こんにちは、フリーランスエンジニアの顧問実績が豊富な税理士の植村拓真です。
弊所と顧問契約いただいている方の中には、フリーランスエンジニアとして開業して間もない方も多くいらっしゃいます。経理や税務会計に関するご相談をいただく中で、よく話題に上がるのが税務調査についてです。
![吹き出し 女性 悩む 画像](https://bring-consulting.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/吹き出し-女性-悩む-画像.png)
![吹き出し 女性 悩む2](https://bring-consulting.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/吹き出し-女性-悩む2.png)
![吹き出し 男 画像](https://bring-consulting.co.jp/wp-content/uploads/2024/05/吹き出し-男-画像.png)
本記事を読んでいる方の中にも、税務調査に対して上記のように思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、フリーランスエンジニアが税務調査に狙われやすい理由について詳しく解説します。
また、フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策や、税務調査に入られた場合の対応と注意点も合わせてお話しします。税務調査に対して不安に感じているフリーランスエンジニアの方は、本記事を参考にしてみてください。
フリーランスエンジニアが税務調査に狙われやすい理由
本項目では、フリーランスエンジニアが税務調査に狙われやすい理由について解説します。
フリーランスエンジニアが税務調査に狙われやすい理由として、以下の7点が挙げられます。
- 確定申告を行っていないから
- 課税売上高を1,000万円弱で申告しているから
- 税務調査が積極的に行われている業種に該当するから
- 申告漏れ金額が多い業種に該当するから
- 経費計上に不審な点があるから
- 開業から3年以上が経過し売上が増えているから
- 顧問税理士を付けていないから
上記について1つずつ見ていきましょう。また、前提知識としてフリーランスエンジニアが税務調査に狙われる確率について、本項目の最初で触れます。
フリーランスエンジニアが税務調査に狙われる確率
国税庁が公表している令和5年度のデータを参照すると、フリーランスや個人事業主が税務調査に狙われる確率は、およそ0.71%です。
所得税の実地調査の件数 | 47,528件 |
所得税等の確定申告書の申告人員 | 2,324万人 |
上記のうちの納税人員数 | 668万7千人 |
納税人員のうち実地調査を受けた割合 | 0.71% |
フリーランスエンジニアが税務調査に狙われる確率は高くないと思われるかもしれませんが、確率はゼロではないため、日頃から適切な帳簿管理や確定申告を行う必要があります。
参考:国税庁(令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
参考:国税庁(令和5年分の所得税等、消費税及び贈与税の確定申告状況等について|報道発表資料)
確定申告を行っていないから
確定申告を行っていないフリーランスエンジニアは、税務調査に狙われやすいです。
国税庁は、取引先が発行する請求書や支払調書を調べられるため、フリーランスエンジニアの収入状況が把握できます。
近年の国税庁は、税務調査を実施しながら法人や個人の確定申告に関するデータを積極的に集めており、無申告者を特定する取り組みを強化しています。上記のデータとAIを活用しながら、無申告の疑いがあれば簡単に特定されてしまうような状況です。
確定申告しなければ気づかれないと考えるのは非常に危険で、そのまま放置しておけば、加算税や延滞税が課されるリスクは高まります。税務調査の事前通知が来る前に自己申告を行えば加算税率は低くなるので、確定申告を行っていない場合は、早めに税理士へ相談するのをおすすめします。
参考:国税庁(令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
参考:国税庁(No.2024 確定申告を忘れたとき)
関連記事:無申告がバレる理由|確定申告していない人のペナルティと末路
課税売上高を1,000万円弱で申告しているから
課税売上高を1,000万円弱で確定申告しているフリーランスエンジニアは、税務調査に狙われやすいです。
課税売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が生じます。そのため、課税売上高が1,000万円を超えない額で確定申告しているフリーランスエンジニアは、売上調整による消費税逃れの疑いがあると、税務署にみなされてしまうおそれがあります。
毎年、課税売上高を990万円台で確定申告している場合、正しい確定申告であっても税務調査に狙われるリスクが高まるため、注意しておきましょう。もし、確定申告の内容に不安を感じるときは、税理士に相談してみるのをおすすめします。
関連記事:フリーランスエンジニアが法人化するタイミング|メリット・注意点とあわせて解説
税務調査が積極的に行われている業種に該当するから
フリーランスエンジニアは、税務調査が積極的に行われている業種に該当する業種です。
インターネット上のプラットフォームを介して⾏うシェアリングエコノミー等新分野の経済活動(注)に関わる取引や暗号資産(仮想通貨)等の取引を⾏っている個人に対しては、資料情報の収集・分析に努め、積極的に調査を実施しています。
(注)シェアリングエコノミー等新分野の経済活動とは、シェアリングビジネス・サービス、ネット広告(アフィリエイト等)、デジタルコンテンツ、ネット通販、ネットオークションその他新たな経済活動を総称した経済活動のことをいいます。
引用:国税庁(令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況|p7)
令和5年度のシェアリングエコノミー等新分野の経済活動に関わる取引を⾏っている個人に対する税務調査の状況は、以下のとおりです。
実地調査の件数 | 1,226件 |
1件当たりの申告漏れ所得⾦額 | 1,432万円 |
申告漏れ所得⾦額の総額 | 176億円 |
1件当たりの追徴税額 | 319万円 |
追徴税額の総額 | 39億円 |
申告漏れ金額が多い業種に該当するから
フリーランスエンジニアは、申告漏れ金額が多い業種に該当するため、税務調査に狙われやすいです。
税務調査は人員や予算などの都合上、できるだけ多くの追徴課税が見込まれる業種に焦点を当てて実施される傾向があります!
毎年、国税庁が公表している税務調査に関する報告書の中には、1件当たりの申告漏れ所得⾦額が高額な業種のランキングが記載されています。
フリーランスエンジニアは上位にランクインすることが多く、平成29〜令和元年度、令和3年度においては、上位5位以内でした。
年度によって上記のランキングは変動するものの、フリーランスエンジニアは他の業種よりも税務調査に入られる確率が高いといえます。
参考:国税庁(令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
経費計上に不審な点があるから
経費計上に不審な点があるフリーランスエンジニアは、税務調査に狙われやすいです。
たとえば、以下のような費用を経費計上しているケースです。
- 自宅兼事務所の家賃や水道光熱費の全額
- 自宅兼事務所の引越し費用の全額
- プライベート兼仕事用の携帯電話代の全額
- 健康診断や人間ドックの費用
- 家族との旅行や外食などの費用
特に、売上に対して経費が異常に多かったり、事業と無関係の経費が計上されていたりする場合、税務調査に入られるリスクは高まります。経費計上で迷う場合は、税理士に相談しながら正確に行いましょう。
関連記事:家賃はどこまで経費にできる?個人事業主・法人にわけて解説
開業から3年以上が経過し売上が増えているから
開業から3年以上が経過し、売上が増えているフリーランスエンジニアは、税務調査に狙われやすいです。開業から3年が経過するタイミングは、経理や税務会計の処理に油断やミスが生じやすかったり、消費税の課税がスタートしたりする時期でもあるからです。
また、税務調査は追徴課税を徴収する目的で実施されるため、売上が拡大していると見込まれるフリーランスエンジニアが重点的に調査されやすい傾向にあります。
参考:e-Gov(国税通則法|第七十条 国税の更正、決定等の期間制限)
顧問税理士を付けていないから
顧問税理士を付けていないフリーランスエンジニアは、税務調査に狙われやすいです。税理士に依頼して作成してもらった確定申告書には、税理士の署名や電子署名が記載されるため、適正に処理された確定申告と税務署はみなします。
一方、自分で確定申告書を作成した場合、売上や経費の計上ミスによる脱税のリスクが高いと判断されるケースも多く、税務調査の対象となる確率が上がります。
正確な確定申告を行ったり、税務調査に入られた際の負担を軽減したりするためにも、税理士との顧問契約は検討してみるのをおすすめします。
関連記事:フリーランスエンジニアが税理士探しで失敗しない方法と費用相場を解説
フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策
本項目では、フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策について解説します。
万が一、税務調査に入られたとしても、困らないために日頃から実施しておくべき対策は、次の4点です。
- 一般的な経費率に抑える
- 合理的な経費計上を行う
- 確定申告を期限内に行う
- 正しい売上計上を行う
上記の4点に関して、順番に見ていきましょう。
一般的な経費率に抑える
フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策の1つ目は、一般的な経費率に抑えることです。
経費率は売上に対する経費の割合です。フリーランスエンジニアの経費率は、50%程度が目安とされています。消費税の簡易課税制度の事業区分において、フリーランスエンジニアは第5種事業に該当し、みなし仕入率が50%と設定されているからです。
ただし、上記の経費率はあくまでも目安であり、働き方や業務内容によっては、経費率が多すぎても少なすぎても税務調査に入られるおそれがあります。経費を適正に計上して業務内容に見合った経費率を維持するのが、税務調査で困らないための対策の1つです。
関連記事:フリーランスエンジニアは経費率が少ない!一例や計上時の注意点を税理士が解説
合理的な経費計上を行う
フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策の2つ目は、合理的な経費計上を行うことです。そのためには、仕事とプライベートを明確に区別しましょう。
たとえば、クライアントとの打ち合わせで使った交通費は経費になりますが、プライベートな用事で出かける際の交通費は経費に含められません。
また、カフェで作業中に注文したドリンク代は経費になりますが、食事代は認められないケースが多いです。領収書やレシートには使途を記録して、経費の正当性を証明できるように整理しておきましょう。
確定申告を期限内に行う
フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策の3つ目は、確定申告を期限内に行うことです。所得が48万円を超えるフリーランスエンジニアは、確定申告が必要になります。
また、副業でフリーランスエンジニアを行っている場合も、所得が20万円を超えると確定申告が必要です。繰り返しになりますが、未申告の場合、税務調査や追徴課税のリスクが高まるため、期限内に確定申告を済ませましょう。
確定申告を期限内に行ううえで、特に、以下の3点に注意してください。
- 無申告や過少申告は避ける
- 定期的な記帳の実施
- 帳簿や書類の保管を徹底する
上記の3点に関して、1つずつ見ていきましょう。
参考:国税庁(No.1199 基礎控除)
参考:国税庁(確定申告が必要な方)
関連記事:確定申告が全くわからない方へ|やり方や相談先について税理士が解説
無申告や過少申告は避ける
無申告や過少申告は避けましょう。
受注先の企業が提出する支払調書や銀行口座の入金履歴などの情報をもとに、税務署は収入の実態を容易に追跡できます。
無申告が税務署にバレた場合に懸念されるのは、無申告加算税や延滞税といったペナルティが課され、多額の追徴課税が発生してしまうリスクです。
繰り返しになりますが、申告漏れがある場合は、早急に自己申告を行えばペナルティを軽減できますので、税理士の助けを借りたりしながら進めましょう。
関連記事:無申告がバレる理由|確定申告していない人のペナルティと末路
定期的な記帳の実施
定期的な記帳を実施しましょう。
確定申告の直前にまとめて記帳を行うと、取引の記録が不完全だった場合、ミスや申告漏れにつながるおそれがあります。定期的な記帳を習慣化しておけば、経費や売上の管理がスムーズになり、万が一、税務調査に入られても落ち着いて対応できます。
帳簿や書類の保管を徹底する
帳簿や書類の保管は徹底しましょう。税務調査では、上記を確認されるため、整理が不十分だと、対応に慌てる原因になります。
また、電子帳簿等保存制度に則って、帳簿や書類などをデータで保存すれば、管理が効率化できます。
正しい売上計上を行う
フリーランスエンジニアが税務調査で困らないための対策の4つ目は、正しい売上計上を行うことです。たとえば、実際の売上額よりも少なく確定申告すると、課せられる税額は減りますが、脱税行為に該当するため絶対に行わないでください。
また、売上の計上時期を意図的に遅らせたりする行為も認められません。
ルールを無視した節税対策は税務調査のリスクを増大させるだけですので、行わないでください。
税務調査の概要
本項目では、税務調査の概要に関して、以下の5点について解説します。
- 税務調査の種類
- 税務調査が入る時期
- 税務調査の流れ
- 税務調査の着地点
- 税務調査で逮捕されるリスク
税務調査の概要について知りたい方は、本項目を参考にしてみてください。それでは、上記の5点について、順番に見ていきましょう。
税務調査の種類
税務調査は以下の2種類があります。
- 強制調査
- 任意調査
上記に関して1つずつ説明します。
強制調査
強制調査は、裁判所の令状に基づき国税局査察部が行う税務調査です。犯則調査や査察とも呼ばれ、悪質で多額の脱税が疑われる場合に、事前通知なしで行われます。
また、強制調査で、脱税が確認されれば刑事事件となり、逮捕される確率が高いです。ただし、強制調査が行われる割合は少なく、実務における税務調査のほとんどは、後述の任意調査を指します。
任意調査
任意調査は、裁判所の令状はなく、事前通知を行い、納税者の協力を得て行われる税務調査です。任意調査が、税務調査の大部分を占めます。
税務調査の訪問日時の調整を行ったうえで、調査当日は売上や経費などが正しく申告されているかを税務調査官が確認します。任意とは言え、罰則が定められており、調査の拒否はできません。
また、税務調査官には質問検査権があるため、質問や書類の提示などを求められた場合は、協力しなければなりません。税務調査の結果次第では、修正申告を求められるケースもあります。
税務調査が入る時期
税務調査は1年を通して行われ、入る時期に明確な決まりはありませんが、実施される件数が多いといわれているのは、4~5月頃と8〜11月頃です。4~5月頃は3月の確定申告が終わったあとの時期のため、税務調査が頻繁に行われています。
また、8〜11月頃に多く実施される傾向があるのは、毎年7月10日が税務署の定期異動日とされてるため、新たな組織として本格的に税務調査を進めていく時期だからです。
確定申告の内容に疑わしき箇所があれば、税務調査は時期を問わず行われるため、不測の事態に備えて適切な確定申告を心がけましょう。
税務調査の流れ
税務調査の流れは、以下のとおりです。
- STEP1 税務署から事前に調査通知が来る
- STEP2 税務調査の日程を決める
- STEP3 事前準備を行う
- STEP4 税務調査の当日を迎える
- STEP5 実地調査の内容を踏まえた指摘へ回答する
- STEP6 税務調査の結果が出る
まず、税務署から前もって税務調査の知らせがあり、日程の調整を行います。続いて、必要書類を準備し、税務調査の当日を迎えます。
税務調査は2~4日間程度で行われ、税務調査官が行うのは、事業内容のヒアリングや帳簿の確認などです。顧問税理士がいる場合は、税務調査の事前準備や税務署からの指摘事項への回答などを、顧問税理士と相談しながら進めましょう。
税務調査の着地点
実地調査で収集した情報を精査したうえで、税務調査の着地点は以下のいずれかになります。
申告是認 | 確定申告の内容に問題が認められなかったこと |
修正申告 | 税務署からの指摘を受け入れて、正しい内容で確定申告を提出し直すこと |
更正 | 税務署からの指摘に納得せず、修正申告に応じない場合、税務署側が確定申告の内容を修正すること |
関連記事:税務調査における修正申告・更正とは?違いについて税理士が解説
税務調査で逮捕されるリスク
任意調査で逮捕されるケースは少ないです。しかし、悪質な脱税が疑われる場合には、任意調査から強制調査に切り替わります。令和5年度の強制調査のデータを見ると、101件を検察庁に告発しており告発率は66.9%に上ります。
強制調査に入られた場合、逮捕される確率は極めて高いです。一審判決83件すべてに有罪判決が言い渡され、9名に対して実刑判決が下されています。
フリーランスエンジニアが税務調査に入られた際の対応と注意点
本項目では、フリーランスエンジニアが税務調査に入られた際の対応と注意点について解説します。
税務調査に入られた場合、どのように対応すればよいのかについて、あらかじめ知っておきたい方は本項目を参考にしてみてください。税務調査に入られた際の対応と注意点については、次のとおりです。
- 税務調査に必要な書類の準備
- 税務調査官に協力的な姿勢を見せる
- 正しい情報を提供する
- 領収書なしだと経費を否認されるおそれがある
上記に関して1つずつ順番に見ていきましょう。
税務調査に必要な書類の準備
税務調査では、税務調査官の指示に従って必要な書類を速やかに提出できるよう、税務調査の当日までに準備しておくのが重要です。税務調査で確認される主な書類は、次のとおりです。
- 確定申告に関する書類(確定申告書、決算書、内訳書など)
- 帳簿書類(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)
- 請求書
- 契約書
- 領収書
- 事業用通帳
税務調査官に協力的な姿勢を見せる
税務調査に入られた際は、税務調査官に協力的な姿勢を示すのが大切です。税務調査官から求められた書類の提出や質問への回答などには、迅速かつ正確に対応しましょう。
正当な理由なく書類の提出や質問への回答などを拒否すると、罰則の対象となるおそれがあります。
正しい情報を提供する
税務調査では、税務調査官の質問に対して、正確な情報の提供が非常に重要です。
曖昧な返答や事実を隠そうとする態度は、税務調査官に不信感を与えるおそれがあり、税務調査が長引いたり、厳しいペナルティが課されたりする原因になります。税務調査官からの質問には、分かる範囲で誠実かつ正直に答えるのが基本です。
領収書なしだと経費を否認されるおそれがある
必ずしも、領収書がないと経費として認められないわけではありませんが、証拠がなければ税務調査で否認されるリスクが高まります。
領収書がない場合、所得税においては推計課税を適用してもらえるケースもあります。一方、消費税の仕入税額控除を認めてもらうためには、帳簿や請求書などの保存が必須です。
領収書を紛失した場合は、再発行依頼を行ったりレシートを探してみたり、出金伝票に記録したりするなどして領収書の代わりとなるものを用意しましょう。
経費はクレジットカード払いにしておけば、利用明細が領収書代わりとなるため、領収書の紛失リスクを軽減できます。
参考:e-Gov(所得税法|第百五十六条 推計による更正又は決定)
参考:e-Gov(消費税法|第三十条 仕入れに係る消費税額の控除)
フリーランスエンジニアの税務調査に関してよくある質問
最後に、フリーランスエンジニアの税務調査に関してよくある質問についてご紹介します。
税務調査に関して不安を感じているフリーランスエンジニアの方は、本項目を参考にしてみてください。内容は随時追記していきます。
個人事業主はいくらから税務調査の対象になりますか?
個人事業主が税務調査の対象となる基準は明確に定められていませんが、課税所得が1,000万円を超えると、税務調査に入られるリスクは高まるとされています。上記は、所得が大きくなるほど、売上や経費の計上ミスが発生しやすいと考えられるためです。
ただし、所得が1,000万円以下でも確定申告の内容に不自然な箇所が見つかった場合、税務調査に入られるケースはあります。
個人事業主やフリーランスでも税務調査が10年以上来ない理由は何ですか?
個人事業主やフリーランスに税務調査が10年以上来ない理由として、さまざまな要因が考えられます。たとえば、現金取引が少ないケースでは税務調査の対象となる確率は低い傾向にあります。
取引に電子決済や銀行振込などの透明性が高い方法を積極的に利用していて、資金の流れが明確に把握できるような場合、不正のリスクは低いとみなされるためです。
また、売上の規模が小さいケースや、税理士に確定申告を依頼しているケースも、税務調査の優先度は下がる傾向があります。
白色申告で売上が200万〜300万円以下でも税務調査は入りますか?
白色申告で売上が200万~300万円以下の場合でも、税務調査が入るリスクは十分にあります。
繰り返しになりますが、フリーランスエンジニアは申告漏れ金額が多い業種に該当するため、他の業種に比べて税務調査に狙われやすい傾向にあります。
また、売上が200万~300万円以下の場合では、若手の税務調査官の成長機会として、税務調査の対象に選ばれるケースもあるようです。以上を踏まえて、白色申告であっても、油断せず、適切な帳簿管理や確定申告を心がけましょう。
参考:国税庁(令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況)
売上が500万〜600万円の場合、税務調査に入られるリスクはありますか?
売上が500万~600万円の場合でも、税務調査に入られるリスクはあります。税務署は売上規模に関わらず、経費計上の妥当性や収支の不自然な点をチェックします。
たとえば、経費率が高かったり利益率が極端に低かったりする場合は、税務調査に狙われやすいです。売上や経費の正確な計上を徹底し、帳簿上の不自然な点を無くせば、税務調査に入られるリスクは軽減します。
関連記事:フリーランスエンジニアは経費率が少ない!一例や計上時の注意点を税理士が解説
まとめ
今回は、フリーランスエンジニアが税務調査に狙われやすい理由について解説しました。
フリーランスエンジニアが税務調査に狙われやすい理由として、以下の7点が挙げられます。
- 確定申告を行っていないから
- 課税売上高を1,000万円弱で申告しているから
- 税務調査が積極的に行われている業種に該当するから
- 申告漏れ金額が多い業種に該当するから
- 経費計上に不審な点があるから
- 開業から3年以上が経過し売上が増えているから
- 顧問税理士を付けていないから
仮に、税務調査に入られたとしても困らないために日頃から行っておくべき対策は、次の4つです。
- 一般的な経費率に抑える
- 合理的な経費計上を行う
- 確定申告を期限内に行う
- 正しい売上計上を行う
万が一、税務調査に入られた際の対応と注意点については、次のとおりです。
- 税務調査に必要な書類の準備
- 税務調査官に協力的な姿勢を見せる
- 正しい情報を提供する
- 領収書なしだと経費を否認されるおそれがある
税務調査がいつ実施されても問題がないように、税理士に相談できる環境を整えたりしながら、正しい確定申告を継続しましょう。