こんにちは、起業支援の実績が豊富な税理士の植村拓真です。
起業を考え始めたとき、税理士に何を相談すればいいのか分からないと感じる方は少なくありません。実際に、弊所でも起業される方からさまざまなご相談をいただきます。
たとえば、法人化のタイミングや設立にかかる費用、創業融資の申請方法、適切な節税対策などです。
準備不足のまま起業の手続きを進めてしまうと、想定よりも税負担が膨らんだり、融資の審査に落ちてしまったりなど、出だしでつまずくリスクがあるため、事前に疑問点を整理しておく必要があります。
今回は、起業時に税理士に聞くことについて相談費用とあわせて解説します
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起業時に税理士に聞くべきこと|後悔しないための7つの質問事項
起業時に税理士へ相談する内容を明確にしておけば、そもそも法人化すべきかの判断や資金計画、経理体制などを専門家のサポートのもとスムーズに整えられます。
特に、以下のようなポイントについては、事前に確認しておけば事業開始後の手間やリスクを軽減しやすいです。
- 法人化すべきかどうかの判断
- 会社設立や顧問契約にかかる費用の見積もり
- 状況に応じた法人化の最適なタイミング
- 創業融資に関する支援や必要書類の確認
- 会社設立までの手続きとスケジュール
- 提案してもらえる適切な節税対策
- 記帳代行の有無
法人化のシミュレーション
ある程度の資金力があったり売上が立つ見込みがある場合、起業時に個人事業主で始めるべきか法人にすべきかの判断に迷う方がよくいます。
そこで税理士に相談すれば、所得や事業形態などの状況に応じた最善な選択をできるようにアドバイスがもらえます。
たとえば、個人事業主では所得が上がるにつれて税率が高くなる累進課税制度が適用される一方で、法人は所得に対して課税される税率が一定です。
税理士は専門家ですので、ご自身の状況に合わせて起業する際に個人事業主と法人のどちらが得かをアドバイスできます。
税率以外にも、社会保険や経費、資金調達などの条件をもとに、個人事業主と法人で損益比較を行って、実際の数字を使ってシミュレーションしてくれます。
起業時に税理士がいればより適切な判断ができますので、法人化で後悔したくない方、より無駄なくスムーズに会社設立の手続きを終えたい方も、税理士への相談を検討してみましょう。
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会社設立や税務顧問の費用
起業する際に会社設立や税務顧問にかかる費用は、税理士に依頼する前に確認しておきましょう。
まず会社設立の費用としては、株式会社であれば登録免許税15万円、定款の認証手数料や印紙代を含めて約25万円が目安です。
一方、合同会社は定款の認証が不要なため約10万円で設立できます。
法人形態 | 設立費用 |
株式会社 | 約25万円 |
合同会社 | 約10万円 |
次に税務顧問を依頼する際の月額費用は、売上規模や業種、依頼内容によって異なりますが、起業初期であれば月額3万〜4万円程度が目安です。
加えて、決算時には10万〜20万円前後の申告料が必要なケースが多いです。
顧問契約の有無や記帳代行の範囲、訪問頻度などにより費用は変動しますので、見積もりを複数の税理士から取って比較しましょう。
関連記事:顧問税理士とは?顧問契約の必要性・メリットや注意点を解説
法人化する適切なタイミング
法人化のタイミングは、節税や経費管理に直接関わる重要な内容です。いつ法人化すべきかという問いには明確な正解がないため、悩む方が多いです。
たとえば、年間所得が700万円を超える頃から法人化を検討し始める方が増加しますが、実際には所得税の軽減だけで判断すると失敗しかねません。
社会保険料や法人住民税のような固定費が思っていたより重くのしかかり、予想以上のお金が出ていってしまったと相談に来られる方もいます。
だからこそ、目先の税金だけではなく、法人としてやっていける体力があるかどうかを冷静に見極めなければなりません。
法人化の際に判断を誤ると税負担を減らすつもりが、かえって手元資金を圧迫してしまうおそれがあります。
そこで税理士であれば、売上や利益の水準はもちろん、ご家庭の状況や今後の投資計画まで含めて、数字に基づいたシミュレーションを行えます。
関連記事:個人事業主が法人化するタイミングはいつ?節税シミュレーションも掲載
創業融資の対応
起業時の資金をどう確保するかは、多くの方が直面する課題のひとつです。
自己資金だけで起業できるのが理想ですが、創業融資をうまく活用すれば、立ち上げ後の運転資金や設備投資にも余裕を持って対応できます。
ただ、いざ融資を検討し始めると、どこに相談すればいいのか、どの書類を揃えるべきかと、判断に迷う場面が多いのも事実です。
融資が通るか不安、計画書をどう書けばいいか分からないといったお声は、今までに多くいただいてきました。
税理士に相談すれば、事業計画の骨組みづくりから返済計画の整合性、必要書類の確認まで、一つひとつ段階を踏んで支援してもらえます。
日本政策金融公庫や制度融資を検討されている場合でも、条件に合った制度を案内してもらいながら、スムーズな申請を実現できます。
関連記事:創業融資・資金調達支援サービスについて
会社設立の流れ
起業を決めたあと、いざ会社を設立しようとすると、何から始めればよいか分からないという声を多くいただく機会があります。
会社設立の流れはある程度決まっていますが、選択肢や必要書類が多いため、初めての方にとっては手順の全体像が見えづらく、不安に感じる方もいます。
たとえば、最初に決めるべき以下のような基本事項です。
- 法人形態(株式会社や合同会社など)
- 商号
- 事業目的
- 所在地 など
基本事項が固まったら、定款を作成して公証役場で認証を受ける必要があります(株式会社のケース)。手続きが完了したら設立登記の申請を行って、税務署や都道府県・市区町村への届出も進めます。
設立に必要な書類はさまざまで、内容に不備があると再提出を求められるため、事前に準備が必要です。また、会社設立が完了したあとも手続きが必要ですので、速やかに行いましょう。
税理士に相談しておくと、上記のような手続きのすべてをサポート、代行してもらえます。
関連記事:会社設立手続きを自分で行う5つのステップ|費用や流れについて解説
関連記事:会社設立に税理士は必要?費用相場やメリットについて解説
適切な節税対策
起業時に意識しておきたい内容に、適切な節税対策もあります。利益が出てから取り急ぎで対策を講じる方もいますが、普段から準備しておくと負担を抑えやすいです。
たとえば、事業に関係する支出をきちんと経費として整理しておく、青色申告や役員報酬の設定などの節税につながる制度を早めに活用するなど、基本の取り組みが大きな差を生むケースがあります。
ただし、過度な節税に走ってしまうと、将来の融資や信頼性に影響するおそれがあります。節税対策を実施する際は、あくまで事業を健全に成長させる前提で、利益とのバランスを意識する視点が重要です。
そこで、自社の業種の顧問契約が豊富な税理士に依頼すると、より適切な節税対策を提案してもらえます。
たとえば、ネットビジネスやIT、広告代理店業の顧問実績が豊富な弊所であれば、収益の発生構造やキャッシュフローの流れ、業務委託との契約形態など、業種特有の事情をふまえた節税対策を実施できます。
よりご自身にとって適切な節税対策を実施したい方は、起業時にご自身の業種の顧問実績な豊富な税理士に相談してみましょう。
関連記事:【法人版】節税対策の裏ワザ|手元により多くの資金を残す方法
記帳代行
取引を帳簿にまとめる記帳作業は、事業を継続するうえで欠かせない業務です。ただ、起業直後は売上を伸ばしたり営業活動に注力したりして、記帳が後回しになってしまいがちです。
結果、決算直前になってから慌てて領収書を集めたり、数字の整合性が取れなくなったりして、税理士に相談する方は少なくありません。
記帳は正確な申告の基礎となるだけでなく、月ごとの利益や支出の状況を把握し、経営判断に役立てるうえでも重要な作業です。
本業に集中したい、数字の管理が苦手といった方は、お気軽に弊所までご相談くださいませ。
関連記事:【個人事業主・法人対応】確定申告を税理士に丸投げする費用相場やメリット・デメリットを解説
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起業時に税理士に相談する際の費用
税理士への相談費用には、大きく分けてスポット契約と顧問契約の2種類があります。
まず、スポット契約は単発形式で、内容によりますが1時間あたり5,000円〜2万円が相場です。法人化の判断や融資書類の確認など、短期間で明確な回答が欲しい方向けの依頼方法です。
起業初期の段階で相談内容が限定的な方は、まずはスポットで問い合わせてみましょう。
一方、顧問契約は月額制で継続して支援を受ける契約方法です。月額は2万円前後からが目安ですが、業種や対応内容によって大きな差があります。
相談形式 | 内容 | 費用の目安 |
スポット相談 | 法人化の判断、融資相談、手続きの確認など 1回ごとの単発相談 |
5,000円~20,000円/1時間 |
顧問契約 | 継続してアドバイス、書類作成支援、税務対応など 月額契約 |
20,000円~/月 |
会社設立支援 | 登記書類の作成、設立に伴う税務届出など 一括対応可 |
30,000円~100,000円 |
融資サポート | 創業融資の事業計画書の作成支援、面談対策など | 50,000円~ |
また、会社設立に必要な登記書類の作成支援や創業融資のサポート、税務署への届出代行など、起業時に必要となるサービスは、別途料金が発生するケースが多いです。
基本、税理士事務所や会計事務所では、無料相談や初回限定の割引制度を設けている事務所がありますので、見積もりを依頼して比較検討してみましょう。
関連記事:法人成りを税理士に相談する必要性|メリットや費用相場も解説
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まとめ
今回は、起業時に税理士に聞くことについて相談費用とあわせて解説しました。
起業時に税理士に聞くことは、以下のとおりです。
- 法人化すべきかどうかの判断
- 会社設立や顧問契約にかかる費用の見積もり
- 状況に応じた法人化の最適なタイミング
- 創業融資に関する支援や必要書類の確認
- 会社設立までの手続きとスケジュール
- 提案してもらえる適切な節税対策
- 記帳代行の有無
法人化で起業する際の手続きには、会社設立のタイミングや設立手続き、創業融資の申請、節税対策など、税務に関わる検討事項が多いです。
判断を誤ると、税金や社会保険料の負担が大きくなってしまったり、設立後の手続きで手間取って事業に集中できなかったりするおそれがあります。
特に、法人化のタイミングや創業融資の対応などを正確に行うためには、専門知識と経験が必要です。
起業の手続きで時間がかかって事業に集中できず後悔しないように、前もって入念なシミュレーションを行い、資金や手続きに対する不安を減らしておきましょう。