業にインボイス制度が与える影響と対策
【全国対応・無料】ご相談・法人化シミュレーション・見積もりはこちら
ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う方法に関するよくある質問
最後に、ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う方法に関するよくある質問について紹介します。
副業でネットワークビジネスにチャレンジしようと考えている方は、本項目も参考にしてみてください!
内容は随時追記します。
ネットワークビジネスは儲かるのでしょうか?
ネットワークビジネスが確実に儲かるビジネスモデルかどうかについては、一概にはいえません。
ただし、再現性には個人差があり、継続的な努力や適切な組織構築などが必要不可欠です。
安定した報酬を受け取っているネットワークビジネス事業者の方がいる一方で、思うように収益が上がらない方がいるのも実情です。
特に、ネットワークビジネスの収益性は、ご自身の行動量や戦略、環境などに大きく左右されます。
副業でネットワークビジネスにチャレンジしようと考えている方は、ビジネス上のリスクや現実的なキャッシュフローなども考慮しながら検討しましょう。
ネットワークビジネスの会社を選ぶうえで着目すべき点は何ですか?
また、知名度や安定性、成長性の高さも、ネットワークビジネスの会社を選ぶうえで着目すべき観点です。
万が一、ご自身が提携しているネットワークビジネスの会社が経営不振に陥った場合、地道に築き上げた販売ネットワークが機能しなくなったり、収入が大幅に減少したりするおそれがあります。
ネットワークビジネスは、提携する会社に大きく依存するビジネスモデルであるため、将来性のある会社を選ぶようにしましょう。
【全国対応・無料】ご相談・法人化シミュレーション・見積もりはこちら
まとめ
今回は、ネットワークビジネスを副業禁止の会社でもバレずに行う方法について解説しました。
確定申告で住民税を普通徴収にすれば、本業の会社にバレるリスクを軽減できます。なお、社会保険やマイナンバーから副業がバレる確率は低いです。
また、ネットワークビジネスを副業禁止でもバレずに行う際の確定申告における注意点は、以下のとおりです。
- 損益通算すると本業の会社にバレるリスクが高まる
- 青色申告を選択する場合は事前の承認が必要
- 必要経費の証憑書類はきちんと保管しておく
- 自宅の家賃を経費計上する際は家事按分する
- 課税売上高が1,000万円を超えると翌々年から消費税の納税が必要