こんにちは、植村会計事務所代表の植村拓真です。
弊所では、合同会社の設立支援に関するご依頼やご相談をいただくケースが多いのですが、以下のようなご質問もよくいただきます。
合同会社の運営において適切な経費処理は、税務負担を軽減させたり資金繰りを改善したりするうえで重要です。
しかし、経費計上にはルールがあり、テキトーに処理して違反すると税務調査で指摘されてペナルティを課されるリスクもあります。
そこで今回は、合同会社が経費で落とせるものをいくらまで経費計上できるかとあわせて解説します。
合同会社が経費で落とせるもの一覧
まずは、合同会社が経費で落とせるもの一覧を紹介します。
以下はあくまで一例であり、法人によっては経費計上できないケースもありますので、参考程度にご覧ください。
役員報酬 | 税法上、経費扱いできるのは定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与の3種類 役員報酬を用いた節税対策の詳細はこちら |
生命保険 | 合同会社が負担する社長の生命保険料 |
給料賃金 | 合同会社から従業員に支払う給与、生計をともにする家族への報酬は対象外 (正社員、パート、アルバイトなどの雇用形態は問わない) |
広告宣伝費 | 商品の宣伝で必要なバナー広告やリスティング広告にかかる費用など、広告でかかる費用 |
交際費 | 事業に関連する飲み会や食事会などの費用、事業とは無関係の飲食でかかった費用は対象外 |
会議費 | 会議のために必要な飲食代 |
旅費交通費 | 出張でかかった交通機関の利用料や宿泊料金など |
通信費 | インターネットの利用料、スマホや固定電話の通話料、郵便代など |
消耗品費 | 金額が10万円未満で使用するとなくなったり使えなくなったりする物品の購入費用 |
事務用品費 | 紙やペンなどの事務用品の購入費用 |
水道光熱費 | 店舗や事務所の水道、電気、ガスの利用料金 |
地代家賃 | 店舗や事務所などの家賃 |
福利厚生費 | 会社の社員旅行、お見舞、香典などの費用 |
寄付金 | 国や地方公共団体への寄付金(全額経費)、一般の寄付金(制限あり)、特定公益増進法人などへの寄付金(制限あり) 法人が支出した寄附金の損金算入についてはこちら |
関連記事:法人はなんでも経費で落とせる?よくある勘違いと判断基準を解説
合同会社の経費はいくらまで計上できる?
事業に関する出費を経費計上する際の制限ですが、個人事業主や法人といった事業形態に関係なく上限はありません。
必要経費として認められる範囲であれば、出費をいくらでも経費計上できます。
ただし、法人の接待交際費は、期末の資本金または出資金が1億円以下の中小法人であれば、年間800万円または接待飲食費50%の上限が設けられており選択できます。
期末の資本金または出資金が1億円超えの法人は、接待飲食費50%が上限です。
ちなみに、令和2年4月1日以降、期末の資本金または出資金が100億円を超える法人は、接待交際費を経費計上できません。
参考:国税庁(No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算)
合同会社で経費計上する際の注意点
ここまで、合同会社でどんな出費をいくらまで経費計上できるのかについて解説しました。
本項目では、経費計上する際の注意点について解説します。
植経費計上にはルールがあり、守らなければ認められないケースがあるので注意しましょう!
そもそも事業と無関係な費用は経費計上できない
合同会社は個人事業主とは異なり、法人として独立しています。
そのため、事業活動に直接関連する支出は原則として全額を経費計上できます。
ただし、どんな出費でも経費計上できるわけではありません。
経費計上できるのは、あくまで事業に関係のある出費のみです。
たとえば、事業とは無関係の友人と行った居酒屋での飲食代は経費計上できません。
一方、取引先との会食で発生した飲食費であれば経費計上できます。
合同会社の出費を経費計上するうえで重要なのは、出費が事業に関係していると証明できるかどうかです。
税務調査で担当者に経費について指摘される恐れがありますので、経費計上した出費が事業のための支出であると照明できるようにしておきましょう。
合同会社の経費計上まとめ
- 出費が事業に関係があると説明できるようにしておく
- 経費の金額が常識の範囲内である
- 出費に関する領収書やレシートを保管しておく
合同会社の経費について疑問があれば、顧問税理士や所轄の税務署に相談するのが最も確実です。
関連記事:合同会社の設立で税理士は必要?費用相場や注意点も解説
過剰な経費計上にはデメリットがある
合同会社での過剰な経費計上は行うべきではありません。
仮に税務署から経費計上について指摘されなかったとしても、赤字決算にすると以下のようなデメリットが発生するからです。
まず、赤字決算にすると、金融機関からの借入の難易度が上がってしまいます。
金融機関は通常、返済能力があると判断できる健全な経営をしている企業にお金を貸すからです。
赤字を出すような会社は返済能力が低いと判断して、貸付をためらいます。
普段から健全な経営を行っていれば、資金繰りの改善や事業拡大の際に金融機関から借入を行いやすくなります。
合同会社では売上を伸ばしたうえで適正な利益を出し、きっちり納税して健全な経営を行いましょう。
法人名義の車の購入費用は事業との関連性が重要である
合同会社で節税目的で法人名義での高級車購入を検討している方は、以下の点を意識しておきましょう。
- 事業に関係があるか
- 事業で得ている利益と比べて高額ではないか
万が一税務調査で調査官から法人名義の車の購入費用について指摘されて、事業との関連性や購入費用の妥当性を説明できなかった場合、経費計上が認められない恐れがあります。
法人名義の車の購入費用を経費計上する際は、常識の範囲内かを意識して税務調査で調査官に説明できる状態にしておきましょう。
合同会社などの法人では売上なしでも税金がかかる
合同会社では売上なしの場合でも、税金を納める必要があります。
たとえば、法人住民税均等割は事業規模や売上に関係なく一律に課税されます。
資本金が1,000万円以下で従業者数が50人以下の合同会社を想定した場合、都道府県民税均等割が2万円、市町村民税均等割が5万円の合計7万円です。
また、合同会社の売上がない場合でも、損金を記録しておけば欠損金の繰越控除で将来の利益から経費を差し引けます。
今後の税負担を軽減させられますし、青色申告の資格を維持できますので、決算申告を行っておきましょう。
まとめ
今回は、合同会社が経費で落とせるものをいくらまで経費計上できるかとあわせて解説しました。
主に合同会社が経費として落とせるものは、以下のとおりです。
- 役員報酬
- 生命保険
- 給料賃金
- 広告宣伝費
- 交際費
- 会議費
- 旅費交通費
- 通信費
- 消耗品費
- 事務用品費
- 水道光熱費
- 地代家賃
- 福利厚生費
- 寄付金
合同会社が経費計上できる金額には特に制限はありません。
ただし、プライベートの出費は経費計上が認められませんので注意しましょう。