こんにちは、会社設立の支援実績が豊富な税理士の植村拓真です。
下表のとおり、最近では副業を行っているサラリーマンが珍しくなくなりました。
副業・兼業の促進に関するガイドラインが厚生労働省から出されており、副業を行うサラリーマンの増加が見込まれています。
引用:国税庁(令和5年分 民間給与実態統計調査-調査結果報告-)
弊所でも、副業の課税所得が増えたり、本業の年収が上がったりしたサラリーマンの方から、節税対策に関するご相談をいただく機会が増えています。
特に、下記のようなご質問を頻繁にいただきます。



本記事を読んでいる方の中にも、上記のような疑問を抱いている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、合同会社を設立して節税する裏ワザについてサラリーマンの方向けに解説します。
年収の割に手取りが少ないと感じている方や副業が軌道に乗り始めている方、資産運用に興味がある方は、本記事を参考にしてみてください。
格安で合同会社を設立したい方、適切な節税対策を実施したい方は、弊所までお気軽にご相談くださいませ!
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サラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザ
本項目では、サラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザについて解説します。
効果的な節税対策がないか探しているサラリーマンの方は、本項目を参考にしてみてください!
サラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザの具体的な中身は、次のとおりです。
- 法人税の適用による税負担の軽減
- 役員報酬が経費で落とせる
- 役員報酬に給与所得控除を適用できる
- 拡大した経費計上の範囲をフル活用する
- 財産を合同会社に移転して相続税の対象から外せる
- 消費税の免税事業者を選択できる
- 赤字を繰り越して控除できる
- 家族への役員報酬の支給による税負担の軽減
- 退職金を支給して手取りを増やせる
- 減価償却のタイミング調整による税負担の軽減
- 生命保険を経費で落とせる
- 自宅の家賃を経費で落とせる
それでは、1つずつ見ていきましょう。
法人税の適用による税負担の軽減
個人事業主が納める所得税は超過累進税率のため、課税所得が増えるほど税率も高くなり、最大45%に達します。
一方、法人税の税率は年800万円以下の部分が15%、年800万円を超える部分が23.20%です。
たとえば、課税所得が900万円の場合、下表のようになり、合同会社の設立による節税効果が期待できます。
比較項目 | 税金の種類 | 計算式 | 概算の税額 |
A:個人事業主 | 所得税 | 9,000,000円✕33%ー1,536,000円 | 1,434,000円 |
B:合同会社 | 法人税 | ①8,000,000円✕15% ②1,000,000円✕23.20% |
1,432,000円 |
AーB | 2,000円 |
副業の課税所得が増えてきているサラリーマンの方は、節税対策の一環で合同会社の設立を検討しましょう。
参考:国税庁(所得税のしくみ)
関連記事:合同会社の設立で節税できる理由|設立の基準やデメリットも解説
役員報酬が経費で落とせる
合同会社を設立すれば、役員報酬を経費として計上できるため、課税所得を減らせます。
上記の理由から、個人事業主として副業を行っているサラリーマンは、合同会社の設立によって法人税の軽減が期待できます。
ただし、支給した役員報酬には所得税や住民税、社会保険料がかかるため、下記の点に注意が必要です。
役員報酬にかかる税金の種類 | 注意点 |
所得税 | 超過累進税率のため、役員報酬の設定金額が高い場合、税負担が重くなるおそれがある |
住民税 | 毎月、役員報酬から特別徴収し、翌月10日までに居住する区市町村へ納付する手間が発生する |
社会保険料 | 保険料は役員報酬の額に応じて決まるため、場合によっては保険料が高くなるケースがある |
節税効果を最大化させたり、社会保険料を最安化させたりしたい場合、税理士に相談しながら役員報酬の金額を決めましょう!
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:国税庁(No.2260 所得税の税率)
参考:J-Net21(源泉徴収の基礎知識)
参考:東京都主税局(個人住民税と特別徴収について)
参考:全国健康保険協会(令和6年3月分からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|東京都)
関連記事:合同会社の役員報酬の相場と決め方|かかる税金や節税方法も解説
役員報酬に給与所得控除を適用できる
合同会社を設立すると、役員報酬に対して給与所得控除を適用できます。
たとえば、役員報酬として年間500万円受け取る場合、給与所得控除額は144万円となり、課税所得は356万円になります。上記の計算式は下記のとおりです。
計算式 | 合計 | |
給与所得控除額 | 5,000,000円✕20%+440,000円 | 1,440,000円 |
課税所得 | 5,000,000円ー1,440,000円 | 3,560,000円 |
一方、個人事業主には給与の概念がないため、上記の制度を適用できません。
なお、青色申告の個人事業主は、青色申告特別控除を活用できますが、控除額の上限は65万円です。
以上のように、合同会社を設立すると控除額が拡大するため、税負担の軽減と手取りの増加が期待できます。
参考:国税庁(No.1400 給与所得)
参考:国税庁(No.1300 所得の区分のあらまし)
参考:国税庁(No.2070 青色申告制度)
関連記事:役員報酬の手取りを増やす方法|シミュレーションや一覧表も掲載
拡大した経費計上の範囲をフル活用する
合同会社を設立すると、経費にできる項目が大幅に増えるため、節税につながります。一例ですが、合同会社で経費計上できるものは、下記のとおりです。
- 役員報酬
- 退職金
- 生命保険料
- 社会保険料(会社負担分)
- 健康診断の費用
- 出張に関する費用
- 社宅の家賃
以上のように、合同会社では拡大した経費計上の範囲をフル活用して、税負担を軽減させられます。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:国税庁(No.5208 役員の退職金の損金算入時期)
参考:J-Net21(生命保険のしくみと税務)
参考:国税庁(第3節 保険料等|社会保険料の損金算入の時期)
関連記事:合同会社が経費で落とせるもの一覧|いくらまで経費計上できる?
関連記事:一人社長が経費で落とせるもの一覧|制限があるもの・落とせないものも解説
財産を合同会社に移転して相続税の対象から外せる
下表のような財産を所有している場合、合同会社に移転して相続税の対象から外せるのも、サラリーマンが合同会社を設立して得られるメリットの1つです。
なお、相続税対策の目的しかなく、事業実態がないと疑われるような合同会社の設立は、税務調査に入られる確率が高くなるため注意しましょう。
参考:国税庁(相続税のあらまし)
参考:財務省(相続税について教えてください。)
参考:財務省(相続税に関する基本的な資料)
関連記事:相続税申告を税理士に依頼する理由やメリットとは?報酬目安や失敗しない探し方まで解説
関連記事:相続税を自分で申告する際の税務調査のリスクと軽減させる方法
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消費税の免税事業者を選択できる
原則として、課税売上高が1,000万円を超えた個人事業主は、2年後から消費税の納税義務が生じます。
また、下表のとおり、特定期間における課税売上高が1,000万円を超える場合は、翌年から消費税の納税義務が発生しますので注意しましょう。
引用:国税庁(消費税のしくみ)
しかし、資本金1,000万円未満の合同会社を設立すれば、1〜2期目は消費税の免税事業者として扱われるため、納税義務の免除期間を延ばせます。
ただし、合同会社の設立時から適格請求書発行事業者を選んだ場合、消費税の納税義務は免除されませんので注意が必要です。
参考:国税庁(No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例)
参考:国税庁(D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続|国内事業者用)
関連記事:インボイス制度がやばい・ひどい理由|抜け道と対策を解説
関連記事:インボイス制度と法人成り|タイミングから影響と対策まで解説
赤字を繰り越して控除できる
合同会社で赤字が発生した場合、最大10年間繰り越して翌事業年度以降の黒字と相殺できます。
上記の制度により、課税所得を抑えられるため、節税効果が期待できます。
個人事業主も青色申告の特典として赤字を繰り越して控除できますが、繰り越せる期間は最大3年間です。
以上のように、赤字を繰り越して控除できる期間は、合同会社を設立すれば個人事業主よりも長くできます。
参考:国税庁(No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)
参考:国税庁(No.2070 青色申告制度)
参考:e-Gov(所得税法 第七十条 純損失の繰越控除)
参考:e-Gov(法人税法 第五十七条 欠損金の繰越し)
関連記事:合同会社か個人事業主ならどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して徹底解説
家族への役員報酬の支給による税負担の軽減
繰り返しになりますが、役員報酬にかかる所得税は超過累進税率のため、個人事業主と同じく課税所得が多いほど税率も高くなってしまうのがネックです。
そこで、家族を役員にし、役員報酬を支給すれば、所得の分散による節税効果が期待できます。
たとえば、1,000万円の役員報酬を自分1人で受け取らず、夫婦2人で500万円ずつ受け取った場合、60万円ほど税負担を軽くできます。
比較項目 | 計算式 | 概算の税額 |
A:1,000万円を1人で受け取る | 10,000,000円✕33%ー1,536,000円 | 1,764,000円 |
B:夫婦で500万円ずつ受け取る | (5,000,000円✕20%ー427,500円)✕2 | 1,145,000円 |
AーB | 619,000円 |
以上のように、家族へ役員報酬を支給すれば、節税効果が期待できます。ただし、役員報酬を家族に支給する場合、勤務実態がなければなりませんので注意しましょう。
税務上のリスクに問題がないかどうかについて税理士へ確認しておくのも大切です。
参考:国税庁(所得税のしくみ)
関連記事:合同会社の役員報酬の相場と決め方|かかる税金や節税方法も解説
退職金を支給して手取りを増やせる
サラリーマンが合同会社を設立して退職金を支給すれば、退職所得控除が適用されるため、手取りの増加が期待できます。
退職金は給与所得ではなく退職所得として扱われ、下に示した図のように税金が計算されます。
引用:国税庁(退職金と税)
ただし、勤続年数が短い場合、退職所得控除額は少なくなるため注意しましょう。
引用:国税庁(退職金と税)
また、退職金は経費として計上できるため、節税効果も期待できます。
個人事業主では退職金の支払いが認められていませんが、合同会社の設立によって退職金を支給できるようになります。
参考:国税庁(No.1420 退職金を受け取ったとき|退職所得)
参考:国税庁(No.2725 退職所得となるもの)
参考:国税庁(No.1400 給与所得)
参考:国税庁(No.5208 役員の退職金の損金算入時期)
関連記事:個人事業主から合同会社に切り替えて法人化する手順やメリット・デメリット
減価償却のタイミング調整による税負担の軽減
下記のとおり、合同会社を設立すると、償却費の計上タイミングを調整できるようになります。
税法会計(=税金に関する会計)では、法人の場合はある価額(=償却限度額)の範囲内で減価償却は任意に行えます(法人税法第31条)。ただし、個人事業者の場合は、減価償却が必須です(所得税法第49条)。
引用:J-Net21(減価償却とはどのようなものなのか教えてください。)
一方、個人事業主の場合、以上のような減価償却のタイミング調整は行えません。
以上のように、減価償却のタイミング調整による税負担の軽減は、合同会社の設立で得られるメリットの1つです。
参考:国税庁(No.2100 減価償却のあらまし)
参考:e-Gov(法人税法 第三十一条 減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
参考:e-Gov(所得税法 第四十九条 減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)
関連記事:会社と個人事業主はどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して法人化を検討
生命保険を経費で落とせる
役員や従業員を生命保険に加入させて、保険料を合同会社で負担する場合、経費として落とせます。下表のとおり、条件次第では生命保険料の全額を経費計上できます。
個人事業主の場合、生命保険料控除を活用できますが上限が12万円のため、合同会社の場合と比べると節税効果は低いです。
以上のように、生命保険料を経費計上すれば、将来のリスクに備えながら税負担を軽減させる効果が期待できます。
関連記事:合同会社が経費で落とせるもの一覧|いくらまで経費計上できる?
自宅の家賃を経費で落とせる
合同会社を設立して、自宅を個人名義ではなく法人名義で賃貸契約すれば、家賃の50%以上を経費で落とせるようになります。
一方、個人事業主も自宅の家賃を経費で落とせますが、家事按分が必要なため、経費計上の目安は家賃の30%前後です。
以上のように、ルールに則って適切に自宅の家賃を経費計上すれば、個人事業主よりも大きな節税効果が期待できます。
関連記事:家賃はどこまで経費にできる?個人事業主・法人にわけて解説
関連記事:1人社長の自宅の家賃を経費にする方法と注意点を税理士が解説
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合同会社を設立して節税につながるサラリーマンの条件
本項目では、合同会社を設立して節税につながるサラリーマンの条件について解説します。
合同会社を設立すれば、すべてのサラリーマンが節税できるわけではありませんので注意しましょう!
下記のような条件に当てはまっているサラリーマンは、合同会社の設立による節税効果が期待できます。
- 副業による事業所得がある
- 不動産投資による不動産所得がある
- 株やFXなどの資産運用による雑所得がある
- 相続税や贈与税の節税対策を実施したい
それでは、順番に見ていきましょう。
副業による事業所得がある
サラリーマンが節税対策として合同会社を設立する場合、本業以外の副業で利益が出ているのが前提となります。
ただし、下表のとおり、課税所得が900万円以下の場合、法人税の適用による節税効果は薄いです。
比較項目 | 税金の種類 | 計算式 | 概算の税額 |
A:個人事業主 | 所得税 | 9,000,000円✕33%ー1,536,000円 | 1,434,000円 |
B:合同会社 | 法人税 | ①8,000,000円✕15% ②1,000,000円✕23.20% |
1,432,000円 |
AーB | 2,000円 |
税理士に相談しながら、合同会社を設立する最適なタイミングを見極めていきましょう。
参考:国税庁(No.2260 所得税の税率)
参考:国税庁(No.5759 法人税の税率)
関連記事:合同会社で後悔する理由と対策|個人事業主や株式会社と比較して設立を検討
不動産投資による不動産所得がある
不動産投資を行い、不動産所得が発生しているケースでは、合同会社の設立によって税負担を軽減できるケースがあります。
ただし、不動産所得は総合課税制度により給与所得と合算できるため、個人事業主として確定申告を行っても税負担を抑えられる場合があります。
以上のように、合同会社の設立が必ずしも節税対策として有効に機能するとは限りません。
合同会社の設立によるメリットやデメリットについて精査したうえで、不動産投資の状況を考慮しながら慎重に判断していきましょう。
参考:国税庁(No.1370 不動産収入を受け取ったとき|不動産所得)
参考:国税庁(No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分)
参考:国税庁(No.2220 総合課税制度)
参考:国税庁(No.2250 損益通算)
関連記事:合同会社で後悔する理由と対策|個人事業主や株式会社と比較して設立を検討
株やFXなどの資産運用による雑所得がある
株式やFX、仮想通貨などの資産運用による雑所得がある場合、合同会社の設立によって税負担を軽減できるケースがあります。
繰り返しになりますが、課税所得が900万円を超えそうなタイミングで税理士に相談し、法人化シミュレーションを行ってみるのをおすすめします。
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相続税や贈与税の節税対策を実施したい
繰り返しになりますが、下表のような財産を所有している場合、合同会社の設立は相続税や贈与税の節税対策の1つとして効果が期待できます。
相続税は以下のような性質を持つため、合同会社に財産を移しておけば、相続税の対象から外せます。
相続税は、相続又は遺贈により財産を取得した個人に対して、その財産の取得時における時価を課税価格として課税される税です。
引用:財務省(相続税に関する基本的な資料)
なお、合同会社へ移転させた財産を個人へ贈与するような場合、所得税が発生しますので注意しましょう。
また、相続税や贈与税の節税対策だけを目的とした合同会社を設立した場合、税務署に指摘されたりペナルティを科されるおそれがあるため注意が必要です。
税務上の問題点がないかどうかについて不安な方は、設立前に税理士へ確認しましょう!
参考:国税庁(No.4402 贈与税がかかる場合)
参考:国税庁(相続税のあらまし)
関連記事:相続税申告を税理士に依頼する理由やメリットとは?報酬目安や失敗しない探し方まで解説
関連記事:相続税を自分で申告する際の税務調査のリスクと軽減させる方法
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節税面以外の合同会社を設立するメリット
本項目では、節税面以外の合同会社を設立するメリットについて解説します。

上記のような方は、本項目を参考にしてみてください。合同会社を設立すると、節税効果が期待できるだけでなく、下記のようなメリットも享受できます。
- 経営しやすい
- 事業承継しやすい
- 決算公告がいらない
- 好きなタイミングで株式会社に組織変更できる
上記について1つずつ見ていきましょう。
経営しやすい
合同会社は所有と経営が一致するため、株式会社と比べると経営がしやすいです。
株式会社では経営方針を決定する際、株主総会を開いて承認を得る必要があるため、意思決定に時間がかかってしまいます。
以上のように、柔軟で効率的な経営を実現できるのが、合同会社のメリットの1つです。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
参考:J-Net21(合同会社について教えてください。)
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
関連記事:会社員をしながら社長になれる!副業で起業するメリット・デメリットを解説
事業承継しやすい
下記のように、合同会社では後継者について事前に定款で定めておけるため、経営の引き継ぎを比較的スムーズに進められます。
持分会社は、その社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合における当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めることができる。
引用:e-Gov(会社法 第六百八条 相続及び合併の場合の特則)
また、相続税対策として事業承継税制を活用すれば、税負担の軽減も期待できます。
後継者である受贈者・相続人等が、円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において、その非上場株式等に係る贈与税・相続税について、一定の要件のもと、その納税を猶予し、後継者の死亡等により、納税が猶予されている贈与税・相続税の納付が免除される制度です。
引用:国税庁(法人版事業承継税制)
以上のように、円滑な事業承継が行える点も合同会社のメリットの1つです。
参考:中小企業庁(事業承継を知る)
参考:国税庁(非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除〔法人版事業承継税制〕のあらまし)
関連記事:合同会社に税理士は必要?費用相場や不要なケースも解説
決算公告がいらない
合同会社には決算公告の義務がないため、株式会社と比べると手間や費用を削減できます。
決算公告とは事業の収支状況を外部へ公表するもので、官報へ掲載するのが一般的です。
決算公告を行うと、株主や取引先だけでなく、競争相手にも経営状況を知られるおそれがあります。
なお、決算公告は最低でも6万円程度かかるため、維持費を抑えられる点も合同会社のメリットの1つです。
参考:J-Net21(ホームページで決算公告を行いたいのですが、注意点があったら教えてください。)
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:国立印刷局(会社法 法定公告について|インターネット版官報)
参考:e-Gov(会社法 第四百四十条 計算書類の公告)
関連記事:【法人の決算申告】税理士なしのリスクと依頼時の費用相場
好きなタイミングで株式会社に組織変更できる
事業が成長し、大規模な資金調達や社会的な信用度が求められる段階に進んだ場合、合同会社は株式会社へ組織変更できます。
組織変更の手続きには2ヶ月程度かかりますが、実施するタイミングは自由です。事業規模の拡大にあわせて、最適なタイミングで手続きを進めましょう。
なお、株式会社へ組織変更する場合、経理や税務会計の面で専門知識が求められるため、弊所までお気軽にご相談くださいませ!
参考:法務局(持分会社の組織変更〔持分会社→株式会社〕の登記申請書【R4.11.11更新】)
関連記事:合同会社に税理士は必要?費用相場や不要なケースも解説
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サラリーマンが合同会社を設立するデメリット
本項目では、サラリーマンが合同会社を設立するデメリットについて解説します。
合同会社の設立によって、さまざまなメリットを得られますが、下記のようなデメリットもあるため注意が必要です。
- 必ずしも節税できるわけではない
- 法人設立が本業の会社にばれるおそれがある
- 設立時に費用と時間がかかる
- 確定申告や決算に苦労する
- 赤字でも発生する税金がある
- 廃業する場合もコストがかかる
- 社会的な認知度は株式会社に劣る
- 大規模な資金調達がしにくい
上記について順番に見ていきましょう。
必ずしも節税できるわけではない
サラリーマンが合同会社を設立しても、必ずしも節税できるわけではありません。事業規模や業種などによって、税制面の恩恵を受けられるかどうかが異なります。
なお、課税所得の金額によっては、所得税よりも負担が重くなるケースもあります。また、合同会社を設立すると、下表のような費用がかかるため念頭に置きましょう。
発生するタイミング | かかる費用 |
設立 | 設立登記の登録免許税が最低6万円かかる |
運営 | バーチャルオフィスの利用料や税理士への依頼費用など |
廃業 | ・解散登記の登録免許税が39,000円 ・清算結了登記の登録免許税が2,000円 ・官報公告にかかる費用が4万円前後 ・司法書士や税理士への依頼費用が15万円前後 |
合同会社の設立を検討しているサラリーマンの方は、税理士と相談しながら詳細なシミュレーションを行っておくのが重要です。
参考:国税庁(No.7191 登録免許税の税額表)
参考:法務局(合同会社解散及び清算人選任登記申請書)
参考:法務局(合同会社清算結了登記申請書)
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法人設立が本業の会社にばれるおそれがある
合同会社を設立すると、本業の会社にばれるおそれがあります。ばれる要因として挙げられるのは、次のとおりです。
- 副業の収入により住民税が増加して勤務先に通知がいく
- 二以上事業所勤務被保険者標準報酬決定通知書が勤務先に届く
- 同僚や部下にうっかり口外した情報を登記情報提供サービスで検索される
サラリーマンが副業したり合同会社を設立したりするのは、法律上問題ありませんが、就業規則で副業を禁止している企業もまだ多く、懲戒処分の対象となるおそれもあります。
なお、勤務先に内緒で合同会社を設立する方法については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:合同会社での副業が会社にばれる原因と対策|起業時の注意点も解説
関連記事:会社員の会社設立はばれる!勤務先に内緒で法人化する方法と注意点を解説
参考:日本年金機構(兼業・副業等により2カ所以上の事業所で勤務する皆さまへ)
参考:法務局(インターネットで登記情報を確認する方法はありますか?)
設立時に費用と時間がかかる
個人事業主として副業を始める場合、個人事業の開業・廃業等届出書を提出するだけですが、合同会社の設立には多くの手続きが必要です。
たとえば、定款の作成や本店所在地を所轄する法務局での登記申請などが必要です。また、設立登記の際、登録免許税が発生し、最低でも6万円が必要となります。
合同会社の設立は本業と並行して進めるには負担が大きいため、税理士の力も借りましょう。
参考:国税庁(A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)
参考:法務省(合同会社の設立手続について)
参考:国税庁(No.7191 登録免許税の税額表)
関連記事:会社設立手続きを自分で行う5つのステップ|費用や流れについて解説
確定申告や決算に苦労する
合同会社では法人税の申告に加え、役員報酬を受け取る場合は所得税の申告も必要です。また、決算では貸借対照表や損益計算書などの財務諸表の作成が求められます。
確定申告や決算を適切に行わないと、社会的な信用度に影響を及ぼしたり、税務上のリスクが高まったりするおそれがあります。
副業として合同会社を運営する場合、本業と並行して確定申告や決算に関する業務をこなすのは結構な負担となるため、税理士への依頼も検討しましょう。
参考:J-Net21(決算書とは?)
参考:J-Net21(決算書の作成)
参考:J-Net21(決算書の作成にあたり、最低限守るべきルールはありますか?)
関連記事:【法人の決算申告】税理士なしのリスクと依頼時の費用相場
赤字でも発生する税金がある
個人事業主で赤字の場合、所得税や住民税は発生しませんが、合同会社で赤字の場合、法人住民税の均等割を納める必要があります。
合同会社で赤字でも法人住民税の均等割が発生するのは、下記のような理由からです。
均等割と法人税割の決定的な違いとしては、法人税割は国に法人税を納めている法人、つまり黒字の法人だけが払うのに対して、均等割は赤字の法人も払わなければならないということです。言い換えると、均等割は、法人がどれだけ儲けたかに関係なく、地域社会の一員として支払う会費という性格が強いといえます。
引用:総務省(地方税制度|法人住民税)
法人住民税の均等割は、資本金や事業規模によって納める金額が異なりますが、最低でも7万円の負担が生じます。
関連記事:合同会社で売上なしでも納める税金|決算や確定申告の必要性も解説
廃業する場合もコストがかかる
個人事業主を廃業する場合、納税地を所轄する税務署へ個人事業の開業・廃業等届出書を提出するだけで済みますが、合同会社を廃業する場合は手間やコストがかかります。
たとえば、本店所在地を所轄する法務局に合同会社解散及び清算人選任登記申請書を提出する際、登録免許税39,000円が発生します。
下記は株式会社を廃業する場合の手順ですが、合同会社も同様の手続きが必要です。
1. 株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成)による解散決議
2. 清算人・代表清算人の選任
3. 清算人就任登記・解散登記
4. 閉解散の通知・公告
5. 会社財産の現況調査
6. 現務の結了・財産の換価・分配・処分
7. 債権者保護手続き(解散公告など)
8. 決算報告承認総会の招集・開催
9. 清算結了登記
そのほか、税務上の手続きとして解散確定申告、清算確定申告なども必要です。
引用:J-Net21(廃業するにはどうしたらよいですか?)
以上のように、合同会社を廃業する場合、コストがかかる点は念頭に置きましょう。
参考:国税庁(A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続)
参考:法務局(合同会社解散及び清算人選任登記申請書)
関連記事:法人化で後悔したくない!失敗しないコツを税理士が解説
社会的な認知度は株式会社に劣る
日本において会社といえば株式会社のイメージが強く、合同会社に対する社会的な認知度はまだ低い傾向にあります。
上記の理由から、取引先や金融機関から社会的な信用度の観点で不安視されたり、採用時に人材が集まりにくかったりするケースがあります。
以上のように、合同会社は社会的な認知度で株式会社に劣る傾向があるため、会社形態の選択は慎重に行いましょう。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
関連記事:合同会社は怪しいからやめとけといわれる理由|トラブル例や設立のデメリットも解説
大規模な資金調達がしにくい
株式会社であれば、株式発行による大規模な資金調達ができます。一方、合同会社には株式の概念がないため、株式発行による資金調達を行えません。
上記の理由から、株式会社と比べると資金調達の選択肢が狭まります。合同会社が資金調達を行う場合の主な手段は、金融機関からの融資や社債の発行、助成金の活用です。
以上のように、合同会社は資金調達の面で苦戦しやすい点がデメリットの1つです。
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:J-Net21(社債を発行しようと思いますが、留意すべき点を教えてください。)
参考:J-Net21(補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。)
関連記事:日本政策金融公庫の融資審査を確実に通すためのチェックポイント6選
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サラリーマンが合同会社の設立を検討すべきタイミング
本項目では、サラリーマンが合同会社の設立を検討すべきタイミングについて解説します。

上記のような疑問を持たれているサラリーマンの方は、本項目を参考にしてみてください。
サラリーマンが合同会社の設立を検討すべきタイミングとして挙げられるのは、次のとおりです。
- 本業の給与所得以外の課税所得が500万円を超えた
- 副業の課税売上高が1,000万円を超えた
- 社会的な信用度を求められる場面が増えた
それでは、1つずつ見ていきましょう。
本業の給与所得以外の課税所得が500万円を超えた
本業の給与所得以外の課税所得が500万円を超えたときは、サラリーマンが合同会社の設立を検討すべきタイミングの1つです。
たとえば、上記の課税所得500万円分を合同会社の役員報酬として受け取る場合、給与所得控除が適用できるため、個人事業主よりも課税所得を抑えられます。
繰り返しになりますが、合同会社の設立によって経費計上の範囲が拡大する点もメリットの1つです。
以上のように、副業の課税所得が500万円を超えたサラリーマンの方は、税理士に相談しながら、節税対策の一環として合同会社の設立を検討しましょう。
参考:国税庁(No.1400 給与所得)
参考:国税庁(No.1300 所得の区分のあらまし)
関連記事:個人事業主の法人成り|適切なタイミングから注意点まで解説
副業の課税売上高が1,000万円を超えた
副業の課税売上高が1,000万円を超えたときも、サラリーマンが合同会社の設立を検討すべきタイミングの1つです。
課税売上高が1,000万円を超えた個人事業主は、2年後から消費税を納める必要があります。
資本金が1,000万円未満で設立された法人の1〜2期目は、納税義務が免除されるためです。
繰り返しになりますが、合同会社の設立時から適格請求書発行事業者を選んだ場合、消費税の納税義務は免除されませんので注意が必要です。
また、インボイス制度の影響で消費税の免税事業者との取引を打ち切る企業が、これから増加するおそれもあるため、消費税の免税事業者の選択は慎重に検討しましょう。
参考:国税庁(消費税のしくみ)
参考:国税庁(No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例)
参考:国税庁(D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続|国内事業者用)
関連記事:インボイス制度がやばい・ひどい理由|抜け道と対策を解説
関連記事:インボイス制度と法人成り|タイミングから影響と対策まで解説
社会的な信用度を求められる場面が増えた
副業で社会的な信用度を求められる場面が増えてきた場合も、合同会社の設立を検討するタイミングの1つです。
個人事業主は社会的な信用度が低いため、取引先や金融機関から不安視されやすく、交渉の場面で不利になりやすいです。
また、法人としか取引しない企業もあるため、個人事業主のままだと取引先の新規開拓で苦戦するケースもあります。
大口の案件を獲得したり、事業規模の拡大を目指したりする場合、個人事業主のままよりも合同会社を設立した方が有利に進められます。
関連記事:法人成りのメリットは責任・信用・節税面にあり!デメリットもあわせて解説
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サラリーマンが合同会社を設立する手順
本項目では、サラリーマンが合同会社を設立する手順について解説します。
設立の手順は下表のとおりです。
設立の手順 | 解説 |
①法人化シミュレーションの実施 | 合同会社を設立する前に、メリットとデメリットの比較や節税効果のシミュレーションを行い、総合的に判断します(適切な意思決定をするために、税理士の力も借りましょう) |
②基本事項の決定 | 事業内容や社名、本店所在地、資本金の額などを決めます |
③定款の作成 | 基本事項を記載した定款を作成します(合同会社の場合、公証人の認証は不要です) |
④資本金の払い込み | 定款で定めた資本金を口座に払い込みます(通帳のコピーを使って払込証明書を作成し、設立登記の際に提出します) |
⑤法務局での設立登記 | 本店所在地を所轄する法務局で設立登記を行う際、登録免許税も納めます(登記完了までに1〜2週間かかります) |
⑥法人口座の開設 | 法人口座の開設には履歴事項全部証明書や法人の印鑑証明書などが必要なため、設立登記が終わったあとに行います |
⑦税務署への届出 | 法人設立届出書や青色申告の承認申請書などを、本店所在地を所轄する税務署へ提出します(詳細は国税庁のホームページをご参照ください) |
⑧社会保険の手続き | 健康保険と厚生年金保険に関する新規適用届を、本店所在地を所轄する年金事務所へ提出します(詳細は日本年金機構のホームページをご参照ください) |
参考:法務省(合同会社の設立手続について)
参考:J-Net21(合同会社の設立手続き)
参考:J-Net21(定款の作り方)
参考:国税庁(No.7191 登録免許税の税額表)
参考:国税庁(C1-4 内国普通法人等の設立の届出)
参考:国税庁(C1-19 青色申告書の承認の申請)
関連記事:会社設立に税理士は必要?費用相場やメリットについて解説
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合同会社の設立やサラリーマンの節税対策に関するよくある質問
最後に、合同会社の設立やサラリーマンの節税対策に関するよくある質問をご紹介します。
副業の収入が増えてきたり、不動産投資が軌道に乗ってきたりしているサラリーマンの方は、本項目も参考にしてみてください!
内容は随時追記します。
そもそも合同会社とは何ですか?株式会社との違いを教えてください
合同会社は2006年の商法改正によって新しく誕生した会社形態です。
株式会社では出資者と経営者が分離しているケースが一般的ですが、合同会社では出資者が経営を担います。
また、合同会社は株式会社と比べると設立にかかる費用が安く済んだり、設立の手間も少なかったりするため、設立件数が増加傾向です。
参考:J-Net21(新会社法って何ですか?資本金1円でも会社が設立できると聞きました。)
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
関連記事:合同会社は怪しいからやめとけといわれる理由|トラブル例や設立のデメリットも解説
サラリーマンが使える最強の節税対策は何ですか?
たとえば、iDeCoやふるさと納税は、多くのサラリーマンにとって有効な節税手段です。
iDeCoは掛金が所得控除の対象で、運用益は非課税です。ふるさと納税は実質2,000円の自己負担で返礼品を受け取りつつ、所得税と住民税から控除されます。
また、医療費控除や住宅ローン控除などが該当する場合、大きな節税効果が期待できます。
税務の専門家である税理士に相談したりしながら、ご自身の状況に合わせて、最適な節税対策を実施していきましょう。
参考:政府広報オンライン(iDeCoがより活用しやすく!2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説)
参考:総務省(よくわかる!ふるさと納税)
参考:国税庁(No.1120 医療費を支払ったとき|医療費控除)
参考:国税庁(No.1122 医療費控除の対象となる医療費)
参考:国税庁(住宅ローン控除を受ける方へ)
関連記事:マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点を解説
年収2000万のサラリーマンが実施できる節税対策として何がありますか?
年収2000万のサラリーマンが実施できる節税対策として挙げられるのは、iDeCoへの加入やふるさと納税の活用などです。
たとえば、副業で合同会社を設立した場合、下記のような税制上のメリットを享受できます。
- 役員報酬に給与所得控除が適用されるので手取りが増える
- 自宅の家賃や生命保険料を経費で落とせるようになる
- 家族に役員報酬を支給すれば税負担を軽減できる
なお、合同会社の設立によって税制上の優遇措置が受けられますが、条件やデメリットもあるため注意しましょう。
本記事のサラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザやサラリーマンが合同会社を設立するデメリットの項目をご参照ください。
参考:政府広報オンライン(iDeCoがより活用しやすく!2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説)
参考:総務省(よくわかる!ふるさと納税)
参考:J-Net21(生命保険のしくみと税務)
関連記事:法人化で後悔したくない!失敗しないコツを税理士が解説
マイクロ法人の設立でサラリーマンは節税できますか?
特に、副業を個人事業主として行っている場合、期待できる節税効果は大きいです。たとえば、経費計上できる範囲が広がるため、課税所得をさらに圧縮できます。
繰り返しになりますが、役員報酬には給与所得控除が適用できるため、手取りの増加も期待できます。ただし、社会保険料の節約はできませんので注意しましょう。
また、マイクロ法人の設立と運営には費用と手間がかかったり、赤字でも法人住民税の均等割が発生したりします。
マイクロ法人の設立によって生じるデメリットとメリットを十分に比較し、税理士の意見も参考にしながら慎重に判断しましょう。
マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点を解説
参考:総務省(地方税制度|法人住民税)
参考:国税庁(No.1410 給与所得控除)
参考:国税庁(No.1400 給与所得)
サラリーマンの節税対策は不動産以外の事業でも実施できますか?
サラリーマンの節税対策は、不動産以外の事業でも実施できます。
節税対策の具体的な中身については、本記事のサラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザの項目をご参照ください。
まずは個人事業主で副業をスタートさせて、事業が軌道に乗ったタイミングで法人化すると、より効果的な節税対策を実施できます。
なお、法人化のメリットについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:法人成りのメリットは責任・信用・節税面にあり!デメリットもあわせて解説
税金対策として会社設立を行うサラリーマンが多いのはなぜですか?
税金対策として会社設立を行うサラリーマンが多い理由の1つは、経費計上できる範囲が広いためです。
また、退職金を支給できたり経費計上できたりするため、税負担を抑えつつ手取りを増やす効果も期待できます。
繰り返しになりますが、赤字の繰り越し期間は最大10年であり、個人事業主と比べると長いです。
上記の理由から、初期投資にコストがかかる副業でも、将来の黒字と相殺して税負担を長期的に軽減させる効果が期待できます。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:国税庁(退職金と税)
参考:国税庁(No.5208 役員の退職金の損金算入時期)
参考:国税庁(No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)
関連記事:会社員をしながら社長になれる!副業で起業するメリット・デメリットを解説
サラリーマンが副業する場合、個人事業主と会社設立のどっちが節税効果が高いですか?
繰り返しになりますが、下表のとおり課税所得が900万円以下の場合、法人税の適用による節税効果は薄いです。
比較項目 | 税金の種類 | 計算式 | 概算の税額 |
A:個人事業主 | 所得税 | 9,000,000円✕33%ー1,536,000円 | 1,434,000円 |
B:合同会社 | 法人税 | ①8,000,000円✕15% ②1,000,000円✕23.20% |
1,432,000円 |
AーB | 2,000円 |
個人事業主は経理や税務会計に関する業務の難易度が低いため、課税所得が少ないうちは個人事業主の方がおすすめです。
また、青色申告を提出すれば、最大65万円の特別控除を受けられます。
なお、会社を設立すると経費計上できる範囲が拡大するため、課税所得が増えてきた個人事業主は、会社設立を検討しましょう。
会社設立の時期については、本記事のサラリーマンが合同会社の設立を検討すべきタイミングの項目をご参照ください。
税理士に相談しながら、個人事業主と会社設立のどっちが節税効果が高いかを見極めていきましょう。
参考:国税庁(No.2260 所得税の税率)
参考:国税庁(No.5759 法人税の税率)
参考:国税庁(No.2070 青色申告制度)
関連記事:会社と個人事業主はどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して法人化を検討
関連記事:合同会社か個人事業主ならどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して徹底解説
関連記事:会社と個人事業主の違いは?見分け方や法人化の基準もわかりやすく解説
合同会社で売上なしでも税金はかかりますか?
たとえば、法人住民税の均等割は売上に関係なく課税され、資本金の額や従業員数に応じて納付額が変動し、最低でも年間7万円かかります。
また、不動産や償却資産を保有している場合、売上なしでも固定資産税が発生するため注意しましょう。
なお、法人税法の第74条で定められているとおり、売上なしの場合でも決算と確定申告は必要です。
内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。
引用:e-Gov(法人税法 第七十四条 確定申告)
合同会社で売上なしでも納める税金については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:合同会社で売上なしでも納める税金|決算や確定申告の必要性も解説
参考:総務省(地方税制度|法人住民税)
参考:総務省(地方税制度|固定資産税の概要)
サラリーマンが使える節税対策はグレーなものが多いですよね?
繰り返しになりますが、iDeCoやふるさと納税などは、多くのサラリーマンにとって有効かつ合法な節税手段です。
一方、ルールを逸脱した経費計上や事業実態のない法人を使った節税スキームなどは、税務調査に狙われるリスクが高まります。
サラリーマンが節税対策を行う場合、税理士に相談しながら実施していくと安心です。
参考:政府広報オンライン(iDeCoがより活用しやすく!2024年12月法改正のポイントをわかりやすく解説)
参考:総務省(よくわかる!ふるさと納税)
関連記事:法人はなんでも経費で落とせる?よくある勘違いと判断基準を解説
関連記事:マイクロ法人は違法?正しい設立方法とメリット・デメリットを解説
会社員が合同会社を設立して節税できる理由を教えてください
- 法人税の適用で所得税より税負担が軽くなるケースがある
- 経費計上できる範囲が拡大する
- 役員報酬に給与所得控除が適用できる
- 自分や家族への役員報酬を経費計上できる
- 赤字を最大10年間繰り越して控除できる
本記事のサラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザの項目もご参照ください。
関連記事:合同会社の設立で節税できる理由|設立の基準やデメリットも解説
関連記事:個人事業主から合同会社に切り替えて法人化する手順やメリット・デメリット
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まとめ
今回は、合同会社を設立して節税する裏ワザについてサラリーマンの方向けに解説しました。
サラリーマンが合同会社を設立して節税する裏ワザは、具体的に次のとおりです。
- 法人税の適用による税負担の軽減
- 役員報酬が経費で落とせる
- 役員報酬に給与所得控除を適用できる
- 拡大した経費計上の範囲をフル活用する
- 財産を合同会社に移転して相続税の対象から外せる
- 消費税の免税事業者を選択できる
- 赤字を繰り越して控除できる
- 家族への役員報酬の支給による税負担の軽減
- 退職金を支給して手取りを増やせる
- 減価償却のタイミング調整による税負担の軽減
- 生命保険を経費で落とせる
- 自宅の家賃を経費で落とせる
また、合同会社を設立すると、節税効果が期待できるだけでなく、下記のようなメリットも享受できます。
- 経営しやすい
- 事業承継しやすい
- 決算公告がいらない
- 好きなタイミングで株式会社に組織変更できる
なお、合同会社を設立して節税につながるサラリーマンの条件は、以下のとおりです。
- 副業による事業所得がある
- 不動産投資による不動産所得がある
- 株やFXなどの資産運用による雑所得がある
- 相続税や贈与税の節税対策を実施したい
合同会社の設立によって、さまざまなメリットを得られますが、下記のようなデメリットもあるため注意しましょう。
- 必ずしも節税できるわけではない
- 法人設立が本業の会社にばれるおそれがある
- 設立時に費用と時間がかかる
- 確定申告や決算に苦労する
- 赤字でも発生する税金がある
- 廃業する場合もコストがかかる
- 社会的な認知度は株式会社に劣る
- 大規模な資金調達がしにくい