こんにちは、ネットビジネス業やIT業に強い税理士の植村拓真です。
ネットビジネス業やIT業で起業される方は、ビジネススクールに通って必要な知識やスキルを習得するケースも多いです。
弊所でも、ビジネススクール代の経費計上に関して、ご相談をいただく機会がよくあります。特に、以下のようなご質問をいただきます。



経費計上できる金額に上限はありますか?
本記事を読んでいる方の中にも、上記のような疑問を抱いている方がいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は、ビジネススクール代の経費計上が認められる条件について、勘定科目や仕訳方法とあわせて解説します。
経理や税務会計に関する処理でミスをしたくない方は、本記事を参考にしてみてください。
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ビジネススクール代の経費計上が認められる条件

本項目では、ビジネススクール代の経費計上が認められる条件について解説します。
ビジネススクール代の経費計上が認められる条件は、次のとおりです。
- 事業との関連性が高い
- 領収書やレシートなどの証憑書類を保管してある
- 適切な勘定科目を選んで仕訳を行っている
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
事業との関連性が高い
事業との関連性が高いケースは、以下のとおりです。
- 事業活動で必要な知識やスキルを習得する
- 業務の効率化を図るために受講する
- 従業員教育の一環で受講させる
上記について順番に解説していきます。
事業活動で必要な知識やスキルを習得する
- 最新のマーケティング手法を学ぶ
- プログラミングをマスターする
- 実践的な英語力を身につける
- 営業スキルを向上させる
重要な観点は、習得する内容が業務遂行に必要不可欠かどうかです。
万が一、税務署の指摘が入っても問題がないように、事業活動における必要性を論理的に説明できる状態にしておきましょう。
税務署から指摘が入った際、自力での対応に自信がない場合は、税理士の力も借りましょう。
関連記事:ネットビジネスの経費計上について顧問実績が豊富な税理士が徹底解説
業務の効率化を図るために受講する
業務の効率化を図るために受講する場合、かかった費用は経費計上が認められます。
- 生成AIを活用した資料作成術
- タイムマネジメントのスキルアップ
- 分かりやすい業務マニュアルの作り方
- 業務フローの最適化やリスクマネジメント
- 業務の引き継ぎやナレッジ共有の仕組み化
- デジタルツールを活用したタスク管理やプロジェクト管理
繰り返しになりますが、事業活動との関連性が低い場合は、経費計上が認められませんので注意しましょう。
関連記事:ネットビジネスの経費計上について顧問実績が豊富な税理士が徹底解説
従業員教育の一環で受講させる
従業員の知識やスキルを向上させる目的で、法人や個人事業主が負担するビジネススクール代は、事業との関連性が高いと判断されるため、経費計上が認められます。
- 管理職候補の従業員に組織マネジメント講座を受講させる
- 売上の拡大を目的としてセールスに関する研修を受けさせる
- IT人材を拡充する目的でAI活用に関するセミナーへ参加させる
経費計上が認められるのは、あくまでも、売上に直結するものや職務上の必要性が明確なものに限られます。
必要経費として計上して問題ないか判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
領収書やレシートなどの証憑書類を保管してある
上記の保存期間は、原則として、青色申告では7年間、白色申告では5年間です。
また、下記のとおり、インターネットや電子メールなどの電子取引で受け取った領収書については、電子データのまま保存する必要があります。

引用:国税庁(電子取引関係)
上記の詳細に関しては、国税庁のホームページをご参照ください。
なお、領収書やレシートなどの証憑書類を、適切に保管していない場合、経費計上を否認されるおそれがあるため注意しましょう。
万が一、経費計上を否認された場合、追徴課税のほかに延滞税や加算税が課されるリスクがあります。
適切な勘定科目を選んで仕訳を行っている
ビジネススクール代を経費計上するうえで、適切な勘定科目を使って仕訳しなければなりません!
ビジネススクール代を仕訳する際の勘定科目は、研修費が使われるケースが多いですが、内容に合わせて下表のような勘定科目も使用できます。
| 勘定科目 | 使用するケースの例 |
| 福利厚生費 | 従業員の資格取得やスキルアップの支援を行った(前提として全従業員が対象) |
| 新聞図書費 | 講座や研修で使用する教科書や参考資料を購入した |
| 前払費用 | 来期以降に開催される講座や研修の支払いが当期中に完了している |
上記については、本記事のビジネススクール代を経費計上する際に使う勘定科目と仕訳方法の項目でも、詳しく解説していますので参考にしてみてください。
適切な勘定科目を選んで仕訳ができているかどうか不安な場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:【個人事業主・法人対応】確定申告を税理士に丸投げする費用相場やメリット・デメリットを解説
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ビジネススクール代の経費計上が認められないケース

本項目では、ビジネススクール代の経費計上が認められないケースについて解説します。
ビジネススクール代の経費計上が認められないケースは、以下のとおりです。
- 個人的な趣味や自己啓発に該当する
- 事業に無関係の家族や友人のビジネススクール代を負担した
- プライベートな交通費や宿泊費まで必要経費に含めている
それでは、順番に見ていきましょう。
個人的な趣味や自己啓発に該当する
ビジネススクール代を経費計上するには、事業の収益と結びついている必要があります。
- ヨガ教室
- 料理教室
- 写真教室
- アートスクール
- ゴルフのレッスン
- ボイストレーニング
間接的に業務の効率が上がった場合でも、事業との直接的な関連性が認められなければ、家事費に該当すると判断されます。
経費計上して問題のない支出かどうか判断に迷う場合、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(所得税法第37条に規定する直接性に関する一考察)
関連記事:法人はなんでも経費で落とせる?よくある勘違いと判断基準を解説
事業に無関係の家族や友人のビジネススクール代を負担した
事業に無関係の家族や友人のビジネススクール代を負担した場合、必要経費に含められません。
繰り返しになりますが、事業の売上や業務の遂行に直接関連する支出のみ必要経費として認められているため、私的な支出は経費計上の対象外です。
なお、家族が事業専従者に該当するケースでは、事業との関連性が高ければ、ビジネススクール代の経費計上が認められます。
たとえば、配偶者が経理に関する業務を手伝っていて、職務上必要な知識やスキルを習得する目的で、簿記の通信講座を受講させるようなケースです!
万が一、税務署から指摘された場合、不利な状況に陥らないよう、正当な理由を説明できる状態にしておきましょう。
プライベートな交通費や宿泊費まで必要経費に含めている
ビジネススクールに通うために必要な交通費や宿泊費も、必要経費として計上できます。ただし、プライベートな支出は経費計上できません。
業務遂行上の必要性や事業との関連性が低いと判断される部分に関しては、経費計上が否認されるおそれがあります。たとえば、以下のようなケースです。
- 観光目的で経由地を追加する
- 宿泊先を高級リゾートホテルにする
- グリーン車やファーストクラスを使って移動する
必要経費として認められる支出は、社会通念上、常識的な範囲に限定されます。
弊所では、税務相談も実施しておりますので、必要経費に含められるかどうか判断に迷う支出がある場合は、お気軽にご相談くださいませ!
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ビジネススクール代を経費計上する際に使う勘定科目と仕訳方法

本項目では、ビジネススクール代を経費計上する際に使う勘定科目と仕訳方法について解説します。
ビジネススクール代を経費計上する際に使う主な勘定科目は、次のとおりです。
- 研修費
- 交際費
- 福利厚生費
- 新聞図書費
- 前払費用
- 雑費
- 開業費
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
研修費
研修費は、業務を遂行するうえで必要な知識やスキルの習得にかかった費用を、仕訳する際に使用する勘定科目です。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 研修費 | 2万円 | 現金 | 2万円 |
クレジットカードで支払った場合は、利用した日と引き落とし日に分けて仕訳します。クレジットカードを利用した日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 研修費 | 2万円 | 未払金 | 2万円 |
クレジットカードの引き落とし日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 未払金 | 2万円 | 普通預金 | 2万円 |
交際費
たとえば、取引先との関係維持や接待を主たる目的として、取引先が主催するセミナーへ参加した場合、かかった費用を仕訳する際に交際費を使います!
取引先が提供しているマーケティングオートメーションツールに関する研修を、4万円で受講したケースで、研修参加費を現金で支払った場合の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 交際費 | 4万円 | 現金 | 4万円 |
繰り返しになりますが、クレジットカードで支払った場合は、利用した日と引き落とし日に分けて仕訳します。クレジットカードを利用した日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 交際費 | 4万円 | 未払金 | 4万円 |
クレジットカードの引き落とし日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 未払金 | 4万円 | 普通預金 | 4万円 |
交際費で仕訳して良いかどうか判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:【個人事業主・法人対応】確定申告を税理士に丸投げする費用相場やメリット・デメリットを解説
福利厚生費
業務上必要なスキルや資格を、従業員に取得させるために負担した費用は、福利厚生費を用いて仕訳します。
ただし、従業員に受けさせた講習や研修などの費用が、福利厚生費として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 全従業員が対象
- 社会通念上の妥当な金額に収める
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 福利厚生費 | 3万円 | 現金 | 3万円 |
新聞図書費
ビジネススクールで使うテキスト代に1万円かかり、現金で購入した場合の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 新聞図書費 | 1万円 | 現金 | 1万円 |
繰り返しになりますが、クレジットカード払いの場合は、決済した日と引き落とし日に分けて仕訳します。クレジットカードで決済した日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 新聞図書費 | 1万円 | 未払金 | 1万円 |
クレジットカードの引き落とし日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 未払金 | 1万円 | 普通預金 | 1万円 |
前払費用
前払費用は、翌期以降に受講するビジネススクール代を当期に先払いした際や、受講期間が事業年度をまたぐ際の仕訳で使用します。
前払費用で会計処理する場合は、支払い時と経費計上時に仕訳が必要です。
- 事業形態:個人事業主
- 受講期間:6か月
- 受講開始:11月
- 受講料:12万円(1か月あたり2万円)
- 支払い方法:現金一括払い
- 支払い月:10月
ビジネススクール代を支払った際の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 前払費用 | 12万円 | 現金 | 12万円 |
当期の経費計上では、下表のように仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 研修費(2か月分) | 4万円 | 前払費用 | 4万円 |
来期の経費計上における仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 研修費(4か月分) | 8万円 | 前払費用 | 8万円 |
前払費用の仕訳に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:税理士に依頼するタイミングはいつ?メリットや必要なケースもあわせて解説
雑費
業務上必要な知識やスキルの習得にかかる費用で、少額かつ件数が少なく、該当する勘定科目がないものに関しては、雑費を用いて仕訳します。
クレジットカードで決済した日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 雑費 | 2,000円 | 未払金 | 2,000円 |
クレジットカードの引き落とし日の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 未払金 | 2,000円 | 普通預金 | 2,000円 |
なお、雑費での仕訳を多用すると使途が不明瞭になりやすく、税務署から指摘されるおそれもあるため、支出目的を詳しく記録しておきましょう。
開業費
開業の準備段階でビジネススクールに通った場合、かかった費用は開業費で仕訳できます。
たとえば、Webデザイナーとして起業するにあたって、Webデザインスクールを受講するようなケースが該当します。
上記のケースで、受講料が50万円のスクールに通った場合の仕訳は、下表のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 開業費 | 50万円 | 元入金 | 50万円 |
なお、上表の会計処理は繰延資産としての計上であるため、必要経費の計上ではありません。開業費を経費計上する際には、下表のような仕訳を行います。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 繰延資産償却 | 50万円 | 開業費 | 50万円 |
繰延資産として扱われる開業費は任意償却が認められているため、支出した年度に経費計上するのではなく、利益の多く出た年度に経費計上すれば、高い節税効果が期待できます。
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ビジネススクール代をまとめて前払いした際の仕訳方法

繰り返しになりますが、ビジネススクール代をまとめて前払いした際は、前払費用を用いて仕訳を行います。
- 講座の開催数:10回
- 支払合計額:20万円
- 講座1回あたりの費用:2万円
- 支払い方法:現金一括払い
ビジネススクール代をまとめて前払いしたタイミングで、下表のように仕訳します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 前払費用 | 20万円 | 現金 | 20万円 |
上表の会計処理は資産計上であるため、必要経費として計上されていません。実際に受講したタイミングで、下表のように仕訳を行い、経費計上します。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 研修費 | 2万円 | 前払費用 | 2万円 |
受講後に経費計上する理由として、下記のとおり、必要経費は債務が確定したものしか計上できないためです。
必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。
引用:国税庁(No.2210 必要経費の知識)
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ビジネススクール代を返金された場合の仕訳方法

前払費用で仕訳していたビジネススクール代が返金された場合、前払費用から返金された額を取り崩す会計処理が必要になります。
| 借方 | 貸方 | ||
| 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
| 普通預金 | 3万円 | 前払費用 | 3万円 |
受講が済んでいる講座の費用は必要経費となりますが、開催されずに返金された分に関しては、経費計上せずに資産の戻りとして会計処理します。
なお、契約条項により返金の対象とならなかった場合は、研修費として経費計上します。
ビジネススクール代を返金された場合の仕訳に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
関連記事:税理士に依頼するタイミングはいつ?メリットや必要なケースもあわせて解説
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ビジネススクール代の経費計上に関するよくある質問

最後に、ビジネススクール代の経費計上に関するよくある質問をご紹介します。


上記のような疑問を抱いている方は、本項目も参考にしてみてください。内容は随時追記します。
資格取得費用は法人でも個人事業主でも必要経費として計上できますか?
資格取得費用は法人でも個人事業主でも必要経費として計上できます。資格取得費用が必要経費として認められるためには、下記のとおり、事業との高い関連性が必要です。
業務を営む者又はその使用人(業務を営む者の親族でその業務に従事しているものを含む。)が当該業務の遂行に直接必要な技能又は知識の習得又は研修等を受けるために要する費用の額は、当該習得又は研修等のために通常必要とされるものに限り、必要経費に算入する。
引用:国税庁(その他の共通費用|技能の習得又は研修等のために支出した費用)
ただし、下記の判例のとおり、事業との関連性が認められるケースでも、経費計上を否認される場合があるため注意しましょう。
弁護士業を営む請求人は、大学院の修士及び博士課程の授業料等並びに米国K大学への寄付金は業務遂行上必要な支出であるから事業所得の金額の計算上必要経費に算入される旨主張する。
しかしながら、修士及び博士課程の専攻は、請求人の営む弁護士業と関連性を有していることは認められるものの、むしろ請求人の自己研鑽のため進学したものと認めるのが相当で、また、当該寄付金の支出は、請求人の善意的心情からのものと認められ、いずれも業務遂行上直接かつ通常必要なものとは認められず、事業所得を生ずべき業務について生じた費用ではないから、所得税法第37条第1項に規定する必要経費とすることはできない。
引用:国税不服審判所(修士及び博士課程の授業料等並びに米国の大学への寄付金は弁護士業に係る事業所得の必要経費とすることはできないとした事例)
必要経費として認められる支出かどうか判断に迷う場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
参考:国税庁(税務訴訟資料 第269号-107|順号13330)
確定申告でレッスン代を経費計上する場合、どの項目に該当しますか?
レッスン代を仕訳する際に使用する勘定科目は、内容や目的により異なります。
また、レッスンで使うテキスト代は、新聞図書費で仕訳するケースも多いです。
繰り返しになりますが、私的な趣味や自己啓発とみなされるようなレッスンは、家事費に該当するため経費計上できません。
勉強代を経費計上する際の勘定科目はどれですか?
勉強代を経費計上する際は、目的に応じて勘定科目を使い分けます。
なお、上記が開業前の支出であれば、開業費で仕訳するケースも多いです。また、参考書や専門書などを購入した場合は、新聞図書費で仕訳を行いましょう。
繰り返しになりますが、事業との関連性が低い支出は、必要経費として認められません。
必要経費として計上して問題がないかどうか不安な場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
開業費として10万円以上のセミナー参加費は認められますか?
開業費として10万円以上のセミナー参加費は認められます。開業にあたって必要な知識や技術の習得が目的であれば、開業費に含められるセミナー参加費に上限はありません。
ただし、受講したセミナーが、業務の遂行や売上に直結しているのが条件です!
なお、開業費は繰延資産に該当し、下記のとおり、任意償却が認められています。
繰延資産(開業費)の償却費の計算については、60か月の均等償却又は任意償却のいずれかの方法によることとされています(所得税法施行令第137条第1項第1号、第3項)。
任意償却は、繰延資産の額の範囲内の金額を償却費として認めるもので、その下限が設けられていないことから、支出の年に全額償却してもよく、全く償却しなくてもよいと解されます。
また、繰延資産となる費用を支出した後60か月を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定はないことから、繰延資産の未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。
なお、支出した開業費の内容及びその開業費の額が過年分において必要経費に算入されていないことを明らかにしておく必要があります。
引用:国税庁(償却期間経過後における開業費の任意償却)
上記の理由から、支出した年度に経費計上するのではなく、利益の多く出た年度に経費計上すれば、効果的な節税対策が実施できます。
開業費の任意償却に関して不明な点がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
副業でもビジネススクール代は経費計上できますか?
副業でもビジネススクール代は経費計上できます。原則、収益を生み出すために直接必要な支出であれば、必要経費として認められます。
ただし、副業の売上に直結しない趣味に近い内容のビジネススクールは、経費計上の対象外ですので注意しましょう。
なお、ビジネススクール代を経費計上する際は、証憑書類として領収書をしっかりと保管しておきましょう。
関連記事:副業ITエンジニアの経費まとめ|申告が必要なケースから経費の例まで解説
個人事業主でもセミナー代やビジネススクール代は経費計上できますか?
個人事業主でもセミナー代やビジネススクール代は経費計上できます。
繰り返しになりますが、業務の遂行や売上に直結する知識や技術の習得が目的であれば、必要経費として認められます。
なお、テキスト代や交通費も必要経費に含められます。必要経費に含めて問題ないかどうか判断に迷う支出がある場合は、税理士への相談も検討してみましょう。
高額セミナーは個人事業主の必要経費として認められますか?
セミナーの参加費が高額でも、事業に直結する内容であれば、個人事業主の必要経費として認められます。
繰り返しになりますが、参加費の大小よりも、事業との関連性の高さが重要です。
ただし、事業との関連性が高くても、収益に直結しない内容の場合、経費計上が認められないおそれがあるため注意が必要です。
万が一、税務調査に入られても問題がないように、受講の目的と事業への効果を明確に説明できるようにしておきましょう。
参考:国税不服審判所(修士及び博士課程の授業料等並びに米国の大学への寄付金は弁護士業に係る事業所得の必要経費とすることはできないとした事例)
個人事業主で研修費を経費計上する際に上限はありますか?
個人事業主で研修費を経費計上する際に上限はありません。
研修費として計上するセミナーや講座の内容が、事業活動と密接に関係していて、売上の増加に寄与していれば、金額の多少にかかわらず必要経費として認められます。
売上が少ない状況で多額の研修費を計上した場合、税務署の指摘が入るおそれがあります。不適切な経費計上や虚偽の申告などを疑われるためです。
万が一、税務署から指摘が入った場合でも、経費計上の妥当性を論理的に説明できるよう、受講に至った経緯や受講記録などをまとめておきましょう。
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まとめ

今回は、ビジネススクール代の経費計上が認められる条件について、勘定科目や仕訳方法とあわせて解説しました。
ビジネススクール代の経費計上が認められる条件は、次のとおりです。
- 事業との関連性が高い
- 領収書やレシートなどの証憑書類を保管してある
- 適切な勘定科目を選んで仕訳を行っている
なお、事業との関連性が高いケースは、下記のとおりです。
- 事業活動で必要な知識やスキルを習得する
- 業務の効率化を図るために受講する
- 従業員教育の一環で受講させる
一方、以下のようなケースは、ビジネススクール代の経費計上が認められないため注意しましょう。
- 個人的な趣味や自己啓発に該当する
- 事業に無関係の家族や友人のビジネススクール代を負担した
- プライベートな交通費や宿泊費まで必要経費に含めている
ビジネススクール代を経費計上する際に使う主な勘定科目は、次のとおりです。
- 研修費
- 交際費
- 福利厚生費
- 新聞図書費
- 前払費用
- 雑費
- 開業費
ビジネススクール代をまとめて前払いした場合、まずは前払費用を用いて会計処理を行い、受講が完了したタイミングで経費計上します。
前払費用で仕訳していたビジネススクール代が返金された場合は、経費計上せずに資産の戻りとして会計処理する必要があります。

