こんにちは、植村会計事務所の代表税理士の植村拓真です。
新しく会社を設立する際や売上規模が拡大した際、役員報酬の金額を決めたり変更したりする場面で、判断に迷われる方も多いです。
実際に弊所では、役員報酬に関して以下のようなご相談やご質問をよくいただきます。


本記事を読んでいる方の中にも、上記のような不安や疑問を抱えている方がいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで今回は、役員報酬を決める際に税理士へ相談するメリットについて、適切な金額の決め方や相場とあわせて解説します。
役員報酬の最適な設定金額をシミュレーションしたい方、格安で会社設立を丸投げしたい方は、弊所までお気軽にご相談くださいませ!
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役員報酬を決める際に税理士へ相談するメリット

役員報酬を決める際に税理士へ相談するメリットは、損金算入の要件を満たしながら、高い節税効果を期待できる金額に設定できるため、不要な税負担の発生を回避できる点です。
役員報酬は法人税と役員個人にかかる税金の両方に影響を与えるため、設定する金額によって期待できる節税効果が大きく変わります。
たとえば、役員報酬を高額に設定した場合、役員個人の所得税が増えたり、損金算入が認められなくなったりするおそれがあります。
また、売上に占める割合が多いと、資金繰りを悪化させるおそれもあるため、役員報酬の金額は慎重に決めなければなりません。
一方、役員報酬の金額を低く設定した場合に懸念されるのは、損金算入できる額が少なくなるため、法人税の負担が重くなるリスクです。
役員報酬を決める際に税理士へ相談すれば、豊富な実務経験に基づくアドバイスやご自身の状況に合わせた適切な設定金額の提案をしてもらえるため、スムーズに決められます。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
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役員報酬に関する基礎知識

本項目では、役員報酬に関する基礎知識について、下記の2点に分けて解説します。
- そもそも役員報酬とは
- 従業員給与との違い
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
そもそも役員報酬とは
役員報酬とは、会社の意思決定に関わる役員に対して支払われる給与を指します。原則、役員に該当するのは、下記のとおりです。
法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人
引用:国税庁(No.5200 役員の範囲)
役員報酬は従業員に支給される給与や賞与とは根本的に性質が異なり、税法上特別な扱いを受けます。
支給に関する要件を満たしていない場合や不相当に高額な場合、役員報酬の損金算入が認められないおそれがあるため注意が必要です。
役員報酬の損金算入に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
関連記事:役員報酬が高すぎる中小企業が抱えるリスク|相場や適切な決め方も解説
従業員給与との違い
| 比較項目 | 役員報酬 | 従業員給与 |
| 支給額 | 不相当に高額でなければ自由に設定できる | 勤務実績に応じて決まる |
| 支給額の変動 | 原則、期末まで固定 | 勤務実績に応じて変動するケースもある |
| 残業手当の支給 | なし | あり |
| 健康保険の加入 | 必要 | 必要 |
| 厚生年金保険の加入 | 必要 | 必要 |
| 雇用保険 | 原則、適用対象外 | 適用される |
| 労災保険 | 原則、適用対象外 | 適用される |
| 最低賃金 | 適用対象外 | 適用される |
| 支給額の日割り計算 | 原則、できない | できる |
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:厚生労働省愛媛労働局(法人の役員の適用一覧表)
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役員報酬を決める方法

本項目では、役員報酬を決める方法について解説します。
役員報酬を決める方法は、次のとおりです。
- 株主総会で決議する
- 議事録を残す
- 期首から3か月以内に決定する
それでは、順番に見ていきましょう。
株主総会で決議する
役員報酬を決めるには、株主総会での決議が必要です。原則、普通決議によって役員報酬の金額や算定方法などを決めます。普通決議とは、下記のとおりです。
株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
引用:e-Gov(会社法 第三百九条 株主総会の決議)
一人会社の場合は、簡略化した手続きによる株主総会が認められています。
定款に役員報酬に関する規定を盛り込んでおく方法があります。全取締役の報酬総額の最高限度額を定めてしまうやり方です。この方法を選択すると、最高限度額内であれば、取締役会決議により、各人の報酬を決められるメリットがあります。ただし、最高限度額自体を変更しようとした場合は、定款の変更が必要になりますので、株主総会の特別決議が必要になります。
引用:J-Net21(役員報酬はどのように決めればよいのでしょうか?)
参考:J-Net21(取締役会はどれくらいの頻度で開けばよいのでしょうか?)
参考:J-Net21(取締役を1人にした場合の影響と手続きについて教えてください。)
参考:e-Gov(会社法 第三百六十一条 取締役の報酬等)
議事録を残す
下記のとおり、株主総会で役員報酬を決定した場合、議事録を作成して、定められた期間保管しておかなければなりません。
株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 株式会社は、株主総会の日から十年間、前項の議事録をその本店に備え置かなければならない。
3 株式会社は、株主総会の日から五年間、第一項の議事録の写しをその支店に備え置かなければならない。
引用:e-Gov(会社法 第三百十八条 議事録)
- 開催日
- 開催場所
- 開会から閉会に至るまでの経過の要約
- 決議の結果
- 意見もしくは発言の概要
- 出席した役員の名前
- 議長の名前(いる場合のみ)
- 議事録を作成した取締役の名前
上記の詳細については、会社法施行規則の第七十二条をご参照ください。
期首から3か月以内に決定する
原則、役員報酬は期首から3か月以内に決定しなければなりません。
上記の期限を過ぎた場合、役員報酬の損金算入が認められなくなり、節税効果を失ってしまうおそれがあるため注意しましょう。
期中に役員報酬の金額をいつでも変更できる仕組みだと、租税回避に使用されるおそれがあるため、あらかじめ期限が定められています。
なお、期首から3か月を過ぎて役員報酬の金額を変更した場合、増額もしくは減額した差額については、損金算入が認められません。
期中に役員報酬の金額を変更するケースで不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(役員給与に関するQ&A)
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
関連記事:役員報酬を活用した税金対策|法人で使える節税スキームもまとめて解説
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損金算入が認められる役員報酬の支給方法

本項目では、損金算入が認められる役員報酬の支給方法について解説します。
損金算入が認められる役員報酬の支給方法は、次のとおりです。
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
- 業績連動給与
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
定期同額給与
定期同額給与とは、毎月一定額を支給する役員報酬であり、税務署への届出は不要です。
繰り返しになりますが、期首から3か月以内に支給額を決めなければ、損金算入が認められません。
また、臨時改定事由や業績悪化改定事由に該当するケースを除き、期首から3か月を過ぎて支給額を変更した場合、差額は損金算入できませんので注意しましょう。
たとえば、月額70万円に設定していた役員報酬を月額100万円へ変更した場合、差額の30万円分は損金算入できないため、税負担が増えるおそれがあります!
定期同額給与の損金算入に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:国税庁(役員給与に関するQ&A)
関連記事:役員報酬はいくらが得?節税対策と効果を最も高める方法を解説
事前確定届出給与
事前確定届出給与とは、本店所在地を所轄する税務署へ届け出た支給額と支給時期のとおりに、役員へ支払われるものです。
通常、役員に支給される賞与は損金算入が認められませんが、事前確定届出給与の届出を行えば認められます!
原則、株主総会の決議から1か月以内、もしくは期首から4か月以内のいずれか早い日までに、本店所在地を所轄する税務署へ届出書を提出しなければなりません。
なお、新しく法人を設立した場合の届出期限は、設立日から2か月以内です。支給額と支給時期が届出書に記載した内容と一致しない場合、損金不算入となるため注意しましょう。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
関連記事:役員報酬を活用した税金対策|法人で使える節税スキームもまとめて解説
業績連動給与
業績連動給与とは、会社の業績に基づいて支給額が算出される役員報酬です。定期同額給与や事前確定届出給与とは異なり、業績連動給与の支給額はあらかじめ決まっていません。
平成29年度の税制改正により、利益連動給与から業績連動給与へと名称が変わりました。
業績連動給与の損金算入が認められるには、客観的な指標に基づく支給額の算出方法が決められていて、有価証券報告書に記載されているのが前提です。
なお、業績連動給与の損金算入要件に関しては、国税庁のホームページをご参照ください。
業績連動給与を適用するには株式公開が必要であるため、上場企業で導入されるケースが多いです!
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期首から3か月が過ぎていても役員報酬を変更できるケース

本項目では、期首から3か月が過ぎていても役員報酬を変更できるケースについて解説します。
期首から3か月が過ぎていても役員報酬を変更できるケースは、次のとおりです。
- 役員の地位や職務内容に変更があった
- 経営状況が悪化した
それでは、順番に見ていきましょう。
役員の地位や職務内容に変更があった
役員の地位や職務内容に変更があった場合、臨時改定事由に該当するため、期首から3か月が過ぎていても役員報酬を変更できます。
臨時改定事由による役員報酬の変更では、変更後の差額についても損金算入が認められています。
- 取締役が代表取締役に就任する
- 退任した役員の業務を兼任する
- 予期せぬ入院で一時的に職務の執行ができない
ただし、肩書だけの変更で実態が伴わないと判断される場合、損金算入が認められないおそれがあるため注意しましょう。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
参考:国税庁(役員給与に関するQ&A)
経営状況が悪化した
上記のような業績悪化改定事由による役員報酬の変更では、変更後の差額についても損金算入が認められています。
なお、業績悪化改定事由に該当する具体的なケースは、以下のとおりです。
①株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役
員給与の額を減額せざるを得ない場合
②取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合
③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維
持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給
与の額の減額が盛り込まれた場合
引用:国税庁(役員給与に関するQ&A)
ただし、経営状況の悪化が軽微なものであると判断された場合、損金算入が認められないおそれがあるため注意が必要です。
業績悪化改定事由に該当するかどうか判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
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役員報酬の適切な金額の決め方

本項目では、役員報酬の適切な金額の決め方について解説します。
役員報酬を適切な金額で設定するためには、以下の観点を押さえましょう。
- 売上総利益や固定費を予測する
- 法人税と役員個人にかかる税金のバランスを考慮する
- 同業他社と比較する
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
売上総利益や固定費を予測する
原則、期首から3か月以内に決定した役員報酬は、1年間変更できないためです。売上総利益や固定費を細かく予測せずに役員報酬の金額を決めた場合、資金繰りを悪化させるおそれがあります。
上記のようなリスクを回避するためには、以下のような支出を正確に見積もったうえで、役員報酬の金額を設定しましょう。
- 仕入れにかかる費用
- 社会保険料の会社負担分
- 従業員に支払う給与や手当
- 事務所の家賃や水道光熱費、通信費
関連記事:役員報酬は売上の何パーセントが適切?金額の決め方や注意点を徹底解説
法人税と役員個人にかかる税金のバランスを考慮する
役員報酬の金額を決める際は、法人税と役員個人にかかる税金のバランスを考慮しましょう。
たとえば、法人税の負担を軽減させるために役員報酬の金額を高く設定した場合、役員個人にかかる所得税や住民税、社会保険料が重くなる傾向があります。
一方、役員報酬の金額を低く設定した場合、損金算入できる額が減るため、法人税の節税効果が少なくなります。
法人税の負担と役員個人にかかる税金のバランスをみながら、役員報酬の金額を決めましょう。
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同業他社と比較する
役員報酬の金額が業界の相場と比較して極端に高額な場合、損金算入を否認されるおそれがあります。
一方、役員報酬の金額が業界の相場よりも低い場合、士気の低下を招くリスクがあります。
同業他社が支給している役員報酬の金額も参考にしながら、ご自身の会社の役員報酬を決めましょう。
なお、人事院が行っている民間企業における役員報酬(給与)調査のデータや、国税庁が行っている民間給与実態統計調査のデータなども、役員報酬の金額を決めるうえで参考になります。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
関連記事:役員報酬が高すぎる中小企業が抱えるリスク|相場や適切な決め方も解説
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売上高ごとの役員報酬の相場

財務状況が不安定にならないように、役員報酬は下表のような割合に収めるのが、一般的には妥当とされています。
| ケース | 売上に対する割合 |
| 利益率が高い | 10〜30%程度 |
| 利益率が低い | 5〜15%程度 |
| 創業期や成長期 | 5〜10%程度 |
売上高ごとの役員報酬の目安は、下表のとおりです。
| 売上高 | 利益率が高い | 利益率が低い | 創業期や成長期 |
| 〜1,000万円未満 | 〜300万円程度 | 〜150万円程度 | 〜100万円程度 |
| 1,000万〜3,000万円未満 | 300万〜900万円程度 | 150万〜450万円程度 | 100万〜300万円程度 |
| 3,000万〜5,000万円未満 | 900万〜1,500万円程度 | 450万〜750万円程度 | 300万〜500万円程度 |
| 5,000万〜7,000万円未満 | 1,500万〜2,100万円程度 | 750万〜1,050万円程度 | 500万〜700万円程度 |
| 7,000万〜9,000万円未満 | 2,100万〜2,700万円程度 | 1,050万〜1,350万円程度 | 700万〜900万円程度 |
| 9,000万〜1億円未満 | 2,700万〜3,000万円程度 | 1,350万〜1,500万円程度 | 900万〜1,000万円程度 |
| 1億〜2億円未満 | 3,000万〜6,000万円程度 | 1,500万〜3,000万円程度 | 1,000万〜2,000万円程度 |
上表はあくまでも目安ですので、ご自身の状況に合わせて役員報酬を設定しましょう。
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役員報酬に関するよくある質問

最後に、役員報酬に関するよくある質問についてご紹介します。

役員報酬の設定金額はいくらが得でしょうか?

上記のような疑問を抱いている方は、本項目も参考にしてみてください。内容は随時追記します。
役員報酬を決める際に使用できる議事録のひな形はありますか?
役員報酬を決める際に使用できる議事録のひな形は、以下からダウンロードできます。
役員報酬の決定に関する株主総会議事録の雛形(PDF)
役員報酬の決定に関する株主総会議事録の雛形(Word)
繰り返しになりますが、税務調査に入られた場合、役員報酬を変更した経緯について確認されるケースもあるため、議事録はしっかりと保管しておきましょう。
参考:J-Net21(役員報酬はどのように決めればよいのでしょうか?)
参考:e-Gov(会社法 第三百十八条 議事録)
役員報酬と給与は両方もらえるのでしょうか?
原則、役員報酬と給与は両方もらえません。
上記のような役員を使用人兼務役員といいます。使用人兼務役員の定義は、下記のとおりです。
役員のうち部長、課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者
引用:国税庁(No.5205 役員のうち使用人兼務役員になれない人)
「その他法人の使用人としての職制上の地位」とは、支店長、工場長、営業所長、支配人、主任等法人の機構上定められている使用人たる職務上の地位をいう。
引用:国税庁(第2節 役員給与等 第1款 役員等の範囲)
なお、株式会社の代表取締役や合同会社の業務執行社員などは、使用人兼務役員になれない役員に該当するため注意しましょう。
使用人兼務役員になれない役員の範囲については、国税庁のホームページをご参照ください。
参考:国税庁(No.5200 役員の範囲)
参考:e-Gov(法人税法 第三十四条 役員給与の損金不算入)
役員報酬の設定金額はいくらが得でしょうか?
役員報酬の金額を低く設定するほど、役員個人の所得税や住民税、社会保険料の負担を抑える効果が期待できます。ただし、上記の場合、法人税の節税効果は低くなります。
一方、役員報酬の金額を高く設定すると、法人税の負担軽減を期待できますが、役員個人の税負担が増えて手取りが減少するおそれがあるため注意しましょう。
たとえば、一人社長で売上総利益が3,000万円のケースで、役員報酬の設定金額によって個人の手取りと会社の純利益の合計に、以下のような差が見られます!
- 役員報酬の年額を500万円に設定:両者の合計が最も多くなる
- 役員報酬の年額を3,000万円に設定:両者の合計が最も少なくなる

上記のシミュレーションの詳細や役員報酬はいくらが得かについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:役員報酬はいくらが得?節税対策と効果を最も高める方法を解説
役員報酬はいつまでに決める必要がありますか?
役員報酬の設定期限は期首から3か月以内です。
上記の期限を過ぎてしまった場合、役員報酬の損金算入が認められず、法人税の負担が増えるおそれがあるため注意しましょう。
繰り返しになりますが、役員報酬の金額をいつでも自由に変更できてしまうと、租税回避に使われてしまうため、役員報酬の損金算入には厳格なルールが定められています。
役員報酬の損金算入に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
役員報酬が決まった場合、税務署への届出は必要ですか?
定期同額給与や業績連動給与に関する届出は不要ですが、事前確定届出給与については本店所在地を所轄する税務署への届出が必要です。
届出期限を過ぎたり、支給額や支給日が届け出た内容と異なっていたりすると、損金算入が認められず、法人税の負担が増えてしまうおそれがあります。
上記の詳細については、本記事の損金算入が認められる役員報酬の支給方法の項目もご参照ください。
参考:国税庁(No.5211 役員に対する給与|平成29年4月1日以後支給決議分)
給与計算を税理士へ依頼するのは違法ですか?
給与計算を税理士へ依頼するのは違法ではありません。
税理士は税金の専門家ですので、毎月の給与計算に加え、年末調整の手続きや法定調書の作成、源泉徴収票の発行なども依頼できます。
給与計算を税理士へ依頼すれば、経理や税務会計に関する業務負担の軽減が期待できます。
ただし、社会保険の加入手続きや労務管理に関する相談の依頼先は、社会保険労務士です。依頼したい業務内容に応じて適切な専門家を選びましょう。
参考:e-Gov(税理士法 第二条 税理士の業務)
参考:厚生労働省(社会保険労務士の適正な業務の確保について)
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役員報酬は売上の何パーセントが適切ですか?
役員報酬は売上の何パーセントが適切かについては、明確な基準はありません。業種や事業規模、利益率などに応じて最適な割合が異なるためです。
繰り返しになりますが、財務状況が不安定にならないように、役員報酬は下表のような割合に収めるのが、一般的には妥当といわれています。
| ケース | 売上に対する割合 |
| 利益率が高い | 10〜30%程度 |
| 利益率が低い | 5〜15%程度 |
| 創業期や成長期 | 5〜10%程度 |
役員報酬は売上の何パーセントが適切かについては、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:役員報酬は売上の何パーセントが適切?金額の決め方や注意点を徹底解説
役員報酬と給与だと、どっちが得ですか?
役員報酬と給与のどっちが得かについては、状況によって異なるため、一概にはいえません。役員報酬は不相当に高額でなければ、支給額を自由に設定できる点がメリットです。
ただし、役員報酬の損金算入には厳格なルールが定められており、原則として、1年間は変更できません。一方、給与は役員報酬と比べると損金算入に関する制約が少ないです。
また、給与の場合、労働基準法によって最低賃金や残業手当が保証されているため、受け取る側の安心感につながります。
しかし、給与は勤務実績に応じて支払われるため、役員報酬と比べると支給額をコントロールしにくい傾向があります。
以上を踏まえて、支給される側の考えや気持ちなども汲み取りながら、役員報酬と給与のどちらで支給するかを判断しましょう!
関連記事:役員報酬の手取りを増やす方法|シミュレーションや一覧表も掲載
役員報酬の月額を10万円に設定するメリットを教えてください
役員報酬の月額を10万円に設定するメリットのひとつは、所得税が発生しない点です。
下表のとおり、令和7年度税制改正によって基礎控除と給与所得控除が見直されたため、役員報酬の月額を10万円に設定した場合、課税所得金額はゼロになります。


引用:国税庁(令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|源泉所得税関係)
月額10万円 ✕ 12か月 ー 基礎控除額95万円 ー 給与所得控除額65万円 = 課税所得金額0円
また、社会保険料の負担を抑えられたり会社に利益を残せたりするのも、役員報酬の月額を10万円に設定した際に得られるメリットです。
特に、創業期の場合、資金繰りの安定につなげられます!
役員報酬の金額設定に関して判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:役員報酬を8万円に設定するメリットは税金や社会保険料の節約にあり!
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まとめ

今回は、役員報酬を決める際に税理士へ相談するメリットについて、適切な金額の決め方や相場とあわせて解説しました。
役員報酬を決める際に税理士へ相談するメリットは、損金算入の要件を満たしながら、高い節税効果を期待できる金額に設定できるため、不要な税負担の発生を回避できる点です。
豊富な実務経験に基づくアドバイスやご自身の状況に合わせた適切な設定金額の提案をしてもらえるため、役員報酬をスムーズに決められます。
また、役員報酬を適切な金額で設定するためには、以下の観点を押さえましょう。
- 売上総利益や固定費を予測する
- 法人税と役員個人にかかる税金のバランスを考慮する
- 同業他社と比較する
なお、財務状況が不安定にならないように、役員報酬は下表のような割合に収めるのが、一般的には妥当とされています。
| ケース | 売上に対する割合 |
| 利益率が高い | 10〜30%程度 |
| 利益率が低い | 5〜15%程度 |
| 創業期や成長期 | 5〜10%程度 |

