こんにちは、マイクロ法人の顧問実績が豊富な税理士の植村拓真です。
節税効果や社会的な信用度の向上を期待して、マイクロ法人の設立を検討される方が増えています。たとえば、課税所得が増えて所得税の負担が重くなってきている個人事業主の方が、弊所へご相談いただくケースも多いです。
マイクロ法人の設立を検討している方がよく気にされるポイントとして、税務調査のリスクが挙げられます。特に、下記のようなご質問をいただきます。



本記事を読んでいる方の中にも、上記のように思っている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、マイクロ法人が税務調査に狙われるリスクについて、税務調査が入る理由や税理士の必要性とあわせて解説します。
マイクロ法人の設立を検討している方や税理士への依頼を迷っている方は、本記事を参考にしてみてください。
なお、弊所では会社の設立と顧問契約をあわせてご依頼くださる方向けに、合同会社1.6万円、株式会社13.8万円のフルサポートプランを提供させていただいております。
マイクロ法人も税務調査の対象
マイクロ法人も税務調査の対象です。税務調査が行われる目的は、主に下記の点について確認するためです。
- 税務申告の内容が正しいか
- 経理や税務会計に関する処理に誤りがないか
- 課税所得があるにもかかわらず、税務申告が漏れていないか
個人事業主や法人、事業規模の大小に関わらず、税務調査は実施されます。特に、節税目的で設立されるケースの多いマイクロ法人は、租税回避や脱税を疑われ、税務調査に入られるリスクがあります。
税務調査で行われるのは、税務申告の書類や証憑書類などのチェック、取引先への聞き取りなどです。税務申告の内容に誤りや不正が見つかった場合、修正申告を求められたり、追徴課税として延滞税や加算税などが課されたりするおそれがあります。
参考:国税庁(脱税を見逃さない!国税査察官の仕事)
参考:国税庁(調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について)
関連記事:マイクロ法人は違法?正しい設立方法とメリット・デメリットを解説
関連記事:税務調査における修正申告・更正とは?違いについて税理士が解説
マイクロ法人に税務調査が入る理由
本項目では、マイクロ法人に税務調査が入る理由について解説します。税務署に下記のような疑念を抱かれた場合、税務調査が入るおそれがあります。
- 個人事業主と同じ業種
- ペーパーカンパニー
- 無申告
個人事業主と同じ業種
マイクロ法人も個人事業主と同じ業種で事業を行うケースでは、意図的に所得を分散させ、税負担を軽減しようとしていると税務署に疑われるおそれがあります。
上記のような場合、税務調査の対象となるリスクが高まります。以上の理由から、マイクロ法人を設立する場合、個人事業主とマイクロ法人の事業内容は明確に区別できるようにしましょう。
個人事業主と異なる業種でマイクロ法人を運営すれば、税務署からの不必要な疑念を回避でき、税務調査の対象となるリスクを低くできます。なお、個人事業主とマイクロ法人の事業内容が、重複していないかどうかの判断に迷う場合、税理士に相談してみましょう。
参考:国税庁(租税回避とは何か)
参考:国税庁(法第12条《実質所得者課税の原則》関係)
関連記事:マイクロ法人でおすすめの事業や業種の選び方を税理士が解説
ペーパーカンパニー
ペーパーカンパニーとは、登記されているものの、事業活動が伴わない法人を指します。
ただし、節税目的しかなく事業活動の実態がない法人は問題視されているため、税務調査の対象となるおそれがあります。特に、売上がなかったり赤字が続いていたりするマイクロ法人が、事業活動の実態を示せない場合は脱税を疑われるリスクがあります。
マイクロ法人に税務調査が入るリスクを回避するには、実態のある経営を行い、赤字や売上なしのケースでも適切な税務申告を行うのが重要です。たとえば、個人事業主として複数の事業を行っている場合、事業の一部をマイクロ法人として設立すれば、実態のある経営ができます。
参考:総務省(専従の役員・労働者等が存在しない法人等に関する取扱いについて)
参考:国税庁(適正・公平な課税・徴収)
参考:国税庁(同族会社の国際的租税回避を巡る諸問題|タックスヘイブンを利用する同族会社及び支配株主に係る課税問題)
無申告
マイクロ法人の経営者の中には、売上がないから、赤字だからといった理由で税務申告を怠るケースがあります。ところが、マイクロ法人の場合、赤字であっても法人住民税の均等割を支払う義務があるため、税務申告は必須です。
税務署は設立時の届出や銀行口座などの情報を把握しており、数年後に税務調査が行われ、追徴課税として加算税や延滞税などが課されるおそれもあります。また、無申告の法人に対する税務調査は、重点的に行われています。
上記の理由から、適切な税務申告を行い、税務リスクを回避するのが大切です。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人が税務調査に入られないための対策
本項目では、マイクロ法人が税務調査に入られないための対策について解説します。
マイクロ法人が税務調査に入られないための対策は、次のとおりです。
- 個人事業主を廃業する
- 個人事業主と別の業種にする
それでは、1つずつ見ていきましょう。
個人事業主を廃業する
マイクロ法人が税務調査に入られないための対策の1つ目は、個人事業主を廃業することです。個人事業主が法人成りする目的でマイクロ法人を設立した場合、適切な手続きを行わないと、税務調査の対象になるおそれがあります。
税務署は所定の手続きが行われない限り、個人事業主が存続していると判断するためです。個人事業主を廃業するにあたって、専門知識がない場合、手続きが負担になるケースもあるため、税理士の力を借りるのも手段の1つです。
関連記事:法人成りで個人事業主の廃業届を提出する必要性やタイミングを解説
関連記事:法人成りで個人事業主を廃業しないデメリットとメリットを解説
個人事業主と別の業種にする
マイクロ法人が税務調査に入られないための対策の2つ目は、個人事業主と別の業種にすることです。
個人事業主の節税対策の一環としてマイクロ法人と二刀流するケースで、同じ業種を個人事業主とマイクロ法人の両方で行った場合、租税回避とみなされて税務調査に入られるリスクが高まります。
個人事業主とマイクロ法人は異なる業種を選び、明確に区別できるようにしましょう。たとえば、個人事業主として複数の事業を運営している場合、事業の一部をマイクロ法人で運営するようなケースは多いです。
関連記事:マイクロ法人でおすすめの事業や業種の選び方を税理士が解説
関連記事:マイクロ法人と個人事業主の二刀流で節税するメリット・デメリットを解説
マイクロ法人と個人事業主の違い
本項目では、マイクロ法人と個人事業主の違いについて解説します。
上記を踏まえて、マイクロ法人と個人事業主は、具体的にどのような違いがあるのかに関して、下記の3つの観点から説明します。
- 事業開始の手続き
- 税金の仕組み
- 経費計上できる範囲
それでは、上記3点について順番に見ていきましょう。
事業開始の手続き
個人事業主が事業を開始する場合、納税地を所轄する税務署に個人事業の開業・廃業等届出書を提出するだけで手続きが完了します。
一方、マイクロ法人が事業を開始するには、定款の作成や本店所在地を所轄する法務局での登記などが必要です。
また、個人事業主は開業にあたっての費用はほとんどかかりませんが、マイクロ法人を設立する場合、定款認証の手数料や登録免許税などの費用が発生します。なお、マイクロ法人で従業員を雇わない場合でも、自分1人を社会保険へ加入させる義務があります。
以上のように、マイクロ法人は個人事業主よりも事業開始の手続きが煩雑なため、マイクロ法人を設立する場合、十分な準備期間が必要です。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
参考:地方厚生局(社会保険への加入手続はお済みですか?)
参考:厚生労働省(法人の代表者又は業務執行者の被保険者資格について)
税金の仕組み
個人事業主は課税所得が増えるにつれて税率も高くなるため、税負担が重くなる傾向があります。
一方、マイクロ法人が納める法人税の税率は最大で23.2%です。課税所得が多い場合、個人事業主よりも税負担を抑えられるケースがあります。
マイクロ法人では、自分に対する給与を役員報酬の形で支給でき、一定の要件を満たせば経費で落とせます。また、役員報酬に給与所得控除を適用すれば、源泉徴収される所得税や特別徴収される住民税を抑えられるのもメリットの1つです。
以上のように、課税所得が900万円を超える個人事業主は、マイクロ法人の設立によって節税効果が期待できます。
マイクロ法人の設立を検討する年収の目安については、下記の記事でさらに詳しく解説しています!
関連記事:マイクロ法人設立は年収いくらから?社会保険を最安化させる目安も解説
経費計上できる範囲
マイクロ法人は個人事業主に比べ、経費計上できる範囲が広いです。たとえば、下記のようなものが経費として認められます。
また、自宅を役員社宅として経費で落とせたり、社用車の購入費やガソリン代なども経費計上できたりします。個人事業主の場合、プライベートと事業の境目が曖昧なため、経費として認められなかったり、家事按分を求められたりするケースが多いです。
一方、マイクロ法人は法人格を所有しており、プライベートと事業の境目が明確なため、経費として認められる範囲が広いです。以上の理由から、マイクロ法人は個人事業主よりも高い節税効果が期待できます。
関連記事:1人社長の自宅の家賃を経費にする方法と注意点を税理士が解説
関連記事:一人社長が経費で落とせるもの一覧|制限があるもの・落とせないものも解説
マイクロ法人を設立するメリット
本項目で解説するのは、マイクロ法人を設立するメリットについてです。
マイクロ法人を設立するメリットは、主に下記のとおりです。
- 社会的な信用度が高まる
- 税金や社会保険料を抑えられる
- 消費税の免税事業者を選べる
1つずつ順番に見ていきましょう。
社会的な信用度が高まる
マイクロ法人を設立すると、社会的な信用度が高まるのはメリットの1つです。本店所在地を所轄する法務局での登記により、代表者名や本店所在地の住所、資本金などの情報が公開されるため、取引先に対して信頼感や安心感を与えられます。
上記の理由から、大手企業との契約や取引がしやすくなったり、金融機関からの融資を受けやすくなったりします。また、法人向けの補助金や助成金を活用できる点も大きな利点です。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
税金や社会保険料を抑えられる
マイクロ法人を設立すると、税金や社会保険料の負担軽減が期待できます。繰り返しになりますが、個人事業主が納める所得税は超過累進税率のため、課税所得が増えるにつれて税負担が重くなります。
一方、マイクロ法人が納める法人税の税率は、課税所得が800万円を超える部分については一律23.2%です。上記の理由から、課税所得が800万円を超えるマイクロ法人は、個人事業主よりも税負担の軽減が期待できます。
また、マイクロ法人から受け取る役員報酬には給与所得控除が適用でき、源泉徴収される所得税や特別徴収される住民税の負担も抑えられるのもメリットの1つです。なお、役員報酬を低く設定すれば、社会保険料の負担も軽減できます。
関連記事:役員報酬はいくらが得?節税対策と効果を最も高める方法を解説
消費税の免税事業者を選べる
マイクロ法人を設立して、課税売上高が1,000万円以下になれば、消費税の免税事業者を選べるようになるのもメリットの1つです。
個人事業主の事業の一部をマイクロ法人として運営すれば、それぞれが免税事業者になれます。
ただし、2023年10月から導入されたインボイス制度により、免税事業者のメリットが得られない場合もあるため注意しましょう。原則として、インボイスがない仕入れや経費については仕入税額控除が適用されないため、 免税事業者との取引を中止する企業が増えるおそれがあります。
免税事業者を選ぶべきかどうか迷う場合、税理士に相談してみましょう。インボイス制度の影響については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:インボイス制度と法人成り|タイミングから影響と対策まで解説
マイクロ法人が税理士に依頼しない理由
本項目で解説するのは、マイクロ法人が税理士に依頼しない理由についてです。マイクロ法人を設立しても、下記のような理由から税理士を依頼しないケースがあります。
- 節税できた分が依頼費用で消えてしまう
- 不明な点は書籍やインターネットで調べられる
- 脱税していないから問題ない
- 資金的な余裕がない
- 税務調査に入られるわけがないと思っている
- 使い勝手の良い会計ソフトがある
マイクロ法人の設立にあたって、税理士への依頼を検討している方は、本項目を参考にしてみてください。
節税できた分が依頼費用で消えてしまう
税理士と顧問契約を結ぶ場合、マイクロ法人の設立によって節税できた分が税理士の依頼費用で消えてしまうおそれがあります。税理士と顧問契約を結ぶ場合にかかる費用の目安は、次のとおりです。
顧問料 | 月額3万円〜 |
決算申告報酬 | 15万〜25万円程度 |
記帳代行 | 月額2万円〜 |
マイクロ法人の設立による節税効果よりも税理士への依頼費用が上回る場合、手元に残るお金は少なくなります。経理や税務会計に関する業務負担が軽減されたり、税務申告の正確性が担保されたりするメリットよりも、節税効果を重視する経営者は、税理士へ依頼しない選択をするケースがあります。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
不明な点は書籍やインターネットで調べられる
インターネットや書籍を活用すれば、マイクロ法人の経理や税務会計に関する情報は簡単に手に入ります。
特に、インターネットで検索すると、マイクロ法人設立の体験談や解説動画などが表示され、不明な点はすぐに調べられます。上記により、税理士に頼らなくても自力で対応できるケースが増えました。
ただし、一般的なケースなら自力でも解決できますが、事業の規模や状況によっては高度な専門知識が必要なケースもあるため、スポット契約で税理士へ依頼する方も少なくありません。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
脱税していないから問題ない
マイクロ法人を設立したあと、法令遵守を徹底して経理や税務会計に関する処理を適切に行っていれば、脱税にはなりません。
意図しないミスであっても、延滞税や加算税などのペナルティを課されるおそれがあるため注意が必要です。
引用:財務省(加算税の概要)
また、上記のペナルティが課された場合、予期せぬ出費となり、資金繰りを悪化させるおそれもあります。脱税していないから問題ないと判断し、自力で経理や税務会計を行う場合、以上のようなリスクがあるのを念頭に置きましょう。
関連記事:税務調査における修正申告・更正とは?違いについて税理士が解説
資金的な余裕がない
マイクロ法人の経営者の中には、税理士に依頼したいものの資金的に余裕がないため、経理や税務会計に関する業務を自力で行うケースもあります。繰り返しになりますが、税理士と顧問契約を結ぶ場合にかかる費用の目安は、次のとおりです。
顧問料 | 月額3万円〜 |
決算申告報酬 | 15万〜25万円程度 |
記帳代行 | 月額2万円〜 |
資金面で余裕がない場合、上記の費用が大きな負担になってしまうため、税理士に依頼しない選択をするマイクロ法人の経営者もいらっしゃいます。
関連記事:顧問税理士とは?顧問契約の必要性・メリットや注意点を解説
税務調査に入られるわけがないと思っている
マイクロ法人の経営者の中には、自社が小規模であるため、税務調査に入られるわけがないと思い込み、税理士へ依頼しない方もいます。令和5年度における法人税の申告件数は318万件で、実地での税務調査は5.9万件だったため、税務調査が入る確率は約1.86%でした。
上記のデータを見ると、税務調査が入る確率は低いと感じるかもしれませんが、税務申告の内容に不備があれば、税務調査の対象となるリスクは依然として変わりません。また、実地での税務調査5.9万件中、非違があった件数は4.5万件でした。税務調査が入った場合、約76.3%の高確率で修正申告が必要になります。
参考:国税庁(令和5事務年度 法人税等の申告〔課税〕事績の概要)
参考:国税庁(令和5事務年度 法人税等の調査事績の概要)
参考:国税庁(こんな収入の申告漏れにご注意)
関連記事:税務調査における修正申告・更正とは?違いについて税理士が解説
使い勝手の良い会計ソフトがある
近年の会計ソフトは、領収書の読み取りや仕訳、確定申告書の作成まで自動でできるものもあり、月額数千円で経理や税務会計に関する基本業務をこなせてしまいます。
特に、事業規模が小さかったり取引が単純だったりする場合、税理士なしで自力で対応するケースも多いです。
以上のように、今まで税理士に依頼していた業務が、会計ソフトで手軽に管理できるようになった点も税理士に依頼しない理由の1つです。
ただし、 使い勝手の良い会計ソフトがあったとしても、経理や税務会計の知識がない場合、税務申告に時間と労力がかかってしまうおそれがあります。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人が税理士に依頼する理由
前の項目では、マイクロ法人が税理士に依頼しない理由について触れましたが、本項目では、マイクロ法人が税理士に依頼する理由について解説します。
マイクロ法人が税理士に依頼する理由は、主に以下のとおりです。
- 書籍やインターネットの情報を精査するのが大変
- 経理や税務会計に関する業務が手に負えなくなった
- 副業感覚で始めたのにやたらと手間がかかる
- 法人向けの助成金や補助金をもれなく活用したい
上記について1つずつ見ていきましょう。
書籍やインターネットの情報を精査するのが大変
ただし、情報が最新のもので、正確かどうかについて確認するのは手間がかかります。特に、法改正があった場合、書籍やインターネットに掲載されている情報が古いケースもあり、情報を精査しながら進めるとなると骨が折れます。
なお、個人が発信しているブログや動画は誤った解説をされているケースもあるため、そのまま鵜呑みにするのはリスクが高いです。税理士に依頼すれば、以上のような手間が省けたりリスクを回避できたりするため、安心して事業に専念できます。
上記のようなメリットを感じ、税理士へ依頼される方も多いです。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
経理や税務会計に関する業務が手に負えなくなった
個人事業主は年1回の確定申告だけでしたが、マイクロ法人の場合、決算申告が加わります。決算申告では、主に下記のような書類の作成が必要です。
また、社会保険料に関しては、納付の手続きや算定基礎届の提出なども発生し、慣れないうちは結構な労力を要します。以上のように、マイクロ法人の経理や税務会計に関する業務は、個人事業主よりも難易度が高くなるため、税理士に依頼するケースが多いです。
なお、決算申告を税理士に丸投げする際の費用相場については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:決算申告を税理士に丸投げする際の費用相場や安く抑える方法
関連記事:【注意点あり】決算申告のみ税理士に依頼|費用相場も解説
副業感覚で始めたのにやたらと手間がかかる
マイクロ法人を副業感覚で始めたものの、経理や税務会計に関する業務が思ったよりも煩雑で、本業に支障をきたすケースは少なくありません。マイクロ法人の確定申告や決算申告では、専門知識が求められる場面も多く、簿記や税務などの知識がない場合、多大な時間と労力を要します。
もし、誤りがあれば修正申告が必要となり、さらに時間を奪われるおそれもあります。一方、税理士へ依頼した場合に得られるのは、下記のようなメリットです。
- 経理や税務会計に関する業務の正確な処理
- 適切な節税対策の実施
- 自分の事業により専念できる
本業に集中しつつ、適正な税務申告を行うためにも、税理士への依頼は有効な選択肢の1つです!
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
法人向けの助成金や補助金をもれなく活用したい
法人向けの助成金や補助金は、活用できれば事業の資金繰りに役立ちますが、申請手続きは煩雑であり、専門知識も求められます!
税理士に依頼すれば、活用できる助成金や補助金の情報提供を受けられるだけでなく、申請書類の作成支援や経理や税務会計に関する適切な処理についてのアドバイスも受けられます。また、助成金や補助金は課税対象のものもあるため、税負担の増加によるキャッシュフローの悪化を防ぐための対策に関しても、税理士の力を借りましょう。
以上のように、法人向けの助成金や補助金をもれなく活用したい場合や、申請から給付後の資金管理まで適切に行いたい場合、税理士へ依頼するケースが多いです。
参考:J-Net21(補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。)
参考:J-Net21(補助金や助成金は課税対象になりますか?)
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔
本項目では、マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔について解説します。
しかし、上記の選択をされた方の中には、マイクロ法人の設立後に下記のような後悔をされる方がいらっしゃるのも事実です。
- 経理や税務会計に関する業務に追われた
- SNSやインターネットの情報に振り回された
- 経理担当者を雇うコストと大差がなかった
税理士へ依頼すべきかどうか迷われている方は、本項目を参考にしてみてください。それでは、順番に見ていきましょう。
経理や税務会計に関する業務に追われた
マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔の1つ目は、経理や税務会計に関する業務に追われてしまうケースです。マイクロ法人の経理や税務会計に関する業務を自力で行う場合、想像以上に時間と労力がかかる場合があります。
マイクロ法人の税務申告は、個人事業主の確定申告よりも複雑です。法人税や消費税、社会保険料の管理など、多岐にわたる経理や税務会計に関する業務を、適切に処理するには専門知識が求められます。
また、会計ソフトを活用しても完璧に処理を行うのは容易ではなく、本業に割く時間が削られてしまうケースは少なくありません。なお、誤りに気づかないまま税務申告をしてしまった場合、税務調査や追徴課税のリスクが高まります。
経理や税務会計に関する業務の負担を軽減させたり、事業に専念できる環境を整えたりしたい場合、税理士への依頼を検討しましょう。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
SNSやインターネットの情報に振り回された
マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔の2つ目は、SNSやインターネットの情報に振り回されてしまうケースです。
SNSやインターネットの情報は、発信者の個人的な解釈が含まれていたり、情報が古かったりする場合もあるため精査が必要です。
また、公式情報が掲載されている国税庁や自治体などのサイトは、表現が専門的で分かりにくく、理解するために多くの時間と労力を要します。なお、法改正にあわせた対応が求められるケースもあるため、最新の情報をキャッチしておかなければなりません。
経理担当者を雇うコストと大差がなかった
マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔の3つ目は、経理担当者を雇うコストと大差がなかったケースです。
たとえば、毎月、月末の3日間だけ稼働する経理担当者を雇うような場合、下記のようなシュミレーションになります。
派遣社員の場合 | 約20万円 | 平均時給1,370円 ✕ 4時間 ✕ 3日 ✕ 12ヶ月 |
パートやアルバイトの場合 | 約16万円 | 平均時給1,145円 ✕ 4時間 ✕ 3日 ✕ 12ヶ月 |
一方、マイクロ法人の決算申告を丸投げする際の費用相場は、スポット契約の場合、年商1,000万円未満のケースだと10万〜20万円程度です。上記を比較すると、コスト面ではほぼ同じになります。
また、税理士に依頼した場合のメリットとして挙げられるのは、経理や税務会計に関する処理が正確に行われ、適切な節税対策を実施してもらえる点です。
経理担当者を雇う場合、マイクロ法人特有の経理や税務会計に関する処理ができないケースも考えられるため、マイクロ法人に強い税理士に依頼すると安心感が増します。
参考:求人ボックス(経理の仕事の年収・時給・給料|求人統計データ)
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人の設立に関するよくある質問
最後に、マイクロ法人の設立に関するよくある質問についてご紹介します。
内容は随時追記します。
マイクロ法人が税理士に依頼する場合の費用相場を教えてください
マイクロ法人が税理士に依頼する場合の費用相場は、下記のとおりです。
スポット契約 | 10万〜20万円程度 |
顧問契約 | 月額3万円〜 |
設立サポート | 1.6万円〜(顧問契約が前提のケースが多い) |
ただし、上記はあくまでも目安ですので、相見積もりを取りながら自分の事業にとって最適な税理士に依頼するのが重要です。税理士に依頼する場合の費用相場や顧問税理士の必要性については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
関連記事:顧問税理士とは?顧問契約の必要性・メリットや注意点を解説
マイクロ法人が税理士に依頼するメリットを教えてください
マイクロ法人が税理士に依頼するメリットは、主に下記のとおりです。
- 事業に専念できる
- 最新の税制に則った適切な節税が実施できる
- 資金繰りや経営に関する相談ができる
- 税務調査のリスクを回避できる
- 修正申告やお尋ねが来ても冷静に対処できる
マイクロ法人が税理士に依頼するメリットについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人が税理士に依頼するうえでデメリットはありますか?
マイクロ法人が税理士に依頼するうえで考えられるデメリットは、以下の2点です。
- 依頼費用がかさむおそれがある
- 最適な税理士を見つけるのに手間がかかる
マイクロ法人が税理士に依頼した場合のマイナス面や税理士選びで失敗しない方法については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
関連記事:税理士選びで失敗しない方法|依頼タイミングと変更のコツも解説
マイクロ法人の設立で後悔する具体的な理由は何ですか?
マイクロ法人の設立で後悔する具体的な理由は、下記のとおりです。
- 設立の手続きにコストがかかる
- 赤字でも納税が発生する
- 維持費がかかる
- 経理や税務会計に関する業務が複雑化する
マイクロ法人の設立で後悔する具体的な理由については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人設立で後悔や失敗する理由と対策を税理士が徹底解説
マイクロ法人の決算申告は税理士なしで自分でできますか?
マイクロ法人の決算申告は、インターネットで調べたり会計ソフトを活用したりしながら、税理士なしでも行えます。ただし、下記の点を念頭に置きましょう。
- 決算申告は高度な専門知識が必要で、確定申告よりも難しい
- 正しく決算申告しなければ、決算修正やペナルティのリスクがある
- 決算書の信頼性と客観性を保証できない
- 税金の計算を誤り、多く納めてしまうおそれがある
- 税務調査に自分1人で対応しなければならない
上記について考慮しながら、必要に応じて税理士への依頼も検討しましょう。マイクロ法人の決算申告を税理士なしで行うリスクや依頼時の費用相場については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:【法人の決算申告】税理士なしのリスクと依頼時の費用相場
マイクロ法人の決算費用の相場はいくらですか?
繰り返しになりますが、マイクロ法人の決算申告を丸投げする際の費用相場は、スポット契約の場合、年商1,000万円未満のケースだと10万〜20万円程度です。
また、顧問契約の場合、決算申告を丸投げする際の費用相場は、下記のとおりです。
年商 | 月々の顧問料 | 決算申告料 |
年商1,000万円未満 | 2万円〜 | 10万円〜 |
年商1,000万円以上3,000万円未満 | 3万5千円〜 | 10万円〜 |
繰り返しになりますが、上記はあくまでも目安ですので、相見積もりを取りながら、自分の事業にとって最適な税理士を見つけましょう。
関連記事:【注意点あり】決算申告のみ税理士に依頼|費用相場も解説
関連記事:【法人の決算申告】税理士なしのリスクと依頼時の費用相場
関連記事:決算申告を税理士に丸投げする際の費用相場や安く抑える方法
マイクロ法人は規模が小さいので税理士いらずですか?それとも必要ですか?
マイクロ法人は規模が小さいため、経理や税務会計に関する処理を自力で行えないわけではありません。ただし、決算申告の手間や税務調査のリスクを鑑みると、税理士に依頼するのが安心です。
マイクロ法人に税理士は必要かどうかに関しては、本記事の下記の項目もご参照ください。
- マイクロ法人が税理士に依頼しない理由
- マイクロ法人が税理士に依頼する理由
- マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔
判断に迷う場合は、税理士に相談してみましょう。なお、マイクロ法人に強い税理士の必要性や後悔しない選び方については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人でも税理士を格安で依頼できますか?
マイクロ法人の設立と顧問契約をあわせて依頼する場合、税理士を格安で依頼できるケースがあります。左記は事務所によって差異があるため、相見積もりを取りながら、自分の事業にとって最適な形で依頼するのが重要です。
なお、弊所では会社の設立と顧問契約をあわせてご依頼くださる方向けに、合同会社1.6万円、株式会社13.8万円のフルサポートプランを提供させていただいております。マイクロ法人を格安で設立したい方や、設立後の経理や税務会計の業務を丸投げしたい方は、弊所までお気軽にご相談ください。
マイクロ法人におすすめの事業や業種はありますか?
繰り返しになりますが、マイクロ法人と個人事業主を掛け持ちする場合、同じ事業や業種を選ばないようにしましょう。マイクロ法人に適しているのは、設備投資や在庫管理が不要で、自分1人で運営できる事業や業種です。たとえば、ネットビジネス業やIT業などが挙げられます。
関連記事:マイクロ法人でおすすめの事業や業種の選び方を税理士が解説
まとめ
今回は、マイクロ法人が税務調査に狙われるリスクについて、税務調査が入る理由や税理士の必要性とあわせて解説しました。
マイクロ法人は普通の法人や個人事業主と同じく税務調査の対象です。マイクロ法人に税務調査が入る主な理由は、次のとおりです。
- 個人事業主と同じ業種
- ペーパーカンパニー
- 無申告
マイクロ法人が税務調査に入られないためには、下記のような対策を行いましょう。
- 個人事業主を廃業する
- 個人事業主と別の業種にする
マイクロ法人が税理士に依頼する理由は、次のとおりです。
- 書籍やインターネットの情報を精査するのが大変
- 経理や税務会計に関する業務が手に負えなくなった
- 副業感覚で始めたのにやたらと手間がかかる
- 法人向けの助成金や補助金をもれなく活用したい
マイクロ法人が税理士へ依頼しない場合によくある後悔は、下記のとおりです。
- 経理や税務会計に関する業務に追われた
- SNSやインターネットの情報に振り回された
- 経理担当者を雇うコストと大差がなかった
以上を踏まえて、税務調査に入られるリスクを念頭に置き、すぐに税理士へ相談できる環境を整えておくのをおすすめします。