こんにちは、ネットビジネスに強い税理士の植村拓真です。
私自身がネットビジネスを実践している経験から、弊所では創業当初から多くのネットビジネス業の方と顧問契約を結ばせていただいております。
そして、ネットビジネス業の方が顧問先様に多いため、弊所スタッフもネットビジネス業に強くなりました。
そんな弊所ですが、普段から開業直後の個人アフィリエイターの方や、売上が大きく伸びて顧問税理士をお探しのインフルエンサーの方などから、以下のようなご相談をいただいております。



初めて確定申告を行う方であれば、よくわからなくて当然です。
所得税の確定申告は、決算申告に比べると簡単と言われていますが、適切に行うためには専門知識や経験が必要です。
そのため、確定申告がよくわからない、無申告のまま放置してしまっているネットビジネス業の方は少なくありません。
今回はそんな方に向けて、ネットビジネスの収入で確定申告が必要なケースから無申告がばれる理由まで徹底解説します。
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ネットビジネスでも確定申告は必要
ネットビジネスで収入を得た場合でも、金額次第では確定申告が必要です。
副業で始めた方や収入が不安定な方であれば、申告する必要があるかどうかで悩む場面が多いのではないでしょうか。
本項目ではそんな方向けに、ネットビジネスに関連する確定申告の基本を解説します。
- ネットビジネスの収入とは何を指すか
- どのような収入に税金がかかるのか
- 課税対象外となる収入の例
ネットビジネスの収入とは?
ネットビジネスの収入とは、インターネットを通じて得られる報酬を指します。
たとえば、アフィリエイトリンクからの成果報酬、YouTube動画の広告収益、BASEやeBayなどの物販による売上、noteやオンラインサロンの参加権などの販売売上などです。
他にも、LINEを活用したデジタルコンテンツの販売売上、InstagramやTikTokなどのSNSを使った集客からの収益化なども収入に含まれます。
各収入は、個人で自由に始めて得られる反面、税法上は立派な所得と見なされます。
たとえ収入が少額でも、継続的に活動して得ていれば営利性があると判断されて、確定申告が必要になるケースがありますので、本記事でご自身が必要かどうかを確認しましょう。
ネットビジネスの収入も課税対象
ネットビジネスで得られる収入は、原則として所得税の課税対象となります。
たとえば、アフィリエイト報酬やネットショップの売上、動画投稿による広告収益などは、雑所得または所得として扱われます。
総収入から必要経費を差し引いた金額が所得で、金額によっては確定申告が必要です。
必要経費として認められる支出には、ネットビジネスの事業に必要な通信費や書籍代、業務に使用したソフトウェア代、パソコンの購入費などです。
たとえ副業としてネットビジネスを行なっていても、年間所得が一定の水準を超えた場合は、確定申告の義務が発生します。
ネットビジネスではASPやSNSなどの複数媒体から報酬を受け取る機会が多く、ややこしいし少しくらいなら無申告でもばれないと考えて総収入を集計せずに放置していると、申告漏れが原因で税務調査に発展するおそれがあります。
副業ネットビジネスの無申告に関するご質問をよくいただくのですが、ネットでも無申告はバレますしSNSも監視対象です。バレてから慌てながら時間をかけて本来不要なお金を支払うくらいなら、最初から正しく申告するようにしましょう! https://t.co/X1zeFgAFcX pic.twitter.com/OPP2vE3zNr
— 植村拓真|ネットビジネス・IT業の税理士 (@Takuma_Uemura_) January 21, 2025
フリマアプリなどで不用品を売却して得た利益は課税対象外
メルカリやラクマなどのフリマアプリで自宅にある不用品を売って得た利益は、原則として所得税の課税対象外です。
生活の中で使用していた物品を売却した場合、利益は生活用動産の譲渡に該当して非課税とされています。
たとえば、使わなくなった衣類や家電などを出品して、数千円〜数万円の利益を得た場合、出品物が家庭内の不要品である限り税務申告は不要です。
ただし、売却した出品物が生活用ではなく、高額な資産価値のある美術品や貴金属などである場合は課税対象となるケースがあります。
また、転売目的で仕入れた商品を継続販売している場合、事業性があると税務署に判断されるため、利益は課税対象です。
不用品を売却する際は、取引記録を残しつつ自分の活動が課税対象に当たらないかどうかを冷静に判断したうえで、必要に応じて確定申告を行いましょう。
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本業のネットビジネスで得た収入の確定申告
ネットビジネスを本業として取り組んでいる場合、収入の規模が大きくなる分、税務上の申告や納税の負担も大きいです。
副業とは異なり、事業所得として取り扱われて、個人事業税や消費税が関わってくるケースもあります。
本項目では、ネットビジネスを本業にしている方が確認すべき確定申告のポイントについて整理していきます。
- 所得は事業所得に分類される
- 消費税や個人事業税などが発生するケースもある
所得は事業所得に分類される
ネットビジネスを本業としている場合、原則として収入は事業所得扱いです。そもそも事業所得とは、継続して営利を目的とした事業活動で得る所得を指します。
単発の収入ではなく、継続した売上や活動がある場合に分類されて、青色申告の対象にもなります。
青色申告にはメリットがあり、最大65万円の特別控除や赤字の繰越控除、家族への給与支払いに対する専従者控除などです。本制度をうまく活用すれば、税負担を抑えてネットビジネス業に取り組めます。
ただし、ネットビジネスが事業として認められるには、営利性や継続性、独立性などの要素を満たさなければなりません。
普段から帳簿作成や収支管理を徹底して、事業の実態を証明できる状態にしておきましょう。青色申告の控除を活用するためには、複式簿記による記帳を行わなければなりません。
事業に集中しつつ節税対策を徹底するには、複式簿記について学んで会計ソフトを導入するか、ネットビジネス業に強い税理士へ相談すると安心です。
消費税や個人事業税などが発生するケースもある
ネットビジネスを本業として運営している場合、所得税に加えて消費税や個人事業税が発生するケースがあります。
まず、消費税については、基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円を超えている場合、あなたは消費税の課税事業者です。
引用:国税庁(消費税のしくみ)
ネットビジネスで事業が好調な方は、売上がいくらなのかを把握しておきましょう。
また、個人事業税には事業主控除があり、事業所得が年間290万円を超えた場合に納税が必要です。税率は業種によって異なりますが、一般には5%前後で設定されています。
たとえば、アフィリエイトなら第1種事業の広告業で5%、ネットショップも第1種事業の物品販売業で5%です。
個人事業税は地方税に該当する税金で、所得税の確定申告とは別に都道府県から納税通知書が送付されます。
本業のネットビジネスで収入が増えると、さまざまな税目を適切に管理して申告しなければなりません。
想定外の納税額で資金繰りが悪化しないように、普段から収入と納税額のバランスを意識して経営するようにしましょう。また、インボイス制度の対応や簡易課税制度の適用要件なども検討する必要があります。
関連記事:アフィリエイトでも個人事業税はかかる?納税不要のケースや未申告のリスクも解説
関連記事:インボイス制度と法人成り|タイミングから影響と対策まで解説
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副業のネットビジネスで得た収入の確定申告
副業でネットビジネスを行っている方も、一定の条件を満たすと確定申告が必要です。本業ではなく会社員の副業であったとしても、税務申告を免除されるわけではありません。
本項目では、副業のネットビジネスで得た収入の確定申告について、以下の2点に焦点を当てて解説します。
- 年間所得が20万円を超える場合は必要
- 住民税は年間所得が20万円以下でも申告が必要なケースもある
年間所得が20万円を超える場合は必要
副業でネットビジネスを行っている場合、1年間の所得が20万円を超えると所得税の確定申告が必要です。
繰り返しになりますが、所得とは売上から必要経費を差し引いた金額を指し、たとえばアフィリエイト報酬からサーバー代やツール利用料などの必要経費を差し引いて算出します。
会社員で給与所得がある場合でも、副業分の所得が20万円を超えた時点で、確定申告を行わなければなりません。
給与所得者は会社が年末調整を行っているため、通常は確定申告を行いませんが、副業の収入については別途対応が必要です。
確定申告せずに無申告のまま放置すると、税務調査に入られて延滞税や無申告加算税が課されるリスクもあります。
副業だからと油断せずに、所得が20万円を超えたかどうかを正確に計算して、確定申告が必要であれば期限内に申告手続きを行うようにしましょう。
また、確定申告を行うことで医療費控除や寄附金控除などの控除制度を利用できるケースもあるため、ご自身にとって有利な制度を見落とさないようにしましょう。
参考:国税庁(No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)
関連記事:アフィリエイトで確定申告しないとばれる?住民税やどうなるかも税理士が解説
住民税は年間所得が20万円以下でも申告が必要なケースもある
副業のネットビジネスで得た年間所得が20万円以下であっても、住民税の申告は必要なケースがあります。
(2)給与所得以外に不動産所得等、他の所得が20万円を超える人(住民税は20万円以下でも申告が必要です)
引用:令和7年度 特別区民税・都民税(住民税)申告の手引き
所得税の申告を行っていない場合、市区町村のホームページからダウンロードするなどして、住民税用の申告書を自治体の窓口に提出しなければなりません。
住民税は前年の所得に基づいて翌年に課税されるため、収入がわずかでも正確に申告しましょう。
万が一、申告を怠ってしまうと本来より高額で課税されたり、延滞扱いになったりするおそれがあります。また、住民税の申告によって副業が勤務先にバレるケースがあります。
副業の収入が給与所得と合算して課税される際、住民税の特別徴収方式を通じて勤務先にばれるおそれがあるため注意しましょう。
住民税の扱いは自治体によって対応が異なるため、市区町村に早めに確認しておくようにしましょう。
関連記事:アフィリエイトの確定申告で副業が会社にばれないようにする方法
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ネットビジネスの収入は確定申告しないとバレる
ネットビジネスで得た収入を無申告の状態で放置していると、税務署に把握されかねません。
たとえネット上の取引であっても、報酬の支払元や銀行口座の入出金履歴などから、追跡される仕組みが整っています。
たとえば、ASPやECプラットフォームなどが税務署へ支払調書を提出している場合、支払調書が根拠資料として利用されます。
ネットビジネスで得た収入の無申告が発覚すると、延滞税や無申告加算税だけでなく、最悪のケースだと重加算税といった重い罰則が科されかねません。
最悪の事態を回避するためにも、ネットビジネスで得た収入は事業開始時から正確に記録して、必要に応じて確定申告を行うようにしましょう。
関連記事:ネットビジネスの税金と確定申告まとめ|無申告がバレる理由も解説
関連記事:アフィリエイトの税務調査で確認される内容と対策を解説
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ネットビジネスの収入の確定申告のやり方
ネットビジネスで得た収入を確定申告する際にe-Taxを活用すると、税務署に足を運ばなくても手続きが完了して便利です。
特に、青色申告を行う個人事業主の方は、電子申告を選択すると最大65万円の特別控除を受けられるケースがあるため節税効果が高まります。
申告作業は、まず国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスして、申告書の作成方法や提出手段を選択します。
マイナンバーカードを使うかどうか、申告する内容の種類を設定して、必要に応じてマイナポータルとの連携が必要です。
画面を見ながら手続きを完了したら、e-Taxを使って申告書を送信してQRコードを発行します。
最後に控えを保存して、納税が必要な場合は金融機関やコンビニ、口座振替などで期限内に納付しましょう。
関連記事:確定申告が全くわからない方へ|やり方や相談先について税理士が解説
関連記事:【個人事業主・法人対応】確定申告を税理士に丸投げする費用相場やメリット・デメリットを解説
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まとめ
今回は、ネットビジネスの収入で確定申告が必要なケースから無申告がばれる理由まで徹底解説しました。
ネットビジネスで得た収入については、本業か副業かを問わず状況に応じて確定申告が必要です。消費税や個人事業税なども申告が必要なケースもあります。
事業に取り組んで収入を得る以上、確定申告は避けられませんし、放置すると税務調査に入られてペナルティを受けるおそれがありますので、状況に応じて必ず申告しましょう。
最後に、本記事の内容をおさらいしておきましょう。
- ネットビジネスの収入は課税対象になる
- 本業だと事業所得として申告して青色申告などの特典を活用できる
- 副業でも20万円を超えると所得税の申告が必要
- 20万円以下でも住民税の申告は必要なケースがある
- 無申告は税務調査やペナルティの対象になる
- e-Taxを活用し早めに手続きすると安心