こんにちは、アフィリエイターの法人化支援の実績が豊富な税理士の植村拓真です。
アフィリエイトで売上が伸びて納税額が増加している方の中には、合同会社の設立を検討している方もいらっしゃいます。
法人化すると所得にかかる税率を抑えられますし、合同会社なら株式会社よりもコストを抑えて設立できるからです。
弊所、植村会計事務所では、合同会社の設立を検討しているアフィリエイターの方から、以下のようなご相談をよくいただきます。



今回はそんな方に向けて、アフィリエイトで合同会社を設立する目安から事業目的の設定までについて注意点とあわせて徹底解説します。
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アフィリエイトで合同会社を設立する目安
アフィリエイトで合同会社を設立する目安は、年間利益が800万円を超えたあたりです。
年間利益800万円超えはあくまで目安で、資金調達したりスタッフを雇用したりして事業規模を拡大したいと考える段階も、アフィリエイトで合同会社を設立するタイミングだといえます。
個人事業主のアフィリエイターに課される所得税は累進課税制度が適用されるため、所得税率は高いほど税率が上がり、最大45%です。
一方、法人税は資本金1億円以下の法人の場合、年間800万円以下の所得部分に15%、800万円を超える部分には23.20%が適用されます。
ただし、法人住民税には利益の有無にかかわらず発生する均等割があり、資本金1,000万円以下の場合は年間約7万円かかります。
また、法人化すると厚生年金や健康保険への加入義務が発生して、社会保険料の負担が増加します。
厚生年金の保険料率は報酬月額の18.3%、健康保険料率は地域差がありますが約10%で、合計の社会保険料は報酬の約28%です。
アフィリエイターが合同会社を設立する際は税金だけでなく、社会保険料や維持費も含めてトータルで検討しましょう。
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アフィリエイトで合同会社を設立する際の事業目的
アフィリエイトで合同会社を設立する際は、事業目的の設定が重要です。
定款に記載する事業目的は、銀行口座を開設する際の審査や取引先からの信頼に影響します。たとえば、以下のような内容が挙げられます。
- インターネットによる広告業
- ウェブサイトの運営
- コンテンツ制作
今後、事業拡大の予定があるなら、マーケティング支援やコンサルティングなど、幅広い事業内容を含めておくのが有効です。
ただし、事業目的は明確かつ適法でなければなりません。法務局が商業登記規則第61条に基づいて、事業目的が曖昧であったり実態と乖離していたりする場合、登記を認めないケースがあるからです。
また、税務署では、定款に記載された事業目的と実際の事業内容が一致しているかが重視されます。
事業目的と実態が乖離している場合、税務調査で事業実態や収益の源泉について確認されて、利益操作や事業の透明性に問題があると判断されかねません。
事業目的は具体的かつ実態に即した内容に加えて、将来的な事業拡大も考慮して包括的に記載するのが望ましいです。
合同会社の設立をスムーズに進めるためにも、事業目的の設定は慎重に行いましょう。
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アフィリエイトで合同会社を設立するメリット
続いては、アフィリエイトで合同会社を設立するメリットについて解説します。
一部、株式会社よりもメリットが薄い内容もありますが、個人事業主よりは有利に事業を行えるケースがあります。
- 株式会社よりも会社設立のコストを抑えられる
- 所得が多いほど税率を下げられる
- 節税対策につながる
- 個人事業主よりも事業拡大で有利になる
- リクルートのハードルが下がる
株式会社よりも会社設立のコストを抑えられる
アフィリエイトで合同会社を設立する際、株式会社よりも設立費用を抑えられる点が大きなメリットです。
合同会社の設立には、登録免許税として6万円、定款の作成費用として数千円が必要です。
一方、株式会社を設立する場合は登録免許税が15万円かかり、定款の認証手数料や収入印紙代を含めると最低でも20万円程度を負担しなければなりません。
合同会社を選択すれば、設立費用を10万円以上抑えられて、節約した分を広告費や事業運営に充てられます。
さらに、運営コストの面でも合同会社は有利です。株主総会が不要で決算公告の義務もないため、手続きの簡略化とコスト削減につながります。
なお、植村会計事務所では、手数料無料で株式会社なら約11万円安い13.8万円、合同会社なら約4万円安い1.6万円で会社設立をフルサポート中です。
所得が多いほど税率を下げられる
アフィリエイトで所得が増えている方ほど、合同会社を設立すると税負担を抑えやすいです。
個人事業主の所得税は累進課税制度により、所得が高くなるほど税率が引き上げられて、最大で45%に達します。
一方、法人の法人税は利益800万円以下なら15%、800万円を超える部分は23.20%と、一定の範囲内で税率を抑えられます。
ただし、あくまで所得にかかる税率に注目した場合の話ですので、保険料や運営コストも考慮してシミュレーションを実施したうえで、会社を設立すべきかを判断しましょう。
関連記事:法人税と所得税ならどっちが得?税金面で法人化すべきケースを解説
節税対策につながる
アフィリエイトの合同会社の設立は、所得にかかる税率を抑える以外に、税負担を軽減する手段が広がるメリットもあります。
たとえば、社宅制度を利用すれば、家賃の一部を経費にして個人の負担を抑えられます。
そして、出張旅費規程を整備すれば、業務に必要な移動費を非課税で受け取れるため、節税対策として有効です。
本制度を適切に組み合わせれば、経営安定化と長期目線での資産形成が実現しやすいです。
関連記事:【法人版】節税対策の裏ワザ|手元により多くの資金を残す方法
関連記事:合同会社の設立で節税できる理由|設立の基準やデメリットも解説
株式会社ほどではないが個人事業主よりも事業拡大で有利になる
個人アフィリエイターから合同会社に切り替えれば、事業拡大を実現しやすいです。
法人アフィリエイターとして取引先や広告主と契約すれば、事業の継続性や責任の明確さが示されて、社会的な信用度が向上します。
法人名義の銀行口座やクレジットカードを利用できるため、資金管理がしやすくなり、支払い能力の証明にもつながります。
法人でなければ取引しない企業もありますので、新規取引先の開拓が有利になる点もメリットです。
また、事業規模に応じてスタッフを雇用しやすくなり、業務を分担すれば運営の効率化も実現できます。
合同会社は個人事業主のような柔軟性を持ちながら、株式会社ほどの負担を伴わずに事業拡大を進めやすい法人形態です。
関連記事:個人事業主から合同会社に切り替えて法人化する手順やメリット・デメリット
リクルートのハードルが下がる
繰り返しになりますが、合同会社でアフィリエイトに取り組めば、リクルートで有利です。
法人アフィリエイターとしての体制を整えておけば、求職者に安定した事業運営の印象を与えられます。
そして、法人アフィリエイターであれば、社会保険に加入できるため待遇面での魅力を高められます。
福利厚生の充実は、リクルートにおいて大きな強みになり、優秀な人材の定着につながる要素です。
ただし、合同会社は株式会社ほど知名度がないため、求職者から怪しいといった印象を持たれるケースがあります。
本格的に事業規模を拡大してアフィリエイトだけでなく、他の事業を展開して取り組みたい方は、株式会社も選択肢に入れましょう。
関連記事:合同会社は怪しいからやめとけといわれる理由|トラブル例や設立のデメリットも解説
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アフィリエイトで合同会社を設立する際の注意点
アフィリエイトでの合同会社の設立には、メリットだけでなく注意点もあります。
本項目の内容を知らずに設立や運営コストが低いからと合同会社を設立してしまうと、あとから後悔してしまうおそれがあります。
アフィリエイトで合同会社の設立を検討している方は、本項目の内容に目を通しておきましょう。
- 株式会社よりも社会的信用が低い
- 合同会社の売上は自由に使えない
- 合同会社の設立や運営にコストがかかる
株式会社よりも得られる社会的信用が低い
合同会社は株式会社と比べて、社会的な信用が低い点に注意しましょう。
株式会社よりも社会的な信用が低いと言われる主な原因は、以下のとおりです。
- 歴史が浅いため知名度が低い
- 手軽に設立できる
合同会社は2006年に新会社法が施行されて誕生したため、株式会社に比べると歴史が浅く、知名度は劣ります。
そして、株式会社よりも設立費用が安くて手軽に設立できるといった特徴からも、社会的な信用が低いといわれています。
新規取引先の開拓やリクルートなどの社会的な信用が必要な場面で不利になるケースがありますので、アフィリエイトや今後展開する予定の事業で事業規模の拡大を検討している方は注意しましょう。
関連記事:合同会社は怪しいからやめとけといわれる理由|トラブル例や設立のデメリットも解説
合同会社の売上は自由に使えない
合同会社で法人アフィリエイターとして稼いだ売上は、法人の資産となるため社長個人は自由に使えません。
個人アフィリエイターであれば直接生活費として使えますが、合同会社では法人と個人で明確に分ける必要があります。
そして、合同会社から社長個人に支払う役員報酬は、原則として事業年度の途中で自由に変更できず、事前に決めた額を継続して支給します。
ただし、事業年度開始日の属する会計期間の開始から3ヶ月以内の改訂、経営状況の著しい変化などといった状況は例外です。
合同会社を設立して法人としてアフィリエイトに取り組む際は、慎重に役員報酬額を決めましょう。
参考:国税庁:No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)
関連記事:合同会社の一人社長が給料(役員報酬)を設定する際のルールと決め方
関連記事:役員報酬はいくらが得?節税対策と効果を最も高める方法を解説
合同会社の設立や運営にコストがかかる
合同会社は個人事業主と比較すると、事業開始や運営にかかる費用が増額します。
設立時には、最低6万円の登録免許税、4万円の収入印紙代(電子定款なら不要)が必要です。
そして、運営面では赤字でも法人住民税の均等割として、原則7万円の納税義務があります。
他にも、印鑑証明書や登記事項証明書などの作成で細かい費用がかかりますが、合同会社の設立や運営にかかる主なコストは上記のとおりです。
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アフィリエイトで合同会社を設立する際によくある質問
最後に、アフィリエイトで合同会社を設立する際によくある質問を紹介します。
株式会社と合同会社でどちらを選ぶべきか迷っているのですが、選択基準はなんですか?
知名度があり社会的な信用度が高いのは株式会社です。
ただし、株式会社は合同会社よりも設立や運用にかかるコストが高いため、会社設立後に事業規模を拡大する予定がなく、一人社長として事業を行う方は、合同会社を選択される傾向があります。
関連記事:会社設立に税理士は必要?費用相場やメリットについて解説
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今回は、アフィリエイトで合同会社を設立する目安から事業目的の設定までについて注意点とあわせて徹底解説しました。
アフィリエイトで一人社長の会社を設立して、事業規模を拡大する予定がない場合、株式会社ではなく合同会社を選択される方が多いです。
今後、事業規模を拡大するために、資金調達が必要だったりスタッフを雇用したりして社会的な信用が必要な方は、株式会社での会社設立を検討してみましょう。