こんにちは、植村会計事務所代表の植村拓真です。
弊所ではネットビジネスやIT、広告代理店業の顧問以外に、相続に関するご相談をよくいただきます。
中でも特に多いご相談の内容が、税理士報酬の目安や適切な税理士の探し方についてです。
相続に強い税理士を探そうとネットで検索してみたものの、ページがいっぱい出てくるうえに事務所によって税理士報酬の金額が異なるため、税理士選びで迷っている方は多いです。
そこで今回は、相続手続きにおける税理士の必要性について報酬の目安や探し方とあわせて解説します。
ご自身に合った依頼先の見つけ方を紹介するので、参考にしてみてください。
相続手続きで税理士は必要か?
相続財産が一定以上あり、相続税を正確に納める必要があるうえでご自身で対応できない場合は、税理士への依頼が必要です。
税金に関するサポートは税理士の独占業務であるため、他の士業では対応できません。
相続により相続税の納税義務が発生した場合、相続開始から10ヶ月以内に申告と納税が必要です。
相続税の納税期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税といったペナルティが発生します。
さらに、相続税を申告した際に申告漏れや書類の不備があると、税務調査の対象になる恐れもあります。
自力で相続税の計算から納税までを行うのが困難であれば、専門知識を有する税理士に任せると、ペナルティや税務調査のリスクを回避できて安心です。
また、後ほど紹介しますが、相続の手続きを税理士に依頼すれば節税対策を徹底できるケースもあります。
相続の手続きに税理士は必須ではありませんが、以下のような方は依頼を検討してみましょう。
- 自力で正確に相続の手続きを行うのが困難である
- 適切な節税対策を徹底したい
関連記事:相続手続きがめんどくさい理由と放置NGな理由を対処法とあわせて解説
相続手続きで税理士に依頼する5つのメリット
続いては、相続手続きを税理士に依頼するのを迷っている方向けに、依頼する5つのメリットを紹介します。
- 不動産の評価方式を調べる手間が省ける
- 必要な資料を収集する手間が省ける
- 適切な節税対策を徹底できる
- 資金移動で発生する相続税も漏れなく申告できる
- 税務調査にも対応してもらえる
①不動産の評価方式を調べる手間が省ける
相続税は所有していた現金だけでなく、土地や建物などの不動産も課税対象です。
そして、不動産は種類に応じて異なる評価方式が適用されるため、相続税を正確に納税するには、使用する評価方式や計算方法について知っておく必要があります。
相続手続きを税理士に依頼しない場合、国税庁が定める財産評価基本通達(評価通達)を自力で読み解いたうえで、適切な評価方法を選び出しつつ、正確に相続税額を計算しなければなりません。
本作業は税務の専門知識を有していない方にとって、多くの時間と労力がかかるものとなります。
しかし、相続手続きを税理士に依頼しておけば、専門性の高い作業を代行してもらえます。
ご自身は必要最低限の作業を行うだけで、不動産の評価方式を調べたり、正確に相続税額を計算したりするために時間をかける必要はありません。
②必要な資料を収集する手間が省ける
相続手続きを税理士に依頼すると、必要な資料を収集する手間が大幅に省けます。
相続の手続きでは被相続人と相続人の関係を証明する戸籍謄本、遺産の分け方について記載された遺言書の写し、預金を相続するなら残高証明書など、さまざまな資料が必要です。
資料は自力でも集められますが、何が必要かを調べるために時間がかかります。
そこで税理士に依頼しておけば、相続手続きで必要な資料について教えてもらえますので、収集に時間がかかりません。
資料収集の漏れもなくなりますので、スムーズに相続の手続きを完了できます。
③適切な節税対策を徹底できる
相続が開始したあとでも実施できる節税対策はあります。
まず、不動産の評価額を下げる減価補正です。
不動産の価値は立地や形状、面積や道路との接続など、さまざまな要素を総合的に考慮して評価されます。
たとえば、相続対象の土地が不規則な形状である場合、見積もられる価値は整った土地よりも扱いづらいため低いです。
他にも、道路に接しており間口が狭かったり、土砂災害の発生リスクがあったり、敷地内に高低差があったりする土地も、価値が低くなる傾向があります。
専門的な知識を有していなければ、土地の価値を正確に評価するのは困難です。
そこで税理士に依頼すれば、土地の状態を適切に評価に反映して、相続税の負担が軽減されるようにサポートしてもらえます。
税制に関する幅広い知識を有する税理士だからこそ、相続税関連の制度を最大限に活用して、最適な節税対策を提案できます。
相続税の負担を最小限に抑えたい方は、税理士への依頼を検討してみましょう。
④資金移動で発生する相続税も漏れなく申告できる
被相続人が生前に自身の口座から相続人の口座へ資金を移動していた場合、相続人に相続税の納税義務が発生するケースがあります。
相続人が相続税の申告を怠った場合、過去の申告や口座間の資金移動を把握している税務署から、税務調査の対象にされる恐れがあります。
そこで税理士に依頼しておけば、税務調査も含めて相続税について適切なサポートを受けられるので安心です。
税理士は資金移動に関する情報を正確に把握したうえでサポートを行うため、相続税の適正な納税を実現できます。
⑤税務調査にも対応してもらえる
さらに、万が一相続税の申告漏れが発覚した場合でも、税理士に依頼していれば適切に対処できるようにサポートしてもらえます。
税理士は税務調査の対応や修正申告の手続きにも精通していますので、相続税の申告が不安な方は依頼を検討してみましょう。
相続手続きの税理士費用(報酬)の目安
相続税手続きに関する税理士費用の目安は、相続する遺産総額の0.5〜1%です。
事務所によって金額は異なりますが、0.5〜1%に収まる傾向があります。
実際に相続手続きの業務を進める中で、予想以上に必要な資料が多かったり、作業が煩雑であったりして作業完了に時間がかかる場合、税理士費用が相続する遺産総額の1%を超えるケースもあります。
また、相続する遺産総額を段階的に分けたうえで税理士費用を設定する事務所もあるので、事前にホームページで確認しておきましょう。
相続手続きを依頼する税理士の探し方
ここからは、相続手続きを依頼する税理士の探し方について解説していきます。
失敗しない探し方は以下のとおりです。
- 相続の対応実績が豊富か確認する
- 担当スタッフとの相性を確認する
- 税理士費用(報酬)とサービスの質のバランスを確認する
順番に見ていきましょう。
相続の対応実績が豊富か確認する
相続に強い税理士を選ぶ際には、相続対応の実績が豊富かどうかを確認しましょう。
税理士には得意・不得意な分野があるからです。
相続手続きの対応実績が少ない税理士に依頼してしまうと、相続税申告の費用が相場よりも高額になったり、節税方法に明るくなくて相続税が通常よりも高くなってしまったりするリスクがあります。
そこで相続の対応実績が豊富な税理士に依頼すれば、適切なサポートと節税対策が期待できます。
税理士が相続関連の手続きの対応実績が豊富かどうかは、事務所のホームページや面談、メールなどで相続の対応実績が豊富かどうかを確認しておきましょう。
担当スタッフとの相性を確認する
相続手続きを依頼する税理士を探す際は、担当予定のスタッフとの相性を確認しておきましょう。
担当スタッフとの相性を確認せずに依頼してしまうと、契約後に態度が高圧的で気軽に相談できなかったり、業務の進め方で合わなかったりして、うまくコミュニケーションが取れないケースがあるからです。
依頼先を決める際は、実際に担当予定のスタッフと話をしてみて相談しやすいかを確認してみましょう。
税理士費用(報酬)とサービスの質のバランスを確認する
最後は、税理士費用とサービスの質のバランスを確認しておきましょう。
相続手続きを税理士に依頼する際の費用は、事務所によって異なりますし、安すぎても高すぎても良くないからです。
上記のように考えて、相続手続きを依頼する税理士を探す方がいると思います。
もちろん、人によって予算はありますし、少しでもお金を出したくないと考えるのは当たり前のことです。
しかし、税理士費用の安さにのみ注目して依頼先を決めてしまうと、サービスの質が低かったり、希望しているサポートを受けられなかったりする恐れがあります。
安すぎる金額には理由がありますので、金額の安さだけに注目して税理士を探さないようにしましょう。
また、逆に税理士費用が高すぎるからといってサービスの質も高いとは限らないので、注意が必要です。
安すぎるケースよりも正確に相続税を申告、納税できる傾向はありますが、本来支払わなくてもいい費用を支払ってしまっている恐れがあります。
相続手続きを依頼する税理士を探す際は、税理士費用とサービスの質のバランスに注目して、ご自身に合った税理士を見つけましょう。
関連記事:税理士選びで失敗しない方法|依頼タイミングと変更のコツも解説
相続手続きを税理士に依頼する際によくある質問
最後に、相続手続きを税理士に依頼する際によくある質問を紹介します。
Q.相続税に関する内容を税理士に頼まないのはありですか?
自力で正確に相続税を計算して申告・納税できて、税務調査にも対応できる方であれば、税理士は不要です。
逆に、相続税の計算や税務調査の対応に不安がある方は、税理士への依頼を検討してみましょう。
Q.税理士に依頼する際の必要書類について教えてください
税理士に依頼する際、以下の書類を用意しておくとスムーズに相続手続きを進められます。
- 被相続人に関する書類
- 相続人に関する書類
- 財産に関する書類
- 債務および葬儀費用に関する書類
- 遺言書や遺産分割協議書などその他の書類
- 税務代理権限証書と委任状
必要な資料は相続財産の種類や内容によって異なりますので、実際に必要な資料は依頼する税理士に確認しましょう。
Q.相続税に関して税理士にどこまで依頼できますか?
相続関連で税理士に依頼でいる主な業務は、相続税の申告や遺産分割協議書の作成です。
遺産分割協議書の作成は行政書士や司法書士にも依頼できますが、相続税の申告は税理士でなければ依頼できません。
まとめ
今回は、相続手続きにおける税理士の必要性について報酬の目安や探し方とあわせて解説しました。
相続手続きで税理士が必要な理由は、以下のとおりです。
相続税の計算が複雑である | 相続税は財産の種類によって評価方法が異なり専門知識が必要 |
適切な節税対策のアドバイスが受けられる | 税理士は最適な節税方法を提案して税負担を軽減 |
書類作成や提出の手間を省ける | 必要書類の収集や作成を代行 |
そして、ご自身に合った税理士を探す際は、以下の点に注目してみましょう。
相続対応の実績が豊富か | 経験豊富であるほど適切な節税対策とスムーズな手続きをサポート |
担当スタッフとの相性 | 相談しやすさが重要 |
報酬とサービスのバランス | 安すぎず高すぎず、適正な金額で質の高いサービスを提供する税理士が理想 |
ご自身に合った税理士を探して、相続手続きをスムーズに完了しましょう。