こんにちは、植村会計事務所代表の植村拓真です。
弊所では、さまざまな方からマイクロ法人に関するお問い合わせをいただいており、サラリーマンの方からも会社設立や節税に関するご依頼をいただく機会が多いです。
今回記事を作成するにあたってご協力いただいたマイクロ法人を設立したサラリーマンの方々に、設立前にどんな内容について知りたかったのかを質問したところ、
主に上記のようなご回答をいただきました。
たしかに、マイクロ法人設立に関するメリットや注意点は、顧問先のサラリーマンの方々からよくいただくご質問です。
サラリーマンのマイクロ法人設立にはメリットだけでなく注意点もあり、節税につながらないケースもあります。
そこで今回は、マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点を解説について解説します。
マイクロ法人とは何かについては、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人と個人事業主の二刀流で節税するメリット・デメリットを解説
マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリット
サラリーマンの顧問先様から、以下のようなご質問をよくいただきます。
結論から述べますと、売上次第では節税につながります。
本項目では、サラリーマンがマイクロ法人を設立して節税につながるケースや、具体的に税金面でどう有利なのかについて解説します。
- 所得を分散すると税率面で法人のほうが有利なケースがある
- 経費扱いできる範囲が広がる
- 法人は赤字の繰越期間が個人事業主よりも長い
- 消費税の免税事業者を継続できるケースがある
- サラリーマンを続けながら代表取締役社長を名乗れる
所得を分散すると税率面で法人のほうが有利なケースがある
サラリーマンのマイクロ法人設立が節税につながるのは、課税される所得金額が一定額を超えたときです。
所得税と法人税では、以下のように税率が異なります。
所得税率は超過累進税率を採用しているため、課税される所得金額に比例して大きくなります。
一方、マイクロ法人のような小規模な法人の場合、法人税率は最高23.20%です。
所得税率と法人税率の違いを利用して所得を分散すると、税率のみに注目すれば節税につながっているといえます。
ただし、マイクロ法人は設立や維持のために費用がかかります。
税率だけに注目していると、設立や維持費用が痛い出費となり、法人設立を後悔する恐れがありますので注意しましょう。
サラリーマンでマイクロ法人の設立を検討している方は、事前にしっかりシミュレーションを行ったうえで判断しましょう。
関連記事:法人税と所得税ならどっちが得?税金面で法人化すべきケースを解説
経費扱いできる範囲が広がる
サラリーマンがマイクロ法人を設立して法人という立場を利用すれば、今まで経費計上できなかった事業に関連する出費を経費扱いできます。
たとえば、マイクロ法人から受け取るお金は、役員報酬であるため法人では損金算入できる経費です。
役員報酬は好きなタイミングで自由に金額を変更できないデメリットはありますが、条件を満たせば経費計上できるメリットもあります。
あくまでマイクロ法人で選択する事業に関連する出費でなければ経費計上できませんが、サラリーマンの副業時代よりも経費扱いできる範囲は広がります。
関連記事:役員報酬はいくらにするのが得?節税対策と効果を最も高める方法を解説
消費税の免税事業者を継続できるケースがある
サラリーマンがマイクロ法人と個人事業主の二刀流で売上を分散させれば、消費税の免税事業者を継続できるケースがあります。
他にも要件はありますが、消費税の納税義務は、課税売上高が1,000万円以下であれば発生しないからです。
ただし、2023年10月以降、インボイス制度開始の影響で消費税の免税事業者を選択するデメリットが大きくなりました。
ですので、消費税の免税事業者を選択すべきか検討している方は、インボイス制度を考慮したうえで判断しましょう。
関連記事:法人成りで消費税の免税事業者になる要件
関連記事:インボイス制度と法人成り|タイミングから影響と対策まで解説
サラリーマンを続けながら代表取締役社長を名乗れる
節税とは無関係なメリットにはなりますが、マイクロ法人を設立すれば、サラリーマンを続けながら代表取締役社長を名乗れます。
たとえ一人社長の法人であっても同様です。
法人のメリットとしてよく挙げられる対外的な信用の高さですが、マイクロ法人は事業拡大を目的としてないため活かす機会は多くありません。
とはいえ、いずれ法人一本で事業を行う際、新規取引先の開拓や資金調達などで活かせますので覚えておきましょう。
マイクロ法人設立でサラリーマンが節税する際の注意点(デメリット)
サラリーマンの方がマイクロ法人設立で節税する際、メリットだけでなく注意点、デメリットもあります。
いずれも法人を設立する際に考慮すべき内容ですので、事前に確認しておきましょう。
- サラリーマンは社会保険で節税できない
- 経理や税務会計が複雑になり時間がかかる
- マイクロ法人の設立と維持費用がかかる
サラリーマンは社会保険で節税できない
サラリーマンの方は勤務先の会社で社会保険料を納めるため、マイクロ法人で納めません。
所得税や住民税を節税したい方であれば、マイクロ法人と個人事業主(副業)の二刀流でメリットを享受できます。
経理や税務会計が複雑になり時間がかかる
マイクロ法人も法人には変わりありませんので、個人事業主よりも複雑な経理や税務会計を行わなければなりません。
さらに、副業分の経理や税務会計も行う必要があるため、事務作業に時間がかかって事業に費やす時間が減ってしまいます。
サラリーマンの方であれば、本業と副業を両立しながら個人事業主と法人の経理や税務会計を行わなければなりません。
本業と副業の両立に注力したい方は、税理士への依頼を検討してみましょう。
関連記事:マイクロ法人に強い税理士は必要?費用相場や後悔しない選び方を解説
マイクロ法人の設立と維持費用がかかる
マイクロ法人は設立と維持に費用がかかります。
よく選択される法人形態の設立費用は、株式会社で約20万円、合同会社で約6万円です。
そして、マイクロ法人では法人住民税の均等割7万円や社会保険料など、さまざまな維持費用がかかります。
法人住民税の均等割に関しては赤字経営でも発生しますので、資金繰りに注意しましょう。
関連記事:マイクロ法人設立で後悔する理由と対策を税理士が徹底解説
マイクロ法人設立でサラリーマンが節税する際によくある質問
最後に、マイクロ法人設立でサラリーマンが節税する際によくある質問と回答を紹介します。
※随時追加します
マイクロ法人は売上なしでも問題ありませんか?
マイクロ法人は売上なしの赤字でも、違法ではないため問題ありません。
しかし、事業実態がない節税目的のペーパーカンパニーは、税務署から脱税や租税回避とみなされる恐れがあります。
マイクロ法人と副業で二刀流する際は、架空の売上や経費を作らないようにして、決算申告を行うようにしましょう。
追加予定
まとめ
今回は、マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点について解説しました。
サラリーマンの方でもマイクロ法人設立で節税できますが、メリットだけでなくデメリットもあります。
サラリーマンの方は社会保険料で節税できない、二刀流する場合はマイクロ法人と個人事業主で税金の申告が必要、設立と維持に費用がかかる点に注意しましょう。