こんにちは、会社設立支援の実績が豊富な税理士の植村拓真です。
退職前(在職中)に副業の売上が大きくなり、会社設立で節税しつつ独立企業したいと考える方は珍しくありません。
実際に、弊所では以下のようなお問い合わせをいただく機会が多いです。
そんな退職前に会社設立を検討している方は、以下のように考えている傾向があります。
- 退職前に会社設立を行うことの違法性は?
- バレずに起業する方法はある?
- デメリットや注意点があれば対策しておきたい
- 有休消化中の起業はどうなの?
たしかに、副業や会社設立に制限を設けたり禁止にしている会社もあるため、在職中の会社次第ではいずれ問題に発展するかもしれません。
そこで今回は、退職前(在職中)に会社設立する違法性についてバレずに起業する際の注意点とあわせて解説します。
退職前(在職中)に会社設立するのは違法ではない
退職前(在職中)に会社設立を行うのは違法ではありません。
日本では職業選択の自由が保証されています。
そして、在職中の会社との利益相反が生じなければ、違法性を指摘されるケースは少ないです。
ただし、国家公務員法や地方公務員法が適用される公務員は、一部を除いた営利目的の副業や兼業が禁止されています。
税金を受け取る立場であり、副業などの営利活動が国民の信頼を損ねてしまう恐れがあるからです。
とはいえ、公務員の会社設立に関しては、国家公務員法や地方公務員法で禁止されているわけではありません。
また、家業の手伝いや不動産の賃貸、株式やFXなどの一部副業であれば、認められるケースもあります。
もちろん、だからといって職場への確認なしで退職前に会社設立の手続きを進めて事業を行えば、トラブルに発展する恐れがあります。
ですので、次の項目から解説する内容に目を通して、安全に退職前に会社設立を行いましょう。
退職前(在職中)に会社設立する際のデメリット・注意点
本項目では、退職前(在職中)に会社設立する際のデメリットや注意点に加えて対処法を解説します。
退職前の会社設立には以下のようなデメリット・注意点がありますので、対処法についても知っておきましょう。
- 就業規則に違反すると解雇されるケースもある
- 競業避止義務の違反で損害賠償請求される恐れがある
- 職場の人にバラされて揉める恐れがある
- 取引先やスタッフの違法な引き抜きは不法行為に該当する
- 本業を疎かにすると職場で居場所がなくなる
- 会社設立に時間と費用がかかる
- 社会保険や住民税で会社設立がバレる恐れがある
就業規則に違反すると解雇されるケースもある
退職前(在職中)に週末起業といった形で、ネットビジネスやフランチャイズとして副業を始める方が増加しています。
そして、売上が伸びたタイミングで会社設立を検討する方もいらっしゃいます。
しかし、在職中の会社の就業規則で副業や会社設立が禁止されている場合、懲戒の対象となり解雇されかねません。
後ほど解説しますが、たとえ週末起業だとしても会社設立後には税金の申告が必要で、社会保険や住民税などから職場にバレるケースがあります。
退職前に会社設立を検討している方は、安全に副業を行うために職場の就業規則を確認しておきましょう。
競業避止義務の違反で損害賠償請求される恐れがある
退職時に誓約書にサインする際は、競業避止義務について不利な内容が記載されていないかを確認しておきましょう。
内容次第では競業で会社を設立できなかったり、同業他社に就職できなかったりするからです。
しかし、日本国憲法では職業選択の自由が保障されています。
競業避止義務が職場の就業規則に定められているとしても、年数や地域を限定していたり、退職金の増額などの代償措置を設けていたりしなければ、認められないケースがあります。
ですので、退職時に会社設立を検討している方は誓約書の競業避止義務について確認して、すぐにサインしないようにしましょう。
より安全に会社設立を行いたい方は、事前に弁護士に相談しておくと安心です。
職場の人にバラされて揉める恐れがある
退職前(在職中)に会社設立を検討している場合は、職場の人に話さないようにしましょう。
職場の人に副業や会社設立がバレると、少しミスをした際に副業や会社設立のせいでパフォーマンスが低下したと指摘されて揉めるケースがあるからです。
副業や会社設立が職場バレする理由の一つに、内緒話をして第三者に話されてしまうことがあります。
たとえば、本業関係者が参加しているお酒の席でアルコール摂取により注意力が低下して、副業や会社設立についてうっかり喋ってしまうケースがあります。
一気に職場でご自身の副業や会社設立に関する噂が広まりかねません。
職場に副業や会社設立がバレて困る場合は、普段から誰にも話さないようにしておきましょう。
取引先やスタッフの違法な引き抜きは不法行為に該当する
在職中の会社の取引先やスタッフは、許可がない限り引き抜かないようにしましょう。
引き抜き行為は競業避止義務や不正競争防止法の違反に該当する恐れがあり、退職後に元職場から訴えられる主な原因の一つだからです。
本業と競合する形で事業を行う場合、取引先が誰と契約するかの判断は過度な働きかけはせずに任せましょう。
本業を疎かにすると職場で居場所がなくなる
退職前(在職中)は職務専念義務を果たす必要があるため、本業を疎かにすると職場からの評価が下がってしまいます。
副業や会社設立が禁止されていない職場でも、労働契約を結んで給与を受け取っている以上、業務中は本業に専念しなければなりません。
退職前に副業や会社設立を始める方は、本業を疎かにしない範囲で行いましょう。
会社設立に時間と費用がかかる
会社を設立する際、主に以下の手続きを行わなければなりません。
↓
会社の概要を決める法人の印鑑を作成する
↓
定款を作成する
↓
定款の認証を受ける(株式会社の場合)
↓
資本金を振り込む
↓
登記申請を行う
そして、従業員を雇う場合は社会保険の加入が必要ですし、会社設立後にもさまざまな手続きを行わなければならないため、とにかく時間と費用が必要です。
そこで、弊所のように会社設立支援を行っている税理士に依頼すれば、面倒な手続きを代行してもらえます。
弊所にご依頼いただければ、会社設立前後の手続きはもちろん、設立時からの適切な節税対策の徹底や資金繰りを意識した決算期の設定など、安心して事業を行えるようにさまざまな面でもサポートさせていただきます。
会社設立を税理士に依頼する必要性については、以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:会社設立に税理士は必要?費用や司法書士との違いも解説
社会保険や住民税で会社設立がバレる恐れがある
先ほども少し触れましたが、退職前に副業や会社設立を行うと、社会保険や住民税から会社にバレる恐れがあります。
自分に役員報酬を支払えば社会保険に加入する必要がありますし、売上が伸びると住民税が増額するからです。
本業と副業で二重に社会保険に加入すると、在職中の会社に二以上事業所勤務被保険者決定及び標準報酬決定通知書が届きます。
そして、住民税は特別徴収を選択していると給与から天引きされるため、税額が増減すれば職場にバレます。
どうしても副業や会社設立を職場にバレたくない方は役員報酬をゼロにして、確定申告書の住民税に関する事項の欄で「自分で交付」にチェックを入れましょう。
関連記事:会社員の会社設立はばれる!勤務先に内緒で法人化する方法と注意点を解説
退職前(在職中)に会社設立を行うメリット
退職前(在職中)に会社設立を行うメリットは、退職後スムーズに事業を始められる点にあります。
会社設立の手続きは在職中でも進められる内容が多いため、退職前から始める方が多いです。
1日でも早く会社を設立したい方は、お気軽に弊所までご相談ください。
有休消化中に起業する際は在職中である点を意識する
実際に、退職前に有休を消化しつつ会社設立の手続きを進める方はいらっしゃいます。
有給の取得は労働者の権利ですので、退職する前にできるだけ消化しておきましょう。
ただし、有休消化中も会社に在職している状態ですので、会社設立の手続きを進める際は職場の就業規則に従いましょう。
会社設立の準備を進める分には問題ありませんが、代表者に選任されたり営業を行ったりなど、本格的に事業を開始してしまうと職場とのトラブルに発展する恐れがあります。
まとめ:円満退職を意識して会社設立するのがベスト
本記事では、退職前(在職中)に会社設立する違法性についてバレずに起業する際の注意点とあわせて解説しました。
退職前に会社設立を検討している方は、職場の就業規則で副業や会社設立に関する内容を確認しておきましょう。
職場の就業規則で副業や会社設立が禁止されている場合、バレた際に懲戒の対象となり解雇されかねません。
解雇されなかったとしても、厳しい処分を受ける恐れがあります。
副業や会社設立が禁止されている職場に在職中は、副業や会社設立は準備にとどめて、退職後すぐに始められるようにしておきましょう。
円満退職を意識して副業や会社設立の準備を進めておけば、職場と揉めてトラブルに発展することなく、退職後スムーズに事業を始められます。
なるべく早く会社を設立したい、本当に会社設立が必要か悩んでいる、設立時からできる限り適切な節税対策を徹底したいなど、お気軽に弊所までご相談ください。