こんにちは、マイクロ法人の顧問実績が豊富な税理士の植村拓真です。
マイクロ法人に関するお問い合わせが急増していますので、本記事を作成いたしました。
これから設立を検討している方は、デメリットや注意点の見出しには特に目を通しておいてください。
マイクロ法人の設立を検討している個人事業主の方は、
上記のように考えている方が多いです。
実際にマイクロ法人を設立して個人事業主と二刀流している方がいらっしゃいます。
BtoBは個人BtoCは法人で小さく。
やっぱ個人事業主とマイクロ法人二刀流しか勝たん!今はね。 pic.twitter.com/sJwrL9MyO5— ®️あーるかんぱにー (@Rcompany1009) November 11, 2023
右手の剣(YouTube)こっちマイクロ法人
左手の剣(アクシー)個人事業
二刀流で税金最適化しよう✊
— でぃくしー(Dixie) (@Dixie_axie) October 13, 2021
そして、
上記のように考えている方が、売上が伸びてきたので一時的に節税したいと考えて、マイクロ法人を設立しているケースもあります。
今回はそんな方に向けて、マイクロ法人と個人事業主の二刀流で節税するメリット・デメリットについて解説します。
税金や社会保険料など考慮すべきことは多くありますので、しっかりシミュレーションしてマイクロ法人の設立を検討しましょう。
マイクロ法人と個人事業主の二刀流とは
そう考えている方向けに、マイクロ法人の特徴と普通の法人との違いについて簡単に解説します。
マイクロ法人とは
そもそもマイクロ法人とは、株主と取締役が一人の小さな会社のことです。
社長とその家族で運営されるケースもあり、プライベートカンパニーとも呼ばれています。
一人もしくは身内だけで運営している小規模な会社のことです。
法人と聞けば、立派なオフィスや設備が整い、多くの従業員を雇っている会社をイメージするでしょう。
しかし、繰り返しになりますが、マイクロ法人とは一人社長が従業員を雇わず必要最低限の環境で事業を行う事業形態のことです。
通常の法人とは異なり、事業拡大よりも節税目的で設立されるケースが多いです。
マイクロ法人を設立して個人事業主と二刀流するメリットについては、「マイクロ法人を個人事業主が設立するメリット」で解説していきます。
個人事業主と法人の違いから知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:会社と個人事業主はどっちが得?メリット・デメリットを比較して法人化を検討
普通の法人との違い
マイクロ法人と普通の法人の違いですが、事業規模の拡大を目指しているかどうかにあります。
マイクロ法人は節税目的で設立するため、株式を発行して株主を募ったり事業規模を拡大したりしません。
一方で普通の法人は、株式を発行して投資家から資金調達を行い、事業によって得た利益を株主に還元しながら事業規模の拡大を目指します。
繰り返しになりますが、マイクロ法人は従業員を雇わずに個人事業主との二刀流で節税しつつ事業を行う法人です。
社長がひとりの会社を指すケースもありますが、本記事では節税目的で個人事業主との二刀流で節税しつつ事業を行う法人として取り扱っていきます。
マイクロ法人の種類
マイクロ法人の法人形態は、普通の法人と同じく株式会社や合同会社などを選択できます。
マイクロ法人は節税目的で節税される傾向があるため、設立費用や維持費が安い合同会社を選択する方が多いです。
株式会社と合同会社の選択で迷っている方向けに、各法人形態の主な特徴を紹介します。
法人形態 | 株式会社 | 合同会社 |
設立費用 | 約25万円 | 約10万円 |
対外的な信用度 | 合同会社よりも高い | 株式会社よりも低い |
資金調達の手段 | 株式で資金調達を行える | 株式を発行できないため、金融機関などを利用する |
課税される税金 | 法人税 | 法人税 |
マイクロ法人と個人事業主を二刀流するメリット
マイクロ法人と個人事業主の二刀流には、主に以下のようなメリットがあります。
- 所得税と住民税を節税できる
- 消費税の免税事業者となる
- 社会保険料の負担を抑えられる
- 社会的な信用を得られる
- 資金調達の審査に通りやすい
順番に詳細を解説していきます。
所得税と住民税を節税できる
個人事業主の売上をマイクロ法人に移して、マイクロ法人から給与(役員報酬)を受け取りましょう。
法人から受け取る役員報酬には給与所得控除が適用されるため、所得税と住民税を節税できます。
給与所得控除の最低金額は、役員報酬などの収入金額が162万5,000円以下のケースで55万円です。
いくら節税できるかは所得により変動しますが、最低でも約8万円(住民税を含む)安くできます。
消費税の免税事業者となる
事業の売上が1,000万円を超えると、翌々年から消費税の課税事業者となります。
消費税の課税事業者となるスケジュールは、以下のとおりです。
↓
2025年:消費税の免税事業者のまま
↓
2026年:消費税の課税事業者となる
消費税の課税事業者となる要件については、以下の記事で詳しくご確認いただけます。
関連記事:法人成りで消費税の免税事業者になる要件
上記の場合、2024年の売上をマイクロ法人に移して1,000万円以内に調整すれば、消費税の免税事業者となります。
- 個人事業主の売上:1020万円
- 売上の内訳:税理士で950万円+アフィリエイトで70万円
- このままだと消費税の課税事業者になる
- アフィリエイトの売上70万円をマイクロ法人に移動
- 個人事業主の売上が950万円となり消費税の免税事業者に
ただし、令和5年10月からインボイス制度が開始しているため、消費税の免税事業者であるメリットは薄れてしまいます。
消費税の納税回避が目的でマイクロ法人を設立したい方は、インボイス制度について確認しておきましょう。
関連記事:インボイス制度と法人成り|タイミングから影響と対策まで解説
社会保険料の負担を抑えられる
マイクロ法人を設立すると、社会保険料の負担を抑えられます。
サラリーマンかサラリーマン以外かで、加入する社会保険が異なるからです。
以下の表をご覧ください。
サラリーマンかどうか | 加入する社会保険の種類 |
サラリーマン (法人から役員報酬を受け取る場合も該当) |
健康保険・厚生年金 |
サラリーマン以外 | 国民健康保険・国民年金 |
あなたがマイクロ法人から役員報酬を受け取る立場であれば、健康保険・厚生年金に加入します。
そして、マイクロ法人と個人事業主の二刀流である場合、役員報酬に応じた社会保険料を負担しますが、個人事業主で社会保険に加入する必要はありません。
マイクロ法人から支払う役員報酬を少なくすれば、社会保険料も少なくできます。
関連記事:マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点を解説
社会的な信用を得られる・資金調達で有利
マイクロ法人メインで事業を行う場合のメリットですが、会社を設立すれば社会的な信用を得られます。
マイクロ法人は設立時に登記が必要です。そして会社法に則って運営するため、社会的な信用が個人事業主よりも高いです。
また、法人は個人事業主よりも、資金調達時の審査に通りやすい傾向があります。
先ほど解説したとおり、社会的な信用があるからです。
いずれ本格的に事業を拡大させるなら、個人事業主よりも法人のほうが有利です。
関連記事:法人成りのメリットは責任・信用・節税面にあり!デメリットもあわせて解説
経費計上できる範囲が広がる
マイクロ法人と個人事業主の二刀流には、経費扱いできる費用が増えるメリットがあります。
法人化のメリットとしてもよく挙げられる内容で、マイクロ法人が経費計上できる出費は個人事業主よりも多いからです。
たとえば、会社から社長に支払う役員報酬や賞与、退職金、福利厚生費用、社会保険料、生命保険料、出張の日当などが、マイクロ法人で経費計上できる費用に該当します。
さらに、役員や従業員にした家族に支払う給与や賞与も、事前の届出なしで経費計上できる点も大きなメリットです。
マイクロ法人と個人事業主を二刀流するデメリット
マイクロ法人と個人事業主の二刀流には、メリットだけでなくデメリットもあります。
デメリットとはいっても、いずれも「仕方ないか」と感じるものばかりです。
本項目で解説する内容は、以下のとおりです。
- 経理の手続きが多く複雑
- マイクロ法人と個人事業主の両方で確定申告が必要
- 事業拡大時に外注が必要になる
- 会社設立と維持に費用がかかる
- 法人用の銀行口座開設が難しい
マイクロ法人を設立する前に、これから解説する内容に目を通しておきましょう。
経理の手続きが多く複雑
マイクロ法人は法人に変わりないため、個人事業主よりも税務書類の作成が複雑かつ多いです。
法人事業概況書や勘定科目内訳書など、簡単に作成できない書類を作成しなければなりません。
ですので、個人事業主の方は、法人成りする際に顧問税理士をつける方が多いです。
法人成りする際に税理士費用がかかる点も、デメリットの一つといえるでしょう。
とはいえ、顧問税理士がいれば節税対策を徹底できますし、稼ぐことだけに集中できます。
税理士費用がかかっても、経費にできますし資金に余裕があれば問題ありません。
事業が軌道に乗ってきている方は、税理士との顧問契約も検討してみましょう。
関連記事:マイクロ法人で税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人と個人事業主の両方で確定申告が必要
マイクロ法人と個人事業主を二刀流する際は、両者で確定申告を行わなければなりません。
繰り返しになりますが、法人の経理や税務会計は手続きが多いうえに複雑です。
そのうえで個人事業主の経理や税務会計も行う必要があるため、専門知識や経験がない方にとって事業を行うハードルが上がってしまいます。
関連記事:【法人の決算申告】税理士なしのリスクと依頼時の費用相場
会社設立と維持に費用がかかる
仕方のないことですが、マイクロ法人を設立すると設立費用や維持費用がかかります。
設立費用は株式会社なら約24万円、合同会社なら約6万円と会社の形態によって異なります。
そして、維持費用は会社の形態に関係なく、法人住民税や社会保険料・税理士費用などがかかります。
少しでも費用を抑えてマイクロ法人を設立するなら、合同会社を選択しましょう。
マイクロ法人の設立費や維持費については、後ほど詳しく解説します。
法人用の銀行口座開設が難しい
マイクロ法人を設立する際、法人名義の銀行口座を開設します。
法人名義の銀行口座を開設すれば以下のように外部から判断されるため、社会的な信用を得やすいです。
- 個人の資産と分けて管理している
- 実体のある会社である
法人名義の銀行口座を開設する際、会社のオフィスは自宅やバーチャルオフィスではなく、実際のオフィスを用意しましょう。
自宅やバーチャルオフィスだと口座開設の審査に落ちやすいからです。
また、会社の資本金が少ない、事業内容が曖昧である場合も、口座開設の審査に落ちるケースがあります。
マイクロ法人の銀行口座を開設する際は、
- 会社のオフィスは実際のオフィスを用意する
- 資本金を1円など極端に少なくしない
- 事業内容を明確に設定する
上記の3点を意識してみましょう。
どうしても口座開設の審査に通らない場合は、審査が甘いネットバンクなどで口座を開設して、売上を作ってから実際のオフィスに登記を移してみてください。
その後、再度法人名義の銀行口座を開設してみましょう。
法人の住所はバーチャルオフィスで登記しても良いんですけど、法人口座開設の審査に通りにくくなってしまう傾向があります、、
その場合、多少審査甘めな金融機関でとりあえずの法人口座を作り、売上などの実績を作った上で、実態のあるオフィスに登記を移してから審査に申し込むのが良いですね。
— 植村拓真|ネットビジネスの税理士 (@Takuma_Uemura_) September 26, 2021
事業拡大時に外注が必要になる
売上が伸びて事業を拡大する場合、業務量が増えて外注を利用するケースがあります。
一人社長の会社では業務をこなすことが困難になるでしょう。
外注を利用する際、外注費に加えて外注先を探すための時間もかかります。
とはいえ、顧問税理士をつけるケースと同様に、外注を利用することで生産性の向上が期待できます。
事業が軌道に乗ってきたら、外注を利用してさらに事業拡大してみましょう。
マイクロ法人の設立費用と維持費
マイクロ法人の設立費用と維持費について、さらに詳しく解説します。
マイクロ法人の設立と維持のために、どれほどのコストがかかるのかを確認しておきましょう。
設立時にかかる費用
先ほど解説したとおり、マイクロ法人を設立する際には以下の費用がかかります。
形態 | 費用 (電子定款でない場合は+4万円) |
株式会社 | 約20万円 |
合同会社 | 約6万円 |
マイクロ法人を節税目的のみで設立する方は、費用を抑えるために合同会社を選択しましょう。
弊所では会社設立からご依頼いただいた方に、株式会社13.8万円、合同会社1.6万円で設立をフルサポートするプランを提供しております。
会社の維持費
続いて、マイクロ法人の維持費について解説していきます。
会社の形態にかかわらず以下の維持費がかかります。
かかる費用 | 特徴 |
法人住民税 | 売上に関係なく赤字でも納税する 法人住民税均等割が課せられる (東京都なら年間7万円) |
社会保険料 | 健康保険や厚生年金などの加入義務あり |
マイクロ法人を設立すると、事業で赤字を出していても法人住民税を納めなければいけません。
東京都の場合は年間7万円が必要です。
そして先ほど解説したとおり、マイクロ法人は法人なので社会保険に加入する義務があります。
法人住民税に加えて社会保険料もかかるため、マイクロ法人を維持するには費用がかかることを覚えておきましょう。
マイクロ法人を設立すべきケース
マイクロ法人と個人事業主を二刀流するメリットやデメリットについて解説しましたが、結局設立すべきなのかとお悩みの方もいらっしゃると思います。
そこで本項目では、マイクロ法人を設立すべきケースについて、二刀流する方と法人一本化する方向けに解説します。
社会保険料を抑えたい
収入が増加して増額した社会保険料を抑えたい方は、マイクロ法人の設立を検討しましょう。
繰り返しになりますが、マイクロ法人を設立して役員報酬額を調整して少額に設定すれば、社会保険料の負担額を減らせるからです。
収入が増加するほど社会保険料が高額になり、出費が増えて困る方は少なくありません。
マイクロ法人を設立して、社会保険料を抑えてみましょう。
社会的な信用度を高めたい
今後事業を拡大させていく予定の方は、マイクロ法人を設立して法人一本で事業を行いましょう。
マイクロ法人とはいえ法人には変わりありませんので、個人事業主よりも社会的な信用度が高い傾向があります。
大手企業の中には法人でなければ取引しない企業もありますので、マイクロ法人の設立は新規取引先を開拓するうえで有効な手段です。
今後事業を拡大していきたい
繰り返しになりますが、マイクロ法人は個人事業主よりも社会的な信用度が高いため、今後事業を拡大していく際に大きなメリットを享受できます。
マイクロ法人一本で事業を行ったうえでしっかり決算申告しておけば、資金調達の審査に通りやすい傾向があるからです。
マイクロ法人であれば銀行の融資はもちろん、法人対象の補助金や助成金制度も利用できますので、より多くの資金を集められます。
節税だけでなく事業拡大も検討している方は、マイクロ法人を設立してみましょう。
マイクロ法人と個人事業主を二刀流する際の注意点
マイクロ法人を設立して個人事業主と二刀流する際、以下のようにいくつか注意すべき点があります。
- サラリーマンにマイクロ法人は不要
- マイクロ法人と個人事業主の業種は別にする
- 法人登記で名前や住所が公開される
実はマイクロ法人を設立する必要がないケースもあります。
ですので、マイクロ法人を設立する前に、本項目の内容に目を通しておきましょう。
今回は、特に注意すべきであるサラリーマンにマイクロ法人は不要、マイクロ法人と個人事業主の業種を別にするの2点について解説します。
サラリーマンにマイクロ法人は不要
個人事業主がマイクロ法人で節税する際、マイクロ法人で社会保険料を納税します。
社会保険料はマイクロ法人で納税するため、個人事業主で納税する必要はありません。
あなたがサラリーマンの場合ですが、雇われている会社で社会保険料を納税しています。
そのため、マイクロ法人は必要ありません。
サラリーマンの法人化については、以下の記事で注意点をまとめています。
関連記事:会社員の会社設立はばれる!勤務先に内緒で法人化する方法と注意点を解説
マイクロ法人と個人事業主の業種は別にする
マイクロ法人と個人事業主で二刀流する際は、必ず業種を別々にしてください。
マイクロ法人と個人事業主の業種が同じ場合、税務署に「意図的に所得を分けている」と判断されかねないからです。
ですので、マイクロ法人の業種を決める際は、個人事業主とは別の業種を選択しましょう。
マイクロ法人:ITコンサル
以上が、マイクロ法人を設立する際に注意すべき点です。本項目で解説した内容を念頭に置いてマイクロ法人を設立してみましょう。
個人事業主と法人を掛け持ちする際の注意点については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:個人事業主と法人を掛け持ちするメリット・デメリットについて税理士が解説
関連記事:マイクロ法人でおすすめの事業や業種の選び方を税理士が解説
マイクロ法人と個人事業主の二刀流は違法ではない
マイクロ法人の設立を検討するうえで、違法性の有無は重要なポイントです。
と考えている方が多いのではないでしょうか。
結論から言うと、マイクロ法人を個人事業主が設立するのは違法ではありません。
違法なのは、事業活動の実体がないペーパーカンパニーを設立することです。
ペーパーカンパニーがマイクロ法人と同じく節税目的で設立されるため、「マイクロ法人の設立=違法」といったイメージを持つ方がいらっしゃいます。
マイクロ法人を設立する際は、事業活動の実体の有無に注意しましょう。
マイクロ法人と個人事業主の二刀流でおすすめの業種
先ほどマイクロ法人と個人事業主の業種は別々にすべきだと解説しましたが、どんな業種を選択すればいいのかわからない方もいらっしゃると思います。
マイクロ法人と個人事業主の二刀流は節税目的ですので、なるべくコストがかからない業種を選択しましょう。
たとえば先ほど例に挙げたアフィリエイトやITコンサルですが、両者とも設備投資や仕入れなどの初期費用がかからないため、マイクロ法人で選択する業種としておすすめされるケースが多い業種です。
マイクロ法人と個人事業主の二刀流はあくまで節税目的で行うものですので、業種を選択する際は初期費用や維持費などのコストがかからないものを選択しましょう。
マイクロ法人を設立する手順
最後に、マイクロ法人を設立する手順について、簡単に紹介しておきます。
大まかな流れは、以下のとおりです。
↓
法人用印鑑を作成
↓
定款作成
↓
定款認証
(合同会社は不要)
↓
資本金の払込み・払込証明書の作成
↓
登記申請書を作成・登記申請
↓
登記簿謄本・印鑑証明を受け取る
↓
各所への届け出
マイクロ法人の設立手順は、普通の法人と変わりありません。
合同会社を設立する場合ですが、定款を作成・変更する際には出資者全員の同意が必要で、定款認証は必要ありません。
上記を踏まえたうえで、マイクロ法人を設立する主な手順について確認しておきましょう。
会社の基本事項を決定する
まずは、設立する会社の基本事項を決めましょう。
主な内容は以下のとおりです。
基本事項 | 詳細 |
会社の商号 | これから設立する会社の名前 |
発起人 | 会社の設立手続きを行う人 |
本店所在地 | 業務を行う場所(店舗・自宅・オフィスなど)の所在地 |
事業目的 | 適法性、営利性、明確性の要件を満たす会社の目的を設定する |
資本金 | 事業計画や資金調達計画などを考慮して1円以上に設定する |
1株あたりの金額 | 発行する株式の1株あたりの金額を設定する |
発行可能株式の総数 | 発行できる株式の上限を決める |
機関設計 | 会社法で定められた機関をどう組み合わせて設置するかを決める |
会社設立日 | 法務局で会社設立の登記申請を行なった日が登記簿謄本に記載される |
事業年度 | 一年以内の範囲で何月何日~何月何日までを一事業年度とするかを決める |
出資者 | 株式会社では発起人を指す |
公告 | 会社の情報を一般に知らせることで、官報公告・日刊新聞紙への掲載・電子公告から選択する |
法人印鑑を作成する
マイクロ法人の設立には法人印鑑が必要です。
法人印鑑の作成には時間がかかりますので、早めに作成しておきましょう。
定款作成・認証、登記申請を行う
続いては、定款を作成して法務局で登記申請を行いましょう。
定款はネットでテンプレートをダウンロードできます。
株式会社の場合は、以下のものを用意して公証役場で定款の認証を受けてください。
- 定款3通(公証役場用、登記用、自社用)
- 発起人全員分の印鑑証明書(発行から3カ月以内)
- 収入印紙代(4万円、電子定款は不要)
- 謄本交付手数料(1ページ250円)
- 認証手数料(5万円)
代理人が手続きを行う場合は、委任状を用意しましょう。
そして、発起人の銀行口座に資本金を振り込んで、法務局で登記申請を行なってください。
各所への届け出を行う
マイクロ法人の設立完了後、各所への届け出を行いましょう。
税務署
手続 | 提出期限 |
法人設立届出書 | 設立日から2ヶ月以内 |
青色申告の承認申請書 | 設立日から3ヶ月以内または最初の事業年度終了日、どちらか早いほうの前日 |
給与支払事務所等の開設届出書 | 設立日から1ヶ月以内 |
源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書 | 原則、提出した日の翌月に支払う給与等から適用 |
年金事務所
手続 | 提出期限 |
健康保険、厚生年金保険新規適用届 | 設立から5日以内 |
健康保険、厚生年金保険 被保険者資格取得届 | 被保険者資格の取得から5日以内 |
健康保険被扶養者(異動)届 | 被保険者に扶養者がいる場合、被保険者の取得から5日以内 |
都道府県事務所
手続 | 提出期限 |
法人設立届出書 | 都道府県によって異なる |
市町村役場
手続 | 提出期限 |
法人設立届出書 | 都道府県によって異なる |
労働基準監督署
手続 | 提出期限 |
法人設立届出書 | 都道府県によって異なる |
労働保険保険関係成立届 | 従業員を雇用した日の翌日から10日以内 |
労働保険概算保険料申告書 | 従業員を雇用した日の翌日から50日以内 |
就業規則(変更)届 | 常時10人以上の従業員を雇用している場合は速やかに届け出る |
適用事業報告書 | 従業員を雇用したら速やかに提出する |
ハローワーク
手続 | 提出期限 |
雇用保険適用事業所設置届 | 適用事務所になった翌日から10日以内 |
雇用保険被保険者資格届 | 従業員を雇用した日の翌日から10日以内 |
会社設立から設立後の手続きについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:会社設立手続きを自分で行う5つのステップ|費用や流れについて解説
マイクロ法人設立の後悔が税理士への依頼で回避できる理由
マイクロ法人を設立した方の中には、主に以下のような理由からやっぱり設立するべきではなかったと後悔する方もいらっしゃいます。
- 会社設立の手続きでミスをして時間だけでなく定款修正費用もかかった
- マイクロ法人と個人事業主で二刀流する際の税務会計に時間がかかる
- シミュレーションが不十分で結局損をした
上記のような後悔は、マイクロ法人の顧問実績が豊富な税理士に依頼すると回避できます。
本項目ではなぜ後悔を回避できるのかについて解説しますので、見ていきましょう。
無駄なくスムーズに設立できる
マイクロ法人の設立から税理士に依頼すると、無駄なくスムーズに手続きが完了します。
設立手続きに必要な司法書士や行政書士への依頼や書類作成と提出など、すべてを代行してもらえるからです。
そして専門家の立場から定款の作成や適切な節税対策などをサポートしてもらえるため、自力でマイクロ法人を設立するよりも無駄なく手続きを完了できます。
自力で調べながら手続きしていると焦ってミスをしたり、節税対策を見逃したりして、時間とお金を無駄にする恐れがあります。
マイクロ法人設立後に後悔する原因になりかねません。
マイクロ法人設立から税理士に依頼すると、どうしても税理士費用はかかってしまいます。
しかし事業に集中できる、適切な節税対策を徹底できる、活用できる助成金や融資に関する情報をもらえるなどさまざまなメリットを享受できますので、設立後に思ったよりも時間がかかった、ミスをして余計なお金がかかってしまったと後悔する事態は回避できます。
設立後の経理や税務会計をサポートしてもらえる
マイクロ法人設立後に顧問税理士がいると、経理や税務会計をサポートしてもらえます。
専門知識が必要な法人の税務会計を自力で行う必要がなくなるため、事業に集中できないと後悔する事態を回避できます。
マイクロ法人では事業をほぼ行わないといっても、社会保険料の計算や決算申告などは行わなければなりません。
法人の税務会計は個人事業主よりも専門知識が必要になる機会が多いため、事業に取り組みながら自力で調べて正確に行うのは困難です。
マイクロ法人設立後に事業に集中したい方は、税理士への依頼を検討してみましょう。
設立しないほうがいいケースを教えてもらえる
節税目的で設立するマイクロ法人ですが、設立後に思っていたよりも節税につながらなくて後悔しているといった方がいらっしゃいます。
設立前のシミュレーションが不十分で、個人事業主一本で事業を行うよりも負担が増加してしまっているからです。
マイクロ法人に強い税理士に依頼しておけば、税金や社会保険料など、さまざまな要素を考慮したうえでマイクロ法人を設立すべきかどうかを判断してくれます。
今後マイクロ法人と個人事業主の二刀流か法人一本で事業を行うべきかについても判断してくれますので、マイクロ法人の設立に関して後悔する事態を回避できます。
マイクロ法人の設立で後悔したくない方は、税理士への依頼を検討してみましょう。
マイクロ法人で税理士に依頼する必要性については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人で税理士は必要?相談時の注意点や費用相場を解説
関連記事:マイクロ法人設立で後悔する理由と対策を税理士が徹底解説
マイクロ法人と個人事業主の二刀流でよくある質問
マイクロ法人と個人事業主の二刀流でよくある質問を紹介しておきます。
マイクロ法人で売上なしって何が問題なんですか?
マイクロ法人の売上がないこと自体は問題ありません。
売上がない時期は、事業を行なっていれば誰にでもあります。
正しくは、税務署から事業実態のないペーパーカンパニーを設立していると判断されることが問題です。
税務署から脱税、租税回避行為と判断される恐れがあるので注意しましょう。
会社設立時に自宅の住所を隠す方法はありますか?
マイクロ法人を設立する際に、バーチャルオフィス、レンタルオフィスを利用しましょう。
自宅の住所が必ず必要になるわけではありません。
また、助成金や融資を受ける予定の方は、対象エリア内を確認してからバーチャルオフィスやレンタルオフィスを決めてください。
まとめ
今回は、マイクロ法人設立で節税したい個人事業主向けに、二刀流のメリットと違法性について解説しました。
マイクロ法人を設立して個人事業主と二刀流する際は、本記事で解説した内容を意識してみてください。
そんな方はお気軽に弊所までご連絡ください。
法人設立から顧問契約までセットでお任せいただけますと、稼ぐことだけに集中できる環境作りを徹底サポートさせていただきます。
もちろん、
上記のように考えている方のご相談、ご依頼も大歓迎です。