こんにちは、会社設立の支援実績が豊富な税理士の植村拓真です。
現在、会社を設立する場合、株式会社か合同会社で設立されるのが主流です。合同会社は2006年の会社法改正で誕生した新しい会社形態で、株式会社よりも経営しやすい特徴があります。
ただし、合同会社は株式会社と比べると認知度が低い傾向にあるため、怪しいと思われてしまうケースもあります。
弊所では、合同会社の設立を検討している個人事業主の方やサラリーマンの方からご相談をいただく機会が多いですが、上記のような不安を覚える方が一定数いらっしゃいます。
具体的には次のようなご質問をよくいただきます。



本記事を読んでいる方の中にも、上記のような不安や疑問を抱いている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由について、起こりやすいトラブルや設立するデメリットとあわせて解説します。
会社を設立して起業を考えている方や節税対策として法人化を検討している個人事業主の方は、本記事を参考にしてみてください。
合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由
本項目では、合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由について解説します。
会社を設立して起業したい方や法人化を検討している個人事業主の方は、本項目を参考にしてみてください!
合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由は、次のとおりです。
- 株式会社よりも認知度が低い
- 社会的な信用度が低い
- 資金調達の選択肢が限られる
- 意思決定に遅れが出るおそれがある
- ワンマン経営に陥るおそれがある
- 所有者が死亡すると会社も解散する
- 社員同士が利益分配で揉めるおそれがある
それでは、1つずつ見ていきましょう。
株式会社よりも認知度が低い
合同会社が怪しいからやめとけといわれる理由の1つは、株式会社と比べると認知度が低いためです。
繰り返しになりますが、合同会社は2006年に誕生した新しい会社形態のため、怪しいと反射的に感じてしまう方も中にはいらっしゃいます。
上記の理由から、合同会社では取引先の新規開拓や人材採用の場面で苦戦するケースがあります。ただし、下のグラフのとおり、合同会社の設立件数は増加傾向です。
引用:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC|合同会社、株式会社の設立件数の推移)
関連記事:会社設立に税理士は必要?費用相場やメリットについて解説
社会的な信用度が低い
株式会社と比べると社会的な信用度が低い点も、合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由の1つです。
合同会社は社会的な信用度が低いため、取引先に不安を与えてしまうおそれがあります。特に、社会的な信用度を重視する企業と取引したい場合、合同会社では不利なケースがあります。
しかし、会社の設立当初は、どの会社形態でも社会的な信用度は低いです。上記の理由から、商品やサービスの品質を高め、迅速な対応によって社会的な信用度を高めていくのが大切です。
関連記事:合同会社で後悔する理由と対策|個人事業主や株式会社と比較して設立を検討
資金調達の選択肢が限られる
合同会社は株式を発行できないため、株式会社と比べると資金調達の選択肢が限られます。
合同会社は資金調達の選択肢が限られるため、設立する場合は綿密な資金計画を立てましょう。
特に、合同会社の設立直後は社会的な信用度が低いため、融資の審査が通らず、資金繰りに苦労するケースもあります。
上記のような状況に陥らないためにも、運転資金をしっかりと準備しておきましょう。
なお、補助金や助成金の申請には専門知識が求められる場面もあり、専門家である税理士に相談しながら進めると審査で有利になるケースがあります。
関連記事:日本政策金融公庫の融資審査を確実に通すためのチェックポイント6選
関連記事:合同会社に税理士は必要?費用相場や不要なケースも解説
意思決定に遅れが出るおそれがある
合同会社では出資者である社員全員が1人1票の議決権を持つため、意思決定は多数決で行われます。社員の数が偶数の場合に懸念されるのは、意見が真っ二つに分かれてしまうおそれです。
社員同士の意見が対立し、まとまらない状況が続く場合、経営が滞ってしまうリスクがあります。
以上のような事態を避けるために、最終的な意思決定者について定款で規定しておくのは有効な対策の1つです。
ワンマン経営に陥るおそれがある
しかし、代表社員が他の社員の意見を聞き入れず、独断専行に走った場合に懸念されるのは、ワンマン経営に陥るおそれです。
合同会社が上記のような状態に陥ってしまうと、株式会社の株主総会のような抑止力がないため、最悪の場合、組織が崩壊する危険があります。
ワンマン経営に陥るリスクを回避するために、意思決定に関するルールを定款に明記しておくのが重要です。
所有者が死亡すると会社も解散する
合同会社は出資した社員が所有者であるため、株式会社とは異なり、社員が死亡すると会社が解散してしまう点に注意しましょう。
ただし、社員が1人の場合に懸念されるのは、急逝と同時に合同会社が存続できなくなるおそれです。
上記のケースでは、持分の承継に関するルールを定款で定めておけば、合同会社の解散を避けられます。
参考:J-Net21(社長が急に亡くなりました。どうすればよいでしょうか?)
参考:e-Gov(会社法 第六百四十一条 解散の事由)
参考:e-Gov(会社法 第六百四十三条 解散した持分会社の合併等の制限)
参考:e-Gov(会社法 第六百八条 相続及び合併の場合の特則)
社員同士が利益分配で揉めるおそれがある
定款に定めれば出資金の比率に関係なく利益の分配比率を自由に決められることがあげられます。これによって出資比率が小さくても会社への貢献度合いが高かった社員に出資比率以上の利益を配当することが可能になります。
引用:J-Net21(LLCとLLPの特徴)
上記のような自由度は魅力的ですが、利益分配で不公平感が生まれ、社員同士で揉めるおそれがあります。
以上のようなトラブルを避けるためには、利益分配に関してしっかりと話し合い、社員全員の合意を得ておくのが大切です。
なお、利益分配の割合については、会社設立の支援実績が豊富な税理士に相談してみると的確なアドバイスが期待できます。
関連記事:会社設立に税理士は必要?費用相場やメリットについて解説
合同会社の特徴
本項目では、合同会社の特徴について解説します。
合同会社の特徴は、以下のとおりです。
- 2006年の会社法改正で誕生した会社形態
- 出資者は社員と呼ばれる
- 出資者が経営者になる
- 社長は代表社員と呼ばれる
- 株式が発行できない
- 間接有限責任が適用される
- 役員の任期に関する規定がない
- 出資者は1人1票の議決権を持つ
それでは、順番に見ていきましょう。
2006年の会社法改正で誕生した会社形態
繰り返しになりますが、合同会社は2006年の会社法改正により誕生した新しい会社形態です。
合同会社は株式会社と同様に出資者の責任は有限でありながら、利益分配を自由に決められたり1人1票の議決権を持ったりします。
合同会社では所有と経営が一致しているため、会社の経営方針は社員全員の合意のもと決定します。
なお、合同会社で設立されるケースが多いのは、スタートアップ企業やベンチャー企業、外資系企業などです。
合同会社の設立件数は増えており、社会的な認知度は徐々に高まってきています!
参考:J-Net21(新会社法って何ですか?資本金1円でも会社が設立できると聞きました。)
参考:J-Net21(株式会社、LLC、LLPの比較)
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
出資者は社員と呼ばれる
合同会社では出資者を社員と呼びます。
合同会社では出資したすべての社員が所有権と経営権を持ちます。なお、合同会社の社員になるためには、下記の規定通りに出資しなければなりません。
設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
引用:e-Gov(会社法 第五百七十八条 合同会社の設立時の出資の履行)
出資金の払い込みに関して不明な点がある場合、税理士に相談してみましょう。
関連記事:会社設立手続きを自分で行う5つのステップ|費用や流れについて解説
出資者が経営者になる
株主が経営者に業務を委任するケースが多い株式会社とは異なり、合同会社は所有と経営が一致する点が特徴の1つです。
また、合同会社では社員全員が業務執行権と代表権を持つため、構造上、経営権が一部に集中しません。
参考:e-Gov(会社法 第五百九十条 業務の執行)
参考:e-Gov(会社法 第五百九十九条 持分会社の代表)
社長は代表社員と呼ばれる
出資者である社員の中から選ばれた代表社員が合同会社の代表を務めます。合同会社の代表社員の権限や責任は、株式会社の代表取締役とほぼ同じです。
代表社員は合同会社の経営に関する最終的な意思決定を行う役割があります。
株式が発行できない
合同会社は株式を発行できないため、株式会社のような株式を用いた資金調達ができません。
合同会社の資金調達の手段として挙げられるのは、補助金や助成金、金融機関からの融資などです。
上記の理由から、株式市場への上場を目指す場合、合同会社から株式会社へ組織変更が必要です。
組織変更の手続きには費用や時間がかかる点に注意しましょう!
関連記事:日本政策金融公庫の融資審査を確実に通すためのチェックポイント6選
間接有限責任が適用される
合同会社の社員が負う責任は、出資額の範囲内です。
出資した額が失われるリスクはありますが、出資額を超える負債を抱える心配はありません。
上記の仕組みは間接有限責任と呼ばれ、社員が債権者に対して直接責任を負わずに済み、安心して事業にチャレンジできるメリットがあります。
参考:J-Net21(有限責任と無限責任について教えてください。)
関連記事:会社と個人事業主はどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して法人化を検討
役員の任期に関する規定がない
株式会社は役員の任期について会社法で定められていますが、合同会社には役員の任期に関する規定がないため、役員の任期満了に伴う再任や退任の手続きを行う必要がありません。
上記の理由から、合同会社の業務執行社員や代表社員は、役員変更の必要性が生じない限り同じ地位に留まれます。
合同会社は株式会社と比べると登記変更の機会が少ないため、変更手続きにかかるコストを抑えられる点はメリットの1つです。
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:法務省(役員の変更の登記を忘れていませんか?再任の方も必要です)
参考:J-Net21(役員変更の手続きについて教えてください。)
参考:法務省(合同会社の設立手続について)
出資者は1人1票の議決権を持つ
合同会社では出資額に関係なく、出資者である社員に1人1票の議決権が与えられます。
原則として、合同会社の意思決定の方法は、社員の多数決です。なお、合同会社では議決権の割合について変更したい場合、社員全員の合意のもと定款で規定できます。
参考:日本弁護士連合会(合同会社の意思決定のルールはどうなっているか)
合同会社を設立するメリット
本項目では、合同会社を設立するメリットについて解説します。
合同会社を設立するメリットは、下記のとおりです。
- 自由度と費用対効果が高い
- 会社を乗っ取られるリスクが低い
- 個人事業主より社会的な信用度がある
- 個人事業主より資金調達しやすい
- 個人事業主より節税効果が期待できる
それでは、1つずつ見ていきましょう。
自由度と費用対効果が高い
自由度と費用対効果の高さは、合同会社を設立するメリットの1つです。合同会社の自由度と費用対効果が高いのは、下記のような理由からです。
- 設立にかかる費用が安い
- 設立手続きが比較的簡単
- 役員の任期を更新する手続きが不要
- 利益を自由に分配できる
- 定款を書き換える機会が少ない
- 意思決定を迅速にできる
- 株主総会を開催する必要がない
- 決算公告の義務がない
- 維持費を抑えられる
上記について順番に解説します。
設立にかかる費用が安い
たとえば、登録免許税は株式会社の場合、最低15万円かかりますが、合同会社は最低6万円に設定されています。
また、株式会社の場合は定款認証に3~5万円の手数料がかかりますが、合同会社は定款認証が不要なため、手数料が発生しません。
以上のように、合同会社は株式会社よりもコストを抑えて設立できます。
参考:国税庁(No.7191 登録免許税の税額表)
参考:日本公証人連合会(9-4 定款認証)
設立手続きが比較的簡単
合同会社の設立手続きは、株式会社と比べると簡単です!
繰り返しになりますが、株式会社は定款認証の手続きが必要なため、手続きに時間を要します。
一方、合同会社は定款認証が不要なため、株式会社よりも手間がかからず、設立手続きにあまり時間がかかりません。
また、株式会社は取締役や監査役などを設置する義務があるため、機関設計に時間がかかるケースもあります。
繰り返しになりますが、合同会社では社員全員が業務執行権と代表権を持つため、株式会社と比べると機関設計に時間が取られない点はメリットの1つです。
なお、合同会社の設立手続きで不明な点がある場合、税理士に相談してみましょう。
参考:e-Gov(会社法 第三百二十六条 株主総会以外の機関の設置)
参考:e-Gov(会社法 第三百二十七条 取締役会等の設置義務等)
参考:e-Gov(会社法 第五百九十条 業務の執行)
関連記事:合同会社に税理士は必要?費用相場や不要なケースも解説
役員の任期を更新する手続きが不要
繰り返しになりますが、合同会社には役員の任期に関する規定がないため、株式会社のような更新手続きが必要ありません。
株式会社の役員の任期は下記のように規定されており、任期満了のたびに役員変更の登記が必要です。
【株式会社の役員の任期】
取締役の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までですが、定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することもできます(会社法第332条第1項)。
監査役の任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までです(会社法第336条第1項)。
公開会社(※)ではない株式会社の取締役及び監査役の任期は、定款で定めることにより、選任後10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することもできます(会社法第332条第2項、第336条第2項)。
なお、代表取締役の地位は取締役の地位に基づくものであるため、ある代表取締役について取締役の任期が満了した場合には、代表取締役の任期も満了して退任することとなります。
※公開会社とは、株式会社が発行する株式の全部又は一部につき、株式の譲渡について株式会社の承認を要する旨の定款の定めがない株式会社をいいます。株式を市場に公開しているかどうかは関係ありません。
引用:法務省(役員の変更の登記を忘れていませんか?再任の方も必要です)
役員変更の登記には登録免許税がかかります。なお、役員変更の登記を忘れた場合、罰金が科されるおそれがあるため注意しましょう。
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:J-Net21(役員変更の手続きについて教えてください。)
利益を自由に分配できる
合同会社では出資比率にかかわらず、利益分配の割合について定款で自由に決められるのが特徴の1つです。
上記の理由から、出資額が少ない社員に対しても合同会社への貢献度に応じた利益分配ができます。
以上のように、合同会社では利益を自由に分配できるため、社員間の公平性を保ちながら、貢献度に応じた利益分配が実現できます。
なお、節税対策も考慮した利益分配の割合を検討したい場合は、税理士に相談してみましょう。
関連記事:合同会社の役員報酬の相場と決め方|かかる税金や節税方法も解説
定款を書き換える機会が少ない
繰り返しになりますが、株式会社では役員の任期に関する規定があるため、役員変更があるたびに定款の書き換えが必要です。なお、役員変更の手続きでは登録免許税が発生します。
一方、合同会社には役員の任期に関する規定がないため、株式会社と比べると定款を書き換える機会が多くありません。
上記の理由から、合同会社では定款の書き換えに伴う手間や費用を抑えられます。
参考:法務省(役員の変更の登記を忘れていませんか?再任の方も必要です)
参考:J-Net21(定款の変更を考えております。そのポイントを教えてください。)
参考:国税庁(No.7191 登録免許税の税額表)
意思決定を迅速にできる
株式会社では出資者と経営者が異なるケースが多いため、経営に関する意思決定を行う際、社外にいる出資者と意見のすり合わせが必要になる場合があります。
一方、合同会社では出資者が経営を担うため、迅速な意思決定ができる点はメリットの1つです。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
株主総会を開催する必要がない
株式会社では経営方針や重要事項を決める場合、株主総会を開催しなければなりません。一方、合同会社では株主総会を行う必要がなく、社員総会で意思決定を行えます。
繰り返しになりますが、合同会社では出資者がそのまま経営に携わるため、株式会社と比較すると意思決定がスムーズで、経営の自由度が高いです。
参考:J-Net21(株主総会の招集手続きについて教えてください。)
参考:J-Net21(株主が1人の株主総会について教えてください。)
決算公告の義務がない
合同会社は決算公告の義務がありません。左記のため、公告にかかる費用を削減できます。株式会社には決算公告の義務があるため、ホームページや官報などへの掲載が必要です。
官報に掲載する場合、枠の大きさによって料金は異なりますが、最低でも7万円はかかります。なお、合同会社の決算は煩雑なため、税理士への依頼も検討しましょう。
参考:e-Gov(会社法 第四百四十条 計算書類の公告)
参考:法務省(電子公告制度について)
参考:国立印刷局(会社法 法定公告について)
関連記事:【法人の決算申告】税理士なしのリスクと依頼時の費用相場
維持費を抑えられる
繰り返しになりますが、合同会社は株主総会の開催や役員の任期を更新する手続き、決算公告の義務がないため、株式会社と比べると維持費を大幅に抑えられます。
上記によって浮いた費用は、製品開発やマーケティングなどに回せます。
低コストで経営できる点は合同会社のメリットの1つです!
関連記事:合同会社が経費で落とせるもの一覧|いくらまで経費計上できる?
会社を乗っ取られるリスクが低い
持分を譲渡する場合、社員全員の承諾が必要なため、外部から合同会社を乗っ取られるリスクは低いです。
一方、株式会社の場合、株式を自由に譲渡できるため、第三者に会社を乗っ取られるおそれがあります。以上のように、会社を乗っ取られるリスクが低い点は、合同会社のメリットの1つです。
なお、会社を設立にあたって、株式会社と合同会社のどちらで設立するかを迷っている場合は、税理士に相談してみましょう。
参考:J-Net21(持分会社の社員の持分は譲渡できますか?)
個人事業主より社会的な信用度がある
合同会社は個人事業主と比べると社会的な信用度が高いです。合同会社は法人格で持つため、取引先や金融機関からの信頼を得やすく、融資や取引の場面で個人事業主よりも有利です。
また、AmazonやAppleなどの外資系企業が、合同会社で設立されるケースが増えており、合同会社の社会的な信用度はさらに向上すると見込まれています。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
関連記事:合同会社か個人事業主ならどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して徹底解説
個人事業主より資金調達しやすい
合同会社は個人事業主と比べると資金調達が行いやすいです。繰り返しになりますが、合同会社は社会的な信用度が高いため、個人事業主よりも金融機関の融資審査が通りやすいです。
また、合同会社は法人向けの補助金や助成金も活用できます。
ただし、合同会社を設立したからといって必ず資金調達ができるわけではなく、決算書や事業計画書の内容も審査される点に注意しましょう。
必要に応じて税理士の力も借りながら、資金調達を行いましょう。
関連記事:合同会社か個人事業主ならどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して徹底解説
個人事業主より節税効果が期待できる
合同会社を設立すると、個人事業主よりも高い節税効果が期待できます。
合同会社の設立によって、経費として認められる範囲が拡大するため、役員報酬や生命保険料なども経費で落とせるようになります。
また、青色申告書を提出している合同会社は、赤字を繰り越して控除できる期間が最大10年になるため、税制面で個人事業主よりも有利です。
参考:J-Net21(生命保険のしくみと税務)
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:国税庁(No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除)
関連記事:合同会社の設立で節税できる理由|設立の基準やデメリットも解説
合同会社を設立するデメリット
本項目では、合同会社を設立するデメリットについて解説します。
合同会社の設立を検討されている方は、下記のようなデメリットも念頭に置きましょう。
- 世間からの認知度が低い
- 社長の役職名が代表社員になる
- 株式発行したい場合は株式会社へ組織変更が必要
- 大がかりな資金調達を実施できない
- 社会的な信用度で不利な場面がある
- 上場できない
- 利益分配を巡るトラブルが生じやすい
- 経営陣の対立や人間関係のもつれが会社全体に波及する
それでは、1つずつ見ていきましょう。
世間からの認知度が低い
繰り返しになりますが、合同会社の設立件数は年々増加していますが、依然として社会的な認知度は株式会社の方が高いです。
特に、取引先の新規開拓や人材採用の場面において、合同会社に対する誤解や偏見があるケースもあります。
しかし、AppleやAmazonなどの外資系企業が合同会社を採択しているのを鑑みると、今後、合同会社の社会的な認知度はさらに高まっていくと考えられます。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
社長の役職名が代表社員になる
合同会社の社長の役職名は代表社員となります。左記の呼称は、株式会社の社長に使われる代表取締役と比べると一般的にはあまり馴染みがありません。
株式発行したい場合は株式会社へ組織変更が必要
合同会社は株式を発行できないため、株式を用いた大規模な資金調達を実施したい場合、株式会社への組織変更を行う必要があります。
株式会社へ組織変更すれば、株式発行による資金調達ができ、社会的な認知度や信用度も向上します。ただし、組織変更の手続きには、時間や費用がかかる点は念頭に置きましょう。
参考:法務局(持分会社の組織変更〔持分会社→株式会社〕の登記申請書)
大がかりな資金調達を実施できない
繰り返しになりますが、合同会社では株式を発行できないため、大規模な資金調達には向いていません。
合同会社で資金調達する場合、補助金や助成金、金融機関からの融資、社債の発行などが主な手段です。
融資を受けたり社債を発行したりした場合は返済が必要であり、返済不要な資金を募れる株式発行と比べると負担が大きくなります。
なお、資金調達を成功させるうえで、税理士の力も借りましょう。
参考:J-Net21(社債を発行しようと思いますが、留意すべき点を教えてください。)
参考:J-Net21(デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンスの違いについて教えてください。)
社会的な信用度で不利な場面がある
繰り返しになりますが、合同会社の設立件数は増加しているものの株式会社と比べると認知度が低いです。上記の理由から、社会的な信用度を求められる場面において不利なケースがあります。
特に、合同会社の設立直後や取引実績が少ないタイミングだと、金融機関の融資審査や取引先との契約締結の場面で不利になるおそれがあります。
以上について考慮しながら合同会社の設立を検討しましょう。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
関連記事:法人化で後悔したくない!失敗しないコツを税理士が解説
上場できない
合同会社では株式を発行できないため、証券取引所へ上場できません。上場により大規模な資金調達や知名度の向上を目指せる株式会社と比べると、合同会社は事業規模の拡大において制約がかかります。
特に、多額の資金が必要な事業計画を立てている場合、合同会社が適していないおそれがあります。
利益分配を巡るトラブルが生じやすい
合同会社では利益分配の割合について出資比率に縛られず自由に決められる一方、利益分配を巡るトラブルが社員間で生じやすいです。
意見の不一致や不公平感が生じると、会社全体に悪影響を及ぼすおそれがあります。定款の作成時に、利益分配の基準について明確に定め、入念な合意形成を図っておくのが重要です。
経営陣の対立や人間関係のもつれが会社全体に波及する
繰り返しになりますが、合同会社は出資者である社員が経営するため、意思決定がスピーディに行われるのが特徴の1つです。
しかし、経営陣の意見が対立すると、会社全体に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、社員が複数名だと意見が割れた場合、事業活動が停滞したり社内に混乱を招いたりするリスクがあります。
以上のような対立を防ぐために、意見が割れたケースにおける意思決定のルールを定款に明記しておくのが重要です。
参考:日本弁護士連合会(合同会社の意思決定のルールはどうなっているか)
関連記事:法人化で後悔したくない!失敗しないコツを税理士が解説
合同会社の設立後に起こりやすいトラブル
本項目では、合同会社の設立後に起こりやすいトラブルについて解説します。
上記の仕組みが災いして、合同会社の設立後、下記のようなトラブルが起こりやすいため注意しましょう。
- 意思決定で対立する
- 資金調達に苦戦する
- 利益分配を巡って揉める
- 退社する社員に資本金の払戻しを請求される
それでは、順番に見ていきましょう。
意思決定で対立する
繰り返しになりますが、合同会社では出資者である社員全員が等しく議決権を持つため、意見が割れると意思決定が難航しやすいです。
特に、社員数が偶数だと賛否が同数となり、結論を出せない状況に陥ってしまいます。
以上のような意思決定の対立を回避するには、社員数を奇数にしたり、意見が対立した場合の決議方法について定款で規定したりするのが大切です。
参考:日本弁護士連合会(合同会社の意思決定のルールはどうなっているか)
資金調達に苦戦する
繰り返しになりますが、合同会社では株式を発行できないため、大規模な資金調達が難しくなります。
しかし、設立して間もない合同会社は融資の審査で不利になりやすく、資金調達に苦戦する場合もあります。
資金不足に陥らないために、しっかりと資金計画を立て、半年〜1年程度の運転資金を準備しておくのが重要です。資金調達を成功させるためには税理士の力を借りるのも手段の1つです。
関連記事:中小企業や小さい会社で税理士が必要な理由と費用相場
利益分配を巡って揉める
繰り返しになりますが、合同会社では利益分配の割合について、出資額だけでなく貢献度や役割などに応じて自由に決められる一方で、不公平感から社員同士で揉める場合があります。
上記のようなトラブルを防ぐためには、利益分配に関して入念な話し合いを行い、決定事項を定款に明記しておくのが重要です。
なお、利益分配に関するルールを変更する際、社員全員の同意が必要ですので注意しましょう。
関連記事:合同会社の役員報酬の相場と決め方|かかる税金や節税方法も解説
退社する社員に資本金の払戻しを請求される
合同会社では社員が退社する際、資本金の払戻しを請求できます。払戻しによって資本金が減少すると、債権者から異議申し立てを受ける場合があります。
また、資本金の額が変わるため、本店所在地を所轄する法務局での登記手続きも必要です。資本金の払戻しに伴う一連の手続きは煩雑なため、不明な点は税理士に確認しながら進めましょう。
参考:e-Gov(会社法 第六百十一条 退社に伴う持分の払戻し)
参考:e-Gov(会社法 第六百二十七条 債権者の異議)
参考:J-Net21(持分会社の出資の払戻しとはどのような制度ですか?)
参考:法務局(合同会社の資本金の額の変更の登記申請書)
関連記事:中小企業や小さい会社で税理士が必要な理由と費用相場
合同会社の設立を成功させるポイント
本項目では、合同会社の設立を成功させるポイントについて解説します。
前の項目で説明したようなトラブルを回避し、合同会社のメリットを最大限引き出すためには、下記のポイントを押さえましょう。
- 代表社員の選定
- 利益分配や事業継承のルールを定款に記載する
- 公平な意思決定のルールを規定する
- 設立前に専門家へ相談する
- 補助金や助成金を活用して資金調達する
- 株式会社への組織変更も念頭に置く
- 合同会社に向いている事業なのかどうかを精査する
上記について1つずつ見ていきましょう。
代表社員の選定
代表社員の選定は、合同会社の設立を成功させるポイントの1つです。
合同会社では社員全員に平等な議決権が与えられますが、意見がまとまらず意思決定に時間がかかり、社内に混乱を招いたり、取引先に迷惑をかけたりするリスクがあります。
そこで、最終的な意思決定を行う代表社員を選出しておくとスムーズな経営が実現できます。
利益分配や事業継承のルールを定款に記載する
合同会社を設立する際には、利益分配や事業継承に関するルールを定款に記載しておきましょう。
また、万が一、社員が死亡した場合でも合同会社を存続できるよう、事業継承のルールも定款に記載しておきましょう。
特に、1人社長の場合、相続人に持分が継承される旨を定款に記載しておくと安心です。なお、事業承継に関して不安な点がある場合、税理士に相談してみましょう。
参考:J-Net21(社長が急に亡くなりました。どうすればよいでしょうか?)
参考:e-Gov(会社法 第六百四十一条 解散の事由)
参考:e-Gov(会社法 第六百四十三条 解散した持分会社の合併等の制限)
参考:e-Gov(会社法 第六百八条 相続及び合併の場合の特則)
公平な意思決定のルールを規定する
公平な意思決定のルールを定めておくのも、合同会社の設立を成功させるポイントの1つです!
合同会社では出資者である社員全員に平等な議決権が与えられますが、意思決定のルールを定めていない場合、意見の対立が起こりやすく、経営に支障をきたすおそれがあります。
上記のトラブルを回避するために、出資額に応じた決議方法や最終的な意思決定者など、円滑な意思決定を行うためのルールを社員全員で話し合いましょう。
社員全員が納得できる形で事業を進められるよう、公平な意思決定のルールを事前に規定しておくのが大切です。
設立前に専門家へ相談する
合同会社の設立に不安がある場合、事前に専門家へ相談しましょう。特に、税理士は合同会社の設立に必要な手続きをサポートしてくれます。
たとえば、定款の作成や登記申請、社会保険の手続きなどをまとめて代行してもらえるサービスもあります。上記のサービスによって期待できるのは、時間と手間の大幅な削減です。
なお、弊所では会社の設立と顧問契約をあわせてご依頼くださる方向けに、合同会社1.6万円、株式会社13.8万円のフルサポートプランを提供させていただいております。
補助金や助成金を活用して資金調達する
合同会社は株式会社と比べると資金調達の選択肢が限られますが、下記のような補助金や助成金、創業融資などを活用すれば、十分な資金調達はできます。
参考:J-Net21(創業者向け補助金・給付金|都道府県別)
参考:J-Net21(自己資金の準備)
株式会社への組織変更も念頭に置く
株式会社に変更すれば、株式発行による大がかりな資金調達や社会的な信用度の向上などが期待できます。ただし、株式会社への組織変更の手続きには、時間や費用がかかります。
また、株式会社への組織変更は、経営や財務などさまざまな面に影響を及ぼすおそれがあるため、慎重な判断が重要です。
株式会社への組織変更は、綿密な計画を立て、適切なタイミングで行いましょう。なお、税理士と顧問契約をしておけば、株式会社へのスムーズな移行が期待できます。
参考:法務局(持分会社の組織変更〔持分会社→株式会社〕の登記申請書)
関連記事:顧問税理士とは?顧問契約の必要性・メリットや注意点を解説
合同会社に向いている事業なのかどうかを精査する
合同会社に向いている事業なのかどうかを設立前に精査するのは、合同会社の設立を成功させるポイントの1つです。
合同会社に向いていない事業を無理に行ってしまうと、トラブルが発生しやすくなるため注意しましょう。合同会社に向いている主な事業は、次のとおりです。
- 一般消費者向け事業
- 小規模事業
- ジョイント・ベンチャー
上記の3つについて、1つずつ見ていきましょう。
一般消費者向け事業
合同会社に向いている事業の1つ目は、一般消費者向け事業です。たとえば、小売業やIT業などでは、顧客は会社形態よりも商品やサービスの中身を重視します。
一例ですが、下記のような職種は合同会社の設立が向いています。
- アフィリエイター
- コーチング
- オンラインサロン運営
- ECサイト運営
- eBay輸出
- セミナー講師
合同会社の社会的な認知度や信用度は、株式会社と比べると低いため、BtoBビジネスでは不利な場面もありますが、一般消費者向け事業では問題ないケースがほとんどです。
自分の事業が合同会社に適しているかどうか判断に迷う場合、税理士に相談してみましょう!
関連記事:マイクロ法人でおすすめの事業や業種の選び方を税理士が解説
小規模事業
合同会社に向いている事業の2つ目は、小規模事業です。
たとえば、個人事業主から法人成りするケースや家族経営、友達起業などに向いています。また、下記のような設備投資が少ない事業にも合同会社は適しています。
- ネットビジネス業(アフィリエイターやSNSマーケターなど)
- IT業(プログラマーやITエンジニアなど)
- 広告代理店業
大規模な資金調達や全国展開を考えていない場合、合同会社が最適です。
関連記事:一人合同会社の設立に税理士が必要なケースといらないケースを選び方とあわせて解説
ジョイント・ベンチャー
合同会社に向いている事業の3つ目は、ジョイント・ベンチャーです。
ジョイント・ベンチャーとは、複数の企業が出資して新しく会社を設立し、共同で事業を運営する形態を指します!
合同会社でジョイント・ベンチャーを行った場合、株式会社と比べると利益分配を平等にできるため、出資額だけでなく、貢献度に応じた評価が実現します。
合同会社と株式会社の違い
本項目で解説するのは、合同会社と株式会社の違いについてです。
両者の違いは下表のとおりです。
比較項目 | 合同会社 | 株式会社 |
出資者の呼び方 | 社員 | 株主 |
経営者と出資者の関係性 | 社員が直接経営に関与 | 経営者と株主は分離しており、株主は経営に関与しないケースが多い |
役員の任期 | 規定はありません | 会社法で定められています |
決算公告の義務 | ありません | あります |
出資者への利益分配 | 利益分配の割合について自由に決定できます | 株主への利益分配は出資額に基づいて行われます |
持分(株式)の譲渡 | 持分の譲渡には社員全員の同意が必要です | 株式は自由に譲渡できます |
設立にかかる時間 | 定款認証が不要で、機関設計も簡単なため、比較的短い期間で設立できます | 定款認証が必要で、機関設計が煩雑なため、設立に時間がかかる傾向があります |
設立費用(自分で行う場合) | ・登録免許税:6万円〜 ・定款認証の手数料:不要 ・合計:6万円〜 |
・登録免許税:15万円〜 ・定款認証の手数料:3〜5万円 ・合計:18万円〜 |
設立費用(税理士に依頼する場合) | 上記に加えて、税理士への依頼費用が5~10万円程度かかるため、合計で11〜16万円程度 | 上記に加えて、税理士への依頼費用が10~15万円程度かかるため、最低でも28万円程度 |
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:法務省(役員の変更の登記を忘れていませんか?再任の方も必要です)
参考:国立印刷局(会社法 法定公告について)
参考:J-Net21(持分会社の社員の持分は譲渡できますか?)
参考:日本公証人連合会(9-4 定款認証)
参考:e-Gov(会社法 第三百二十六条 株主総会以外の機関の設置)
参考:e-Gov(会社法 第三百二十七条 取締役会等の設置義務等)
参考:国税庁(No.7191 登録免許税の税額表)
関連記事:会社設立手続きを自分で行う5つのステップ|費用や流れについて解説
合同会社と合資会社や合名会社の違い
本項目では、合同会社と合資会社や合名会社の違いについて解説します。
繰り返しになりますが、合同会社は社員全員が有限責任であり、出資額の範囲を超えた部分の責任は負いません。合同会社の社員は会社が倒産しても、負う責任が比較的軽い点が特徴です。
一方、合名会社は社員全員が直接無限責任社員であり、会社の負債については自己の財産を使ってまで無限に責任を負います。
合名会社は合同会社よりも業務執行権が強く、経営の自由度が高い反面、リスクも大きいです。
合資会社は有限責任社員と無限責任社員が混在している会社形態であり、少なくとも1名の無限責任社員が必要となります。
なお、合同会社と合名会社は1名以上の社員で設立できますが、合資会社を設立する場合、2名以上の社員が必要です。
参考:J-Net21(有限責任と無限責任について教えてください。)
参考:e-Gov(会社法 第五百七十六条 定款の記載又は記録事項)
関連記事:一人会社のリスク・デメリットと回避する方法を税理士が解説
合同会社の設立件数が増えている背景
本項目では、合同会社の設立件数が増えている背景について解説します。
合同会社の設立件数が増えている背景には、下記のような要因があります。
要因 | 解説 |
経営の柔軟性が高い | 合同会社は株式会社と比べると経営の柔軟性が高く、迅速な意思決定ができます |
会社の乗っ取りが起きにくい | 合同会社では所有と経営が一致するため、外部からの影響を受けにくく、会社の乗っ取りリスクが低いです |
一人会社やプライベートカンパニーとして使い勝手が良い | 節税対策の一環として個人事業主が法人化する場合に適しています |
決算公告や役員の任期更新の手間がかからない | 株式会社では決算公告の義務がありますが、合同会社にはないため、公告にかかる費用や手間がかかりません。また、合同会社には役員の任期に関する規定がないため、更新手続きも不要です |
自分の名前や経営状況を公表したくない場合に有効な手段 | 合同会社には決算公告の義務がないため、株式会社と比べるとプライバシー保護の観点でメリットがあります |
不動産投資を行うサラリーマンが増加した | 節税効果を期待して、合同会社を設立するケースが増えています |
合同会社で設立される大企業が増えた | AppleやAmazon、Googleなどの外資系企業が代表例です |
繰り返しになりますが、合同会社の設立には専門知識を求められる場面も多いため、会社設立の支援実績が豊富な税理士の力も借りましょう。
参考:J-Net21(株式会社と合同会社のどちらがよいか)
参考:法務省(役員の変更の登記を忘れていませんか?再任の方も必要です)
参考:国立印刷局(会社法 法定公告について)
参考:J-Net21(持分会社の社員の持分は譲渡できますか?)
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
関連記事:一人合同会社の設立に税理士が必要なケースといらないケースを選び方とあわせて解説
関連記事:マイクロ法人設立でサラリーマンが節税するメリットや注意点を解説
合同会社の設立に関するよくある質問
最後に、合同会社の設立に関するよくある質問についてご紹介します。
売上規模が拡大している個人事業主や不動産投資が軌道に乗っているサラリーマンなど、合同会社の設立を検討中の方は、本項目も参考にしてみてください!
内容は随時追記します。
合同会社とはどのような特徴を持つ会社形態ですか?
合同会社は出資者である社員が経営を行う持分会社の1つで、経営の自由度と費用対効果が高いのが特徴です。合同会社は株式会社と比べると、設立の手続きが簡便で費用も安いです。
また、合同会社には決算公告の義務がないため、コストを抑えられたりプライバシーが守られたりするメリットがあります。
合同会社は1人でも設立でき、一般消費者向け事業や小規模事業などに向いています!
なお、社員は間接有限責任のため、万が一の場合のリスクも低いです。
参考:J-Net21(有限責任と無限責任について教えてください。)
関連記事:合同会社の設立で節税できる理由|設立の基準やデメリットも解説
合同会社を設立して後悔するケースはありますか?
合同会社の設立は簡単で費用も抑えられますが、株式会社と比べると社会的な信用度の面で不利になるケースがあります。また、合同会社は上場できないため、のちのち後悔する場合があります。
繰り返しになりますが、合同会社は小規模事業に適しているため、事業規模の拡大を視野に入れている場合、株式会社の方がおすすめです。
関連記事:合同会社で後悔する理由と対策|個人事業主や株式会社と比較して設立を検討
求職者の視点から見た合同会社で働くデメリットは何ですか?
社会的な認知度の観点で、合同会社で働くのをデメリットに感じる方がいらっしゃいます。
また、事業規模が小さく、任される業務内容が広範囲にわたるようなケースでは、業務量が多いと不満を募らせるケースもあります。
合同会社の設立は怪しいからやめとけとYahoo!知恵袋に書き込まれていましたが、本当ですか?
合同会社の設立は怪しいからやめとけという意見を目にするケースがありますが、実際には合法的な会社形態であり、設立件数は増えています。
繰り返しになりますが、合同会社の設立手続きは比較的簡単であるため、一般消費者向け事業や小規模事業などを立ち上げる場合に選ばれるケースが多いです。
ただし、合同会社は株式会社と比べると社会的な信用度が低い傾向があるため、デメリットに感じる方もいらっしゃいます。
しかし、近年ではAppleやAmazonなどの外資系企業が合同会社で設立されるケースが増えているため、社会的な信用度や認知度はさらに向上すると見込まれています。
参考:独立行政法人経済産業研究所(ようやく浸透した日本版LLC)
関連記事:会社と個人事業主はどっちが得?違いやメリット・デメリットを比較して法人化を検討
合同会社が掲載する求人は怪しいと思われるでしょうか?
合同会社が掲載する求人は怪しいと感じられるケースもあるかもしれませんが、求人が信頼できるかどうかは合同会社の経営状況や求人内容に左右されます。
合同会社が掲載する求人は怪しいと思われないために、以下の点に注意しましょう。
- 具体的な仕事内容を記載する
- 給与や待遇に関する情報を詳細に記載する
- 事業実績や取引先に関する情報を記載する
- 社内風景やスタッフの写真を掲載する
- 信頼性の高い求人サイトに掲載する
- SNSで日々の様子や事業実績を発信しておく
- 公式ホームページをこまめに更新しておく
出資者が合同会社を辞めたい場合の手続きを教えてください。
合同会社の出資者が辞める場合、定款に明記されている内容に従います。会社法上、辞めたい出資者は、6ヶ月前までに退社の意思を他の出資者に伝える必要があります。
また、出資者の退社に伴い、合同会社の登記を変更する必要があるため、本店所在地を所轄する法務局に必要書類の提出が必要です。
なお、出資金の払い戻しを求められるケースもあるため、トラブルがないように慎重な手続きが求められます。
参考:e-Gov(会社法 第二節 社員の退社)
参考:J-Net21(持分会社の出資の払戻しとはどのような制度ですか?)
参考:e-Gov(会社法 第六百十一条 退社に伴う持分の払戻し)
参考:法務局(合同会社の資本金の額の変更の登記申請書)
まとめ
今回は、合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由について、起こりやすいトラブルや設立するデメリットとあわせて解説しました。
合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる理由は、次のとおりです。
- 株式会社よりも認知度が低い
- 社会的な信用度が低い
- 資金調達の選択肢が限られる
- 意思決定に遅れが出るおそれがある
- ワンマン経営に陥るおそれがある
- 所有者が死亡すると会社も解散する
- 社員同士が利益分配で揉めるおそれがある
上記の理由から、合同会社の設立は怪しいからやめとけといわれる場合がありますが、合同会社を設立すると下記のようなメリットが得られます。
- 自由度と費用対効果が高い
- 会社を乗っ取られるリスクが低い
- 個人事業主より社会的な信用度がある
- 個人事業主より資金調達しやすい
- 個人事業主より節税効果が期待できる
合同会社の設立には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 世間からの認知度が低い
- 社長の役職名が代表社員になる
- 株式発行したい場合は株式会社へ組織変更が必要
- 大がかりな資金調達を実施できない
- 社会的な信用度で不利な場面がある
- 上場できない
- 利益分配を巡るトラブルが生じやすい
- 経営陣の対立や人間関係のもつれが会社全体に波及する
合同会社の設立を検討されている方は、上記のデメリットも念頭に置きましょう。また、合同会社を設立したあとに起こりやすいトラブルは、次のとおりです。
- 意思決定で対立する
- 資金調達に苦戦する
- 利益分配を巡って揉める
- 退社する社員に資本金の払戻しを請求される
上記のトラブルを回避し、合同会社の設立を成功させるために押さえるべきポイントは、以下のとおりです。
- 代表社員の選定
- 利益分配や事業継承のルールを定款に記載する
- 公平な意思決定のルールを規定する
- 設立前に専門家へ相談する
- 補助金や助成金を活用して資金調達する
- 株式会社への組織変更も念頭に置く
- 合同会社に向いている事業なのかどうかを精査する